日本テレコム、時速120キロで移動中の列車から無線LAN接続

» 2004年11月16日 21時26分 公開
[吉岡綾乃,ITmedia]

 日本テレコムは11月16日、JR北海道の協力を受け、列車内でのブロードバンドインターネット接続実験に成功したと発表した。時速120キロで移動中の列車から、IEEE 802.11gの無線LANでインターネットに接続。実効伝送速度8〜15Mbpsの通信を実現した。

 この技術が商用化されれば、一般ユーザーに電車内での無線LANスポットサービスを提供したり、コンテンツを配信できるようになるという。

コスト低減、商用化を目指す

 高速移動する乗り物からインターネットに接続するには、たとえば衛星を利用するなどの方法もあるが、本実験では線路沿いにアクセスポイント(以下AP)を設置。各APのカバーするセル間を高速にハンドオーバーしながら接続する方法をとっている。衛星利用などに比べ、大がかりな装置を必要としないため、低コストでインフラを整備できる点がメリット。

 今回の実験では時速120キロだったが、実験室では時速500キロでも実効伝送速度15Mbpsを実現したという。実験のポイントの一つは、APのカバーするエリアを高速に走り抜ける列車が、どのようにハンドオーバーしていくかにある。

 ハンドオーバーにモバイルIPを使用しているのか、という問いに対し、日本テレコム プロダクト統括本部 情報通信研究所の山崎吉晴氏は「今回の実験では、モバイルIPではない独自の方式を使用している。モバイルIPは、こういった用途には処理が重すぎる」と答えた。

 商用化のスケジュールはまだ決まっていないが、「機器の実装方法や耐久性が課題になると思う。個人的な気持ちとしては、1〜2年でできるのではないか」(山崎氏)とした。

最大間隔4キロのAPを無線LANでつなぐ

 今回の実験が行われたのは、札幌駅から新千歳空港駅までを結ぶJR千歳線の一部区間。実験に利用した車両は1編成で、一日3往復した。

 実験区間の駅や沿線に、複数のAPを設置。APは、見通しのよい郊外の直線区間で最大約4キロ、都市部では0.5〜1キロ間隔で設置された。

 APと列車の間、APとAPの間、列車の車両間はいずれも無線LANで接続される。AP間を高速にハンドオーバーしながら列車が走ることになるが、途切れなどもなく、ハンドオーバーの動作確認でも、結果は良好だった。

今回実験が行われたエリア。島松駅〜長都駅間の約10キロ、快速エアポートが7〜8分で走る区間

 伝送速度はあまりばらつきがなく、悪いところで8Mbps、ほとんどのところで最高伝送速度となる15Mbpsのスピードで接続に成功した。

車内でWebブラウズ、IP電話で携帯と通話

 実験は3回行われた。第1回、第2回目は基礎伝搬試験で、地上側のAPの設置位置(高低)を変えて伝搬特性を測定。AP間の距離を延ばすには、高低よりも見通しを確保することが重要と分かった。このほか、悪いところで8Mbps、ほとんどのところで最高伝送速度である15Mbpsのスピードで接続に成功。また、約2キロの湾曲したトンネル内でも良好な伝送速度を得た。

 基礎伝搬試験の結果をふまえ、第3回目はアプリケーション試験を実施。内容は、車内からインターネットへアクセスしてのWebブラウズ、列車内とJR北海道本社をIP電話で接続しての通話実験、列車後部にWebカメラを設置し、動画を連続モニタリングという3種類で、いずれも良好な結果を得たという。

列車後部運転席での実験風景。搭載されたアンテナ、無線機はともに小型のもの


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