チュンソフトを傘下に〜ドワンゴの「ゲーム制作力」とは?

» 2005年04月01日 17時03分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 ドワンゴといえば、「着メロの会社」のはずだった。しかし、その状況は刻々と変わりつつある。

 同社の運営する「いろメロミックス」は、3キャリア合わせて400万以上の会員を誇る一大サイトだ(9月9日の記事参照)。これが同社の収益源であることは間違いないが、最近になって経営の多角化が目立ってきた。

 着メロ以外の柱となる可能性があるのが、独自の携帯ストリーミング放送サービス「パケラジ」だ。同サービスには、芸能タレント事務所やラジオ放送局のTFMグループなどが参加を表明。携帯のメディア化を目論んでいる。

 もう1つの軸となりそうなのが、ゲーム事業だ。同社は当初から携帯ゲームを開発しており、「サムライロマネスク」など力を入れたタイトルもあった。最近では「ドラクエ」「トルネコの大冒険」シリーズなどで知られるゲーム制作会社チュンソフトを子会社化するなど(3月31日の記事参照)、新たな動きも見える。チュンソフトのタイトルがすぐさま、ドワンゴの携帯サービスとしてリリースされるかどうかは不明だが、「ゲーム開発、運営面で協力することもあるだろう」(ドワンゴ広報)という。

 ドワンゴのゲーム事業。そこにはどれほどの可能性があるのだろうか。

ドワンゴに流入するゲーム業界の人材

 「ドワンゴに就職したというと、こんなリアクションが帰ってくるんですよ。『あ、君ゲーム作るのやめたんだね』と」(笑)

 そう話すのは、ドワンゴのコンテンツビジネス部企画セクションのディレクター、伊藤博之氏だ。同氏はもともと、ゲーム業界の人間。“携帯ならではの面白いゲームが作れるのではないか”と考え、ドワンゴに転職した。似た経緯でドワンゴに流れてきた人材は、ほかにもいるという。

 ドワンゴのゲーム部門は、比較的最近では着メロサービスにユーザーをつなぎとめるための「オマケサービス」との位置づけに見える。これらはゲームといっても、Flashのミニゲームなど。社外での知名度はこれまでのところ、さほど高くないようだ。

 同氏が現在手がけているのは、携帯で手軽にできるパズルゲーム「GROOVE CUBE」だ。女性にウケがいいとされるパズルゲームを、音楽やビジュアルにこだわって「オシャレっぽく」まとめた。簡単なミニゲームとは一線を画したクオリティだとする。

Photo (C)2001-2005 DWANGO Co. Ltd.

 「携帯ゲームの世界では、やはりコンソールゲームのタイトルを移植したものが強い。しかし『ノーブランド』でもいいものは作れる」。制作チームの規模は転職で小さくなったが、逆に1作1作大事に作れると意気込んだ。

ハイクオリティに挑戦したゲームも

 ハイクオリティな携帯ゲーム制作を追及するチームもある。ドワンゴの第一研究開発部 部長の岡本征史氏は、自らが手がけたシューティングゲーム「UNIVERT RAYKNIGHTS」の出来栄えを自賛する。

 「サンフランシスコで開催されたGDC(Game Developer Conference)というイベントでグラフィクスチップベンダーにも披露したが、そのビジュアルにかなり感動を受けていたようだ」。携帯ゲームの中では、現状トップクラスだろうという。

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 同ゲームを実際に見ると、確かにグラフィックは美しい。戦闘機が発射するミサイルも、「インベーダーゲーム」のような“白線”ではなく、迫力のあるレーザー光線になっている。

 「太陽光を表現する『レンズフレア』や、エネルギーを噴射したときに周囲が“はじける”ような『ブルーミング(グロー)エフェクト』なども盛り込んだ。音楽、操作性にもこだわっている」(開発に携わったソフトウェア開発セクションの和田昌司氏)

 プレイ中の画面をキャプチャーして、携帯内部に画像として保存できる機能も付け加えた。それだけ、グラフィックに自信があったということだ。

 「開発してみて、これだけやると容量がかさむかと思ったが、実際には30Kバイトにおさまった」(和田氏)。岡本氏によれば、それも携帯ゲーム開発のノウハウが蓄積していればこそだという。

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 岡本氏は、同社のゲーム事業がすぐに高収益に結びつくとは考えていないようだ。このゲームは、同社の技術力をアピールするための、ブランディングの意味あいもあるという。

 ドワンゴは以前から、ゲーム開発用ミドルウェアなども提供していた。400万の会員を支えるサーバにしても、自ら管理している。そもそもの技術水準は、高いのだと岡本氏は強調する。

 「ドワンゴは最近でこそ(パケラジなど)芸能関係の発表会も多い。しかし元を正せば、テクノロジー集団なんです」

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