「PointCastの夢」はFlash Castに引き継がれる?:MAX 2004

» 2004年11月04日 23時23分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 MacromediaとJストリームが、結びつきを深めている。Jストリームが、Macromediaの携帯向け新事業「Flash Cast」(11月4日の記事参照)の配信サーバホスティングを担当するなど、提携関係を強める予定だ。

 もっとも、両社が同サービスで手を組む背景には「隠れた理由」が存在するようだ。実は、Jストリームのエグゼクティブ・プロデューサー、メディア・コンテンツ・プランニング部の橘守氏には、Flash Castと似たサービス「PointCast」(2002年6月20日の記事参照)を手がけていたという過去がある。その橘氏が、Flash Castに大いに魅力を感じているというのだ。

 米国で開催中のカンファレンス「MAX 2004」(11月3日の記事参照)に出席中の橘氏に、話を聞いた。

Flash Castを

 1997年に国内で提供開始され、その後消えていったPointCastを覚えているユーザーは、いまどれくらいいるのだろうか。一時はWeb、メールに次ぐ「第3の情報配信メディア」として、プッシュ型サービスが大いに期待されていた。

PHoto

 橘氏は、「PointCastの最後の2年間を担当したのが私だ」と苦笑する。「ネットを活用して、PC上でプッシュビジネスをやったのだが、限界があった」。

 同氏によれば、同サービスは多いときで18万人のユーザーを抱えていた。しかし、それでは広告メディアとして相手にしてもらなかったという。

 「当時の我々は、雑誌と比較して『18万部出ている雑誌と同じくらいのメディア価値がある』と主張していた」

 しかし、プッシュ配信サービスはどちらかといえばテレビ・ラジオに似た媒体であり、「3桁(数百万規模のユーザー)ないと広告媒体として認められない」状況だった。広告以外の収益モデルを探ろうにも、コンテンツ課金のビジネスも厳しい状況で、行き詰まってしまったと説明した。

 一方で、今回のFlash Castはこの状況を打開できると橘氏。「ドコモのFlash対応携帯だけで、1800万台ある。それがそのまま(Flash Castの)ビューワになるわけではないが……」。よりマスにリーチできる可能性は高いという。

 携帯はまた、課金しやすいという側面を持つ。これは今なお、ブロードバンド業界がうらやむモバイル業界の重要なメリットだ。この2点を見る限り、Point Castでついえた夢を、Flash Castにたくせるのではないかとした。

 「昔から思っていたが、生活の中に“お知らせ”があると便利。たとえば私の両親が別の場所に住んでいるが、何か異変があると知らせてくれる、そんな風に向こうからやってくる、イベントベースのサービスは必要不可欠だ」

 “100日利用していて、100日間必要ではないが、101日目には絶対必要になる――”。プッシュ配信とは、そんなサービスだと考えているようだ。

橘氏の経験を活かせるか?

 プッシュ配信サービスに一家言持つ橘氏だが、同氏が実際にどうFlash Castに関わるかは、かなりあいまいだ。「自らの経験を活かし、Macromediaに各種コンサルティングを行う」という程度の位置付になる見込み。

 Macromediaのモバイルアンドデバイスディレクター、仁平則行氏は、Jストリームのような企業とパートナーシップを組むことは重要だと強調する。

 既報のとおり、MacromediaはFlash Castのコンテンツアグリゲーションなどには関わらない。しかし「ツールがあろうが、プレイヤーがあろうが、コンテンツがなければそのサービスは売れない」(仁平氏)。コンテンツ面でノウハウを持ち、同社に欠けているものを補完してくれるような企業を探していたという。

 Jストリームは日本国内のブロードバンド発展期にあって、ストリーミング映像配信のための各種インフラを提供する企業(2001年12月17日の記事参照)。どのコンテンツがどの程度トラフィックを生む(=人気が出る)かといった情報にも詳しい。もちろん、橘氏のような個人ベースの経験も重要だ。仁平氏はそうした有形無形の資産を、Flash Castを含む一連の事業に利用したいのだと説明した。

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