クレジット決済は腕をかざして――カシオとJCB、“FeliCa腕時計”を開発

» 2004年06月09日 18時32分 公開
[西坂真人,ITmedia]

 カシオ計算機とジェーシービー(JCB)は6月9日、FeliCa技術を用いた非接触ICチップ搭載の決済機能付き腕時計を開発、6月10日から実証実験を開始すると発表した。「腕時計内蔵の非接触ICチップを利用したクレジット決済サービスは国内初」(両社)。

photo カシオとJCBが開発した非接触ICチップ搭載の決済機能付き腕時計

 昨年2月にJCBが商品化している職域向け非接触IC決済ソリューション「Offica」と同機能を腕時計内に搭載し、決済機能付き多機能時計「Officeウォッチ」としてJCB社内で実証実験を行う。「Officaはすでに7社の導入実績がある」(JCB)

 JCBは昨年5月に、Officaを使って入退室管理用の社員証による紐付け(クレジットカードとの連係)を同社内で開始し、昨年12月からはFeliCa携帯電話で入退室管理や社内決済を行う実証実験をスタートさせていた。今回開発した決済機能付き腕時計も、非接触ICカード技術にはFeliCaを採用している。

photo 社員証による紐付け、FeliCa携帯電話などで非接触ICチップを利用したクレジット決済サービスの実証実験を行っていた

 JCB市場開発部長の百瀬裕一氏は今回の実証実験について「昨年から従来のプラスチック製カード以外のもので利便性を高めるものはないかと模索してきた。腕時計は日常的に身に付けている機器なので気軽に決済でき、利便性が飛躍的に高まる。今回は、Gショックという付加価値の高いブランドを持ち、時計へのさまざまな付加機能搭載に積極的なカシオとの協業に至った。明日から若い社員中心に実際に腕時計で決済を行う実験を開始。改善点を探って“明日の決済システム”を作り上げていきたい」と語る。

photo JCB市場開発部長の百瀬裕一氏(左)とカシオ計算機時計商品企画部長の中島悦郎氏(右)

 カシオ計算機時計商品企画部長の中島悦郎氏は、非接触ICチップ搭載腕時計の開発経緯について「カシオはこれまで時計を“情報端末”と位置付け、リスト情報機器というコンセプトでいろいろな機能をつけてきた。非接触認証技術は市場が拡大して利用シーンも多様化し、さまざまな決済端末が登場している。その中で、(常に身に付けている)腕時計の決算端末としての商品価値はさらに高まる。JCBと協力して技術的な機能性や運用面の検証を行い、なるべく早い実用化を目指す」と述べる。

 実証実験では、決済機能付き腕時計「Officeウォッチ」にクレジットカードとリンクした後払い式(月単位)決済機能と入退室管理機能をOfficaを使って装備。JCB社屋内全国4カ所(東京・青山/同・三鷹/大阪/福岡)を実験フィールドとし、JCB社員計25人にOfficeウォッチを支給。入退室管理や、社員食堂/売店/自動販売機など社内での各種ポストペイ決済で実際に利用し、機能性や運用面での課題を検証していく。

photo 社員食堂でも財布を持たずに腕時計でキャッシュレス決済
photo レジの横に設置された非接触ICチップリーダーが青色から緑色になると決済完了

 非接触IC方式では、アンテナのサイズが通信品質に大きく影響する。腕時計型への非接触IC方式導入にあたって苦労した点についてカシオ羽村技術センター第一企画室長の奥山正良氏はこう語る。

 「アンテナを内蔵するための平らな面が確保できるカード型や携帯電話型に比べて、本体が小さい腕時計型は通信品質をどう保つかで苦心した。アンテナサイズが小さくなると通信距離が短くなる。今回の腕時計は文字盤の裏側にアンテナを内蔵。リーダーの性能にも左右されるが、JCB社内に設置したリーダーで最大70ミリの距離から認識できる」

 腕時計型がカード型と決定的に違うのは“ウェアラブル”な点だ。カードだとカバンの中の財布から取り出すといった手間がかかるが、常に身に付けている腕時計はサッと腕を伸ばすだけで決済できるなど利便性が高い。

 だが、カード型や携帯電話よりもウェアラブル性で上回るものの、腕時計は本来、機能面以上に個人の趣味・趣向のウェイトが高い製品でもある。デザインが同じ腕時計を職域カードとして利用することへのユーザー(社員)の抵抗感が懸念されるところだ。

 「確かに、全社員が同じ腕時計を着けているというのは気持ち悪い。今回はあくまでも実証実験ということで職域で検証するのだが、Officeウォッチを職域向けとして展開するつもりはない。職域で考えられるとすれば、カードを首からかけていると作業の邪魔になる工場などのケース。(携帯電話など)私物の持込みが制限されている場所では、腕時計型は有効」(JCB)

 「腕時計型は財布など持ち歩かない海やスキー場といったシーンで便利。決済以外の付加機能を搭載できるため、例えばアミューズメント施設とかで入場パス機能を搭載するということも可能。紛失して第三者に無断使用された場合でもクレジットカードと同じの保険制度が適用されるのも前払い式電子マネーシステムにはない後払い決済のメリット。そういった意味では、職域に限定したものではなく、幅広い応用展開を検討している」(JCB)

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