auが通信品質10部門で単独首位、追うソフトバンクは「小差」 5G SA利用率3.8%の課題も Opensignal調査

» 2026年10月28日 20時29分 公開
[田中聡,ITmedia]

 英Opensignalが、国内通信事業者を比較した最新の「モバイルネットワーク・ユーザー体感レポート」を発表し、10月28日に記者説明会を開催した。今回の調査期間は2026年7月1日〜9月28日となる。

auが10部門でトップ、各社もエリアやスピードで存在感

 全国を対象とした受賞結果において、auは全18指標中10部門でトップとなった。auは国内キャリアの最多受賞で5回連続トップを達成した。

Opensignal 2026年10月に発表したモバイルネットワークのアワード結果

 Opensignal プリンシパル・アナリストのロバート・ヴィルジコウスキー氏は、auの勝因について「特に通信品質とアプリエクスペリエンスのカテゴリーで圧倒的な強さを見せた」と説明する。auは「一貫した品質」と「信頼性」の2部門を単独受賞し、信頼性に関しては今回で5回連続の受賞となった。さらに、ビデオやゲーム、音声アプリなどアプリ関連の8部門全てで単独受賞を達成した。

Opensignal auが国内最多となる10部門で受賞した
Opensignal auは5回連続で国内最多受賞を果たした
Opensignal Opensignalから贈呈された5期分のトロフィー

 ドコモはカバレッジ関連の4部門中3部門で受賞し、生活空間や移動ルートにおけるエリアの広さを示した他、5G下り速度でも約160Mbpsで首位を維持した。

Opensignal ドコモは5Gダウンロード速度とカバレッジでトップに立った

 楽天モバイルは、上り速度と5G上り速度の2部門で全国8地域全てを制覇した。自社回線網を拡大し、KDDIローミングへの依存度引き下げを並行して進めながら、安定した品質を維持している点が評価された。

Opensignal 楽天モバイルは上り速度が評価された

 ソフトバンクは下り速度(71.5Mbps)と5G利用率の2部門で単独受賞を果たした。下り速度は前回レポート比で約10%向上している。5G SAの導入を広げたことで、5G利用率は36%まで伸ばしている。

Opensignal ソフトバンクはダウンロード速度や5G利用率で首位を獲得した

5G SAの性能優位性を実証も、接続率はわずか3.8%にとどまる

 レポートでは5G SA方式の性能分析も取り上げられた。国内データによると、5G SAは従来のNSA(ノンスタンドアロン)方式と比較して下り速度が15%高速化し、一貫した品質が8%向上したという。さらに、遅延も低減できる他、屋内での通信も一貫した品質や低遅延でNSAより優れていることが確認された。

 ヴィルジコウスキー氏は「ネットワークから4Gの基盤部分を切り離すことで応答時間が短くなり、ストリーミングやゲームでユーザー体感が大きく向上する」とSAのメリットを指摘する。

Opensignal 5G SAはダウンロード速度と一貫した品質がNSAよりも向上している
Opensignal 低遅延やゲーム体験でも5G SAは優れているという
Opensignal 屋内の通信品質向上にも5G SAは優位に働く

 一方で、普及面には依然として課題が残る。国内のOpensignalユーザーが5G SAに接続している時間の割合はわずか3.8%にとどまる。5G SA対応エリアが広がっているにもかかわらず、利用が進まない要因についてヴィルジコウスキー氏は「5G SA対応端末がまだ広く普及しておらず、従来端末を利用し続けているユーザーが多いことが一因だ」と回答した。

 同社APAC地域セールス担当バイスプレジデントのロブ・ラーナー氏も「通信事業者の周波数の使い分けが影響している。Cバンド(3.4〜4.2GHzなどの周波数帯)を優先することで、SAの接続エリアが局所的になっている側面がある」と補足した。

Opensignal 5G SAの利用率はわずか3.8%と課題が残る結果となった

ソフトバンクは小差で2位も、品質はグローバル水準

 auが最多受賞をした一方で、通信品質では近年、auと並んで高評価だったソフトバンクが多くの部門で2位となって差がついてしまった。ただしラーナー氏によると、その差は小差だという。

 2社の違いについて同氏は「ソフトバンクは低周波数帯の転用も含めて5Gのエリア展開を積極的に進めた結果、5G利用率で明確な首位に立っている。一方のauはCバンドをより多く活用しており、全体の品質バランスでauが首位を獲得した」と分析した。

 続けてラーナー氏は「Opensignalが発表したグローバルアワードでは、auとソフトバンクの双方が多くの部門で世界のリーダーに選出されている。国内での競争はし烈だが、世界水準で見れば両社ともに極めてハイレベルなパフォーマンスを発揮している」と総括した。

日本は衛星直接通信で世界のフロントランナー

 説明会では、スマートフォンと衛星が直接通信を行う「D2D(Direct-to-Device)」の世界的な動向を可視化した「D2Dマップ」も公開された。日本は世界の中でもD2D導入が進んでいるフロントランナーに位置付けられている。海外では米国、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、フィリピンなどで衛星直接通信サービスの導入が進んでいる。

Opensignal 日本で広範囲に展開されている衛星との直接通信
Opensignal 世界的に見ても、衛星との直接通信サービスを導入している国と地域は少ない

 ドコモは2026年5月にStarlinkと提携して衛星との直接通信サービスを開始し、2カ月で契約者数500万人に到達した。同社はさらに「Starlink Mobile V2」の利用契約を結び、2028年には音声通話や高速データ通信を提供する。auも同様にStarlink Mobile V2の契約を進めて2027年末までの本格展開を目指す。楽天モバイルはAST SpaceMobileと組んで2026年末までの商用化を計画している。

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