取材2日目の19日は、プレスだけでなく一般招待客も含めての内覧会だったため、前日とは比較にならないくらいの混雑ぶり。会場への足であるリニモが止まる騒ぎも起きたほどだった(3月22日の記事参照)。会場内の飲食施設は、もちろんどこも大混雑。愛・地球広場のそばにある食券方式の屋根付き施設「ワールドフードコート」や、前日食事したソフラ、そのそばにあるベルギー料理や韓国料理レストランなど、どこも軒並み大行列。レストランに入るのをあきらめ、軽食を買って食べることにした。
目を付けたのは、フランスパビリオンのそばにある「FRANCE PIZZA BAGUETTE」というスタンド。フランスパンにたっぷりのチーズを振りかけ、オーブンでピザのように焼いたものを売っている。
周りに漂うチーズの香りに吸い寄せられるように店舗の前に並んだ。パンを売っているのは、フランス人女性のキュートな店員さん。
店頭に並んでいるのは、チーズを乗せたパン、ソーセージを乗せたパン、タルト、カヌレなど。しかし、値札は付いていない。チーズを載せたパンを指さして「これください」というと、キュートな店員さんはカタコトで「1000エンデス!」と応えた。「まさか……」と衝撃を受けながら、隣のカヌレを指さして「これはいくら?」と聞くと、笑顔で「500エンデス!」という返事が。う、うそだぁ……。
1500円分のミールチケットを持っていたので、おそるおそる差し出すと、本当におつりはなかった。パンとカヌレを受け取って少し歩き、メインロードとなっている空中回廊に設置された自動販売機でコーヒーを買って、近くのベンチに座った。
混雑が収まるのを待っていたので、すでに時間は午後4時。朝早くから取材だったので、空腹は限界近かった。この日は晴れており、陽が差していればいい陽気だったが、なにしろ風が強い。回廊のベンチは吹きさらしで、強い風にあおられると体感温度はかなり低かった。ブルブル震えながら食べたパンとコーヒーはものすごく美味だった。前日の高級トルコ料理よりも美味だった。
パンを食べ終え、半分ほど残っていたコーヒーに手を伸ばしたとき、突風が吹いた。中身が入ったまま飛んでいく紙コップ──慌てて追いかけたが、もちろんコーヒーは床に全てこぼれてしまい、中身はカラだ。通りすがりの見知らぬおじさんが飛んできた紙コップを足で踏んで押さえてくれた。「すみません、すみません」と恐縮しながらつぶれた紙コップを拾うと、「可哀想にねえ、まだ入ってたのにねえ」と慰められてしまった。コーヒーが飛んだだけでもかなり切なかったのに、さらに切なさ倍増だ……。
なお、会場内にはサークルKやファミリーマートなど、コンビニもいくつかある。しかし弁当を買って外で食べていた人に聞いてみたところ、「列に並んでからお金を払うまで1時間並んだ」とのこと。
この日の入場者数は6万人。万博運営本部によれば、会期中の土日祝日には、1日20万人の入場者を見込んでいるという。しかし内覧の時点で、リニモに乗るのに1時間、入場するのに1時間、人気パビリオンを見るのに100分、食事をするのに50分行列という状態だったわけで、これから愛・地球博を見学予定の人には「行列にめげないでね」とだけメッセージを送りたい。
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