韓国政府の情報通信部は6月22日、現電波法の改正案を発表した。これが実施されれば、キャリア3社が現在利用している周波数帯に新たな規則などが設けられる。現在、SK Telecom(以下、SKT)のみが利用している800MHz帯を、ほかのキャリアが利用できる時代がくるかもしれない。
そもそも今回の法改正案は、「審査割当」と「対価割当」という周波数の割り当て方式の不平等性を改正しようというのが大きな目的だ。
「審査割当」される周波数というのは2000年の同法改正以前に割り当てられた、利用期間が決まっていない周波数のことで、「対価割当」というのは、20年以内という利用期間が設けられている上、利用対価を納めなければならない、法改正後に割り当てられた周波数のことだ。
割当方式 | 割当期日 | 対価 | 利用期間 |
---|---|---|---|
審査割当 | 2000年以前 | なし | なし |
対価割当 | 2000年以降 | あり | 20年以内 |
現在、対価割当の周波数には、IMT2000、衛星DMB、WiBro、LBS(位置情報サービス)などがある反面、審査割当の周波数にはセルラー、PCSなど携帯電話や無線データ通信などに利用するものが該当している。
新電波法では、審査割当された周波数の経済的価値や需要が大きく、対価割当の要件に見合うと判断された場合、対価割当に転換しようという意図がある。この際、事業者による特別な申請の必要なく審査割当を対価割当に変えられるようになるほか、電波使用料の減免を行う方針でもある。この改正案が実施されるとなると、審査割当の電波の対価割当への転換は2007年となる予定だ。利用期間はこれまでの20年以内から10年以内と改正される。
ちなみに法改正後に審査割当として割り当てられる電波は、利用期間が5年と決められ、法改正前からある既存の審査割当の電波は、無線局開設許可の有効期間が5年、利用期間は10年と定められている。
現在、キャリア3社は電波使用料などを、売り上げや加入者数に応じて支払っている。今回の法改正案が実行されることとなると、対価割当への転換対象になると予想されるキャリア3社は、さらに対価を上乗せされることになる。いずれも経済的には現在より厳しい状態となることが予想される。
さらには電波が飛びやすく国際ローミングがしやすい800MHzの周波数帯は、現在SKTのみが使用しているが、2GHz帯への完全移行前にこの法が施行されるとなると、3キャリアによる800MHz帯確保に向けた動きが見られるかもしれない。施行は来年下半期となる予定だが、日本でソフトバンクが起こしたような、新規参入による周波数帯を巡る激しい争いの気配は今のところなさそうだ。
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