日本政府、米通商代表に「安易に政府間問題にするな」

» 2004年04月22日 16時26分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 米通商代表(USTR:United States Trade Representative)が2004年の年次報告書の中で“日本のTD-CDMAの閉鎖性”を指摘した問題で(4月9日の記事参照)、総務省は日本政府側がコメントをとりまとめ、外交ルートを通じて米国政府に伝達したと発表した。通信業界の動向を「安易に政府間の問題として持ち出す姿勢を改めていただきたい」との辛らつな文面が並んでいる。

 発端となったのは、USTRが現地時間4月7日に公表した「1377条レビュー」。この中で、日本の総務省がTD-CDMA向けに割り当てると見られる周波数帯で、「複数の米国企業がこの周波数帯を利用して新技術を試すべく、免許を申請したが、これを却下した」との記述があった。これに対し総務省側は「事実と異なる記述がある」と反発していた。

「一方的なアプローチ自体が問題」

 日本政府のコメントを見ると、1377条レビューは「米国自身の判断により(中略)『通商合意』の運用と有効性を審査し、他国に対する措置を決定する際の前提とするもの」とした上で、「このような一方的なアプローチをとることを容認する条項が存在すること自体、懸念を有している」との記述がある。

 同レビューで取り上げている事項の多くは「事業者間個別の問題」であり、電気通信事業法の規定する意見申出や、総務大臣の命令・裁定などもない段階で「安易に政府間の問題として持ち出す姿勢を(米通商代表は)改めていただきたい」。

 取りざたされたTD-CDMAの周波数問題では、「特定の米国企業の技術を採用して2010MHz付近の周波数の使用を希望する日本企業」に対し、既に免許を付与したとコメントした。これは、昨日発表があった“Navini Networksの技術を採用するイー・アクセス”(4月21日の記事参照)のことを指すと思われる。

 日本政府はまた、「我が国の情報通信分野の現状を見ると(中略)世界的にみても大きな成果を上げているが、これは総務省の公正・中立かつ競争促進的な政策が有効に機能した」と強調。政府の手法が、WTOルールにも整合する公正なものだと主張した。

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