au携帯、“音楽プレーヤー”としての実力は?(4/5 ページ)

» 2005年04月11日 15時50分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

 40KbpsのAACファイルの音質はどうなのだろうか。筆者の体感ではAMラジオ以上FMラジオ未満という印象だ。やはり一定の高域、低域がスパッと切り落とされた印象で、MDの音質には遠く及ばない。ただヘッドフォンでも小さい音量でBGM的に聴くには悪くない。また本体スピーカーの再生では音質が意外と気にならなくなる。

 再生はメディアプレーヤーから行うのが便利で、プレイリストに登録すれば任意の曲順で再生できる。着うたフルもminiSDメモリカードに移動すると一緒にプレイリストに登録して再生が可能だ。閉じた状態でも背面のディスプレイの曲名を表示、側面のボタンで音量調整、曲間移動ができるなど基本的な使い勝手は悪くない。メディアプレーヤーからはEメールメニューを呼び出し、音楽再生中にEメールの閲覧、送受信も行える。

プレイリストには同一メディア内の再生可能なデータを登録できる。登録後に曲の入換えも可能だ。メディアプレーヤーでの再生中はEメールメニューを呼び出すことも可能だ

 プレイリストはminiSDメモリカード上に(本体メモリのデータ分は本体メモリに)保存されるため、メモリカード単位で利用できる点はなかなか便利だ。つまりプレイリストごと複数枚のメモリカードを活用できる。プレイリストはメディアあたり最大5つ、1つに20曲まで登録できるので、最大100曲が登録できる。

 ただしボリュームが5段階だったり、プレイリストへの登録が一覧から1曲ずつしかできなかったりと、音楽プレーヤーとしては中途半端といわざるをえない。

 W21T以外の端末を見てみると「W22H」「W21CA」といったWIN端末はビットレートに制限はないものの、ファイルサイズに1.5Mバイトという制限がある。さらにQuickTime ProでエンコードしたAACファイルは再生できるが、iTunesでエンコードしたAACファイルは再生できない。「W22SA」はメモリカードが付いていないため、音楽プレーヤーとしての利用は現実的ではない。

 ちなみに「W31SA」はiTunesでエンコードしたAACファイルを特に制限なく再生できる。しかしPCフォルダからの取り込み機能が「miniSDメモリカード」から「内蔵メモリ」だけになり、音楽ファイルは内蔵メモリからminiSDメモリカードへの移動やコピーもできなくなった(着うたフル除く)。つまり簡単にはminiSDカードにAACファイルを登録できなくなっている。

 決まったフォルダに一定ルールのファイル名で書き込めば再生はできるが、この方法では曲名を反映させることができない。AACファイルを手軽にminiSDメモリカードにコピーする手段を意図的に封じているわけだ。音質面はともかくとして、iTunesでエンコードしたファイルを手軽に再生できるのは「W21T」だけということになる。

3G+本格音楽プレーヤー機能が魅力のau

 音楽プレーヤーとしてのau端末の魅力は、やはり最新の3G端末を兼ねることだろう。WebブラウジングやEメール利用の定額制も利用できる。音楽携帯をうたうW31SとW31SAは、PCの専用ソフトを使う必要があるが、音楽CDからメモリカードへの転送まで難しい知識は必要ない。両端末ともに音楽プレーヤーとしての操作性も良好だ。

 特にW31SAは、大容量のminiSDメモリカードも利用できるので、100曲単位で曲を放り込んでおける。W31Sは128Mバイトというメモリカードの容量制限がネックになっており、端末発売までにソフトが改善されることを期待したい。512Mバイトや1Gバイトといったメモリカードを使えるるようになれば、使い勝手の面も含めてケータイの音楽プレーヤーとしては現時点で最強になるだろう。

 それ以外の端末は、手持ちの音楽CDを楽しむ──という点では、あまり適していない。FOMAが、多少不便でも901i/700iシリーズの全端末で高音質なAACファイルを再生できるのとは対照的だ(4月4日の記事参照)

 W31SAの対応を見れば分かるように、この傾向は今後も変わりそうにない。W21Tに代表される“裏技的”な音楽再生機能は、今後は封じ込まれる方向にあるのだろう。それならばぜひ、SD-Audio機能を(miniSDメモリカード対応端末が多いので)多くの端末メーカーには採用してほしい。音楽CDとして既に持っている曲まで着うたフルで購入する──というのは、やはり無理があると思うのだ。

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