世論の高まりで発信者番号表示、SMS無料化なるか:韓国携帯事情

» 2005年07月19日 00時32分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 発信者番号通知サービス(CID)と、SMSを無料化すべき……。そんな市民団体による主張が、少しずつ存在感を示し始めている。無料化を渋るキャリアを尻目に継続して行われている活発な抗議活動に、一般ユーザや韓国政府情報通信部も関心を持たざるを得ないようだ。

市民団体が世論を牽引

 5月18日昼頃、CIDとSMSの無料化を主張する市民団体がSK Telecom(以下、SKT)本社前で1人デモを決行した(5月19日の記事参照)。それらがすでに普遍的なサービスとなっているのにも関わらず料金を支払っていることや、新たな設備投資が必要でもないのに付加サービス料金が課されていることに反対しての行動だ。同団体はこれ以前から同様の主張で、ストリートパフォーマンスを行うなどして持続的な活動を行ってきている。

 こうした活動を新聞などの報道機関が頻繁に取り上げるため、社会的関心も高まらざるを得ない。それまで関心の低かった一般ユーザも、CIDとSMSに料金がかかっていることを改めて認識すると、それに対する反対の気運が生まれた。

 10〜20代を中心としたインターネットコミュニティサイト「Damoim」が6月7日〜9日の間、利用者を対象にSMS料金に対する設問調査を実施したところ、回答者3194人中71.7%(2270人)が「通信業界はSMSで暴利を得ている」と回答し、これに対する反対意見28.93%(924人)を大きく上回った。

 現在のSMS料金に対しても、82.97%(2650人)が「高い」と回答した反面、15.12%(483人)が「適当だ」、1.91%(61人)が「安い」と回答した。また、SMS無料化については73.1%(2332人)が「無料化すべき」と主張しており、22.92%(732人)は価格値下げを、4.7%(130人)が無料送信サイトの拡大を支持している。韓国では、Webサイト上からSMSを送信できるサービスを利用しているユーザも多い。Webサイト側から提供される顔文字などを使わない限り無料で転送できるほか電話番号管理もでき、一度に大勢の人に送れるというメリットがあるためだ。

 SMSのこうした使い方から、韓国の携帯ユーザはSMSは有料であることを意識していることが分かる。それに加え市民団体が行動を起こすことで無料化への意識を高め、世論を作ることとなる。上記の調査が行われた頃はすでにCIDやSMS無料化がニュースや新聞を騒がせていた頃で、SMSに関して彼らがこうした反応を見せるのもそれらの影響が大きいといわざるを得ない。

再三にわたる要求にキャリアは折れるか

 韓国のCIDサービスは2001年5月に開始された。当時はキャリア3社とも2000ウォン(約200円)でサービス提供をしていたが、現在はSKTとKTFが1000ウォン(約100円)/月LG Telecom(以下、LGT)が2000ウォン(約200円)/月と、LGT以外は値下げをしている。

 逆にSMSはSKTが1998年に10ウォン(約1円)/1件で提供し始め、以降現在の30ウォン(約3円)/件まで段階的に値上げ、KTFとLGTは1998年から30ウォン(約3円)/1件を通してきている。

 この頃から市民団体による活動は開始されており、そのたびにユーザたちも一定の関心を持って世論を形成し、韓国政府の情報通信部も検討する、ということが繰り返されてきた。

 そして今回も同様のことが起きている。韓国国内の報道によると、情報通信部が7月1日に開いた「2005 下半期戦略会議」にて、キム・ドンス情報通信部情報通信振興局長は、「消費者のCIDおよびSMS料金値下げについて、どのように考えるか」との質問に「携帯電話料金については事業者に任せるべきだが、CIDは既に普遍化したサービスであり、基本料金に含めるのが望ましい」と意見を述べた。またSMS料金について「現行のまま付加サービスとするのが適当ではないか」としている。

 再三にわたって無料化が要求されてきているCIDとSMSだが、実現すると被害者となるキャリアは渋い顔だ。SMSとCIDは、キャリアが提供している付加サービス中でも利用者が多く、1、2位の売り上げを誇るサービスといわれている。しかしだからこそ世論は無料化の方向を強く望んでいる。真っ向から対立しているキャリアと世論に、政府はどう結論を下すのだろうか。今後に注目だ。


佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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