「INFOBARの背面はPDAだった」〜“au design project”の秘密:WIRELESS JAPAN 2004

» 2004年07月22日 01時03分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 “携帯デザインの流れを変えた”とも言われるデザイン志向の端末「INFOBAR」を生み出したのが「au design project」。プロジェクト立ち上げ以来、数々のコンセプトモデルを発表して注目を集めている。

 プロジェクト立ち上げ時から関わってきたプロモーション推進グループの砂原哲氏が、au design projectから生まれたコンセプトモデルの開発秘話を明かした。

展示会には出展されていないモデルも

 au design projectの役割は大きく分けて2つある。1つは社内にプロのプロダクトデザイナーを採用することで、メーカーと一緒に端末の質を向上させること。もう1つは、外部デザイナーとの協力による個性的な端末開発だ。「携帯デザインに対するニーズが高まり、それに積極的に応えたい──という気持ちからスタートした」(砂原氏)。

 KDDIブースのセミナーで語られたのは、INFOBAR(2003年10月の記事参照)に代表される、外部デザイナーとのコラボレーションによる端末の開発例。展示会などでは披露されていないコンセプトモデルも紹介された。

 プロモーショングループの砂原哲氏

 中でも興味深いのは、グラフィックデザイナーの東泉一郎氏がデザインした「apollo」「apollo 02」。apolloは端末を回転させるとフルキーボードが現れる斬新なデザイン。apollo 02は、端末表面に好きな言葉や絵柄を作れるパズル・ブロック・セットがオマケで付くユニークな端末だ。

 端末の上半分を回転させるとフルキーボードが現れる「apollo」。キーボード周りの素材にもこだわりが見られる
 遊び心いっぱいのapollo 02。東泉一郎氏は「もし『2001年宇宙の旅』の宇宙船内で電話機が使われていたらどんなものになっただろう」と考えて開発したという

 初期のG-SHOCKシリーズを担当したという経歴のプロダクトデザイナー、二階堂隆氏のコンセプトモデルも面白い。2001年に発表した「rotary」は、回転ヒンジの流行を予感していたかのようなデザイン。「wearable」は「ケータイはどこまで人と一体化できるのか?」を追求したアクセサリー型の端末だ。

 アクセサリータイプのwearable
 回転ヒンジを取り入れたrotary。なんと2001年の作品

 可愛いながら洗練された雰囲気を持つ「A5405SA」(4月20日の記事参照)をデザインしたことで知られる岩崎一郎氏の作品は、イタリアの地酒の名を冠したもの。革のカバーで覆われた「GRAPPA」は、好みのカバーに付け替えて使える端末。「GRAPPA 002」は、精悍なイメージのスライド式端末。2002年に発表されたこの端末は、ストレートタイプとフリップタイプ以外の選択肢を提案している。

 GRAPPA。決定キーはA5405SAのものと似た雰囲気


 スライドボディのGRAPPA 002


 GRAPPA 002。閉じた状態ではダイヤルキーが表に出ている

発表済みの端末にまつわる開発秘話も

 砂原氏は、既に製品として発売された端末や展示会でお目見えしたコンセプトモデルに関する開発秘話も披露。INFOBARの背面が当初PDAだったという話は面白い。

 「コンセプトモデルを開発していた時期は、携帯がPDA化するのか、PDAが携帯になるのか──という議論が盛んだった。深澤直人氏にデザインをオーダーする際、“ファッションとしての価値を持った携帯”“PDAの機能を持った携帯”という2つをリクエストした」(砂原氏)

 そして出てきたのが、“表は携帯電話、裏は文字入力エリアの付いたPDA”というデザイン。製品化までになくなってしまった機能だが、発想のユニークさが目をひく。

 初期のデザイン。背面にPDAの機能が盛り込まれていた


 INFOBARをデザインした深澤氏が、最初にレゴで作ったケータイを見せたのは有名な話。砂原氏によれば、それだけではなく、透明の石けんにアンテナを差したものや鏡も見せてくれたという

 “ロボット”と形容されることが多いWIN端末「W11K」も(1月15日の記事参照)、本来のコンセプトは意外なものだ。「ジャガイモを包丁でむいた時のイメージ。手触りはそれを水洗いしたときの心地よさを表現している」(砂原氏)。

 深澤氏は生活の中のなにげない動作や感覚を携帯に取り入れることが多く、「ishicoro」(2002年5月の記事参照)もその1つ。多摩川縁で拾ってきた石をそのままかたどったボディは、「人工では作れない造形」(砂原氏)。そうした自然な形は、石を拾ったときになにげなくぬぐってしまう感覚を携帯に反映させたものだ。

 ishicoroは背面がぼんやり光り、虫や鳥の声が聞こえる癒し系端末。「プレゼンの時、深澤氏は白いシャツの上に淡く光るishicoroを置いた。これがとても印象的だった」(砂原氏)

日本の技術力にデザイン性をプラス

 日本の携帯電話開発の技術力の高さは世界でも折り紙付き。この技術にデザイン性をプラスして世界にアピールしたいと砂原氏は考えている。

 「理想のデザインを目指して技術者の方々が、常識では考えられない技術を開発してくれた」(砂原氏)

 その甲斐あってau design projectの端末は、海外の雑誌で紹介されることも多いという。

 数あるコンセプトモデルのうち、いくつが製品化に向けて開発が進んでいるのかは明かされなかったが、「今年もわくわくするようなデザインを発信していく」というから楽しみだ。

 このセミナー「メイキング オブ “au design project”」は、ワイヤレスジャパン 2004のKDDIブースで毎日行われる。携帯デザインに興味があるユーザーは必見だ(7月22日は15時50分から、7月23日は15時20分から)。

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