「P902iのデザインコンセプトは『マテリアル』だ」
そう語るのは、パナソニックデザイン社の石田顕之氏。素材の質感や、手で触ったときの感触を重視し、ボディやカスタムジャケットをデザインしてきたという。「ボディにはアルミとマグネシウム合金を採用した。カスタムジャケットを付けないノンジャケスタイルでは、シルバーはヘアライン、ホワイトはツルッとした質感、ブラックはざらっとした質感を表現する表面加工を施している。また、付属するジャケットは、ガラス、ラバー、ステンドグラスをイメージした」
P902iは、カスタムジャケットを採用したモデルとしては4台目となる。また、有機ELを使ったP901iSの7×7ドット、P701iDの『光ドロップス』など、最近のPシリーズは光もデザインのポイントだ。P902iでも光を踏襲し、さらに進化させた。
「携帯電話を作るということは、もの作るということだけでなく、コミュニケーションそのものをデザインしていると解釈している。そして光という感性的な要素が、人のコミュニケーションにとって絶対に必要なものだと認識している。P902iの開発にあたり、コンセプトであるマテリアルというキーワードのもと、手で触れられるもの(リアルマテリアル)だけでなく、光もマテリアルとして考えた」(石田氏)
コミュニケーションの重要なアイテムの1つとして光を取り入れ、カスタムジャケットと光を組み合わせることを決定。光を素材として扱い、その素材感を表現するため、すべてのカスタムジャケットに合わせた光のデザインを用意したという。
光の表情は多彩で、カスタムジャケット全体が光るもの、端末の輪郭をなぞるように端の部分だけ光るもの、ドットが動くように見えるものなど、ジャケットと光の組み合わせで端末の印象がガラリと変わる。この光のデザインを実現するために、光らせ方に意外な工夫が施されていた。
「製品ではパネル全体が光っているように見えるが、もちろん、そんなに簡単に全体が光るわけはなく、機構設計部といろんなトライをした。LEDはカメラの下に2つ入っている。また、カスタムジャケットのはめ込み方をそれまでとは変えて、LEDの上に被さるようにした」(石田氏)
通常のLEDはボディの表面に出ていないと光が見えないものだが、P902iの場合はカスタムジャケットがLEDの上に載っている。それでも光がパネル全体に回るのはなぜか。
「実はカスタムジャケットの断面が研磨されていて、LEDとジャケットがぴったりくっつくことによって、光が水平方向に飛ぶようになっている」(石田氏)
P902iでは、光のデザインの部分で照明デザイナーの武石正宣氏とコラボレートしたことも注目を集めた。
「ジャケットの形状やLEDの構造から、さまざまな光を考えた。頭の中にイメージはあったが、自分たちだけでは複雑な光を美しくデザインすることはできない。そこで光の専門家である武石正宣氏にお願いした」(石田氏)
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