「タイトル先決め」の携帯文学賞、候補となった面白タイトルは(1/2 ページ)

» 2006年05月10日 00時35分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 まず面白そうな小説のタイトルを募集して、それからそのタイトルにあった中身の作品を再び募集する。そんな一風変わったケータイ電子書籍向けの文学賞が登場した。実施するのは角川デジックス、バンダイネットワークスと公募ガイド。文学賞の名前は「タイトルが先だ!文学賞」という(3月28日の記事参照)。

Photo 左から、月刊公募ガイドの橋谷尚人編集長、角川デジックスのマーケティング事業部第2グループコンテンツプロデュースチーム第3チーム、矢邉良太アシスタントプロデューサー

 月刊公募ガイドの橋谷尚人編集長は、ケータイ向け電子書籍はタイトルにこだわる必要があると話す。音楽CDの「ジャケ買い」という言葉があるように、電子書籍にも「タイトル買い」が存在すると考えるからだ。

 「携帯の小さな画面で“どの書籍を読むか”と候補を見ていると、やはりタイトルのインパクトがある方に目が行く」。強烈なタイトルを前もって用意すれば、その小説は売れるのではないかとの考えだ。「もう1つ、ユーザーの考える『面白そうなタイトル』を募集することで、ユーザーがどんな小説を読みたいかアンケート調査できるというメリットもある」

 角川デジックスのマーケティング事業部第2グループコンテンツプロデュースチーム、矢邉良太氏は「今の電子書籍業界は、有名作家の書籍がメインで売れる状況になっている」と話す。「しかしそれだけでは、先がない。携帯の文学賞によってオリジナルの作家を生み出せたら」

 あまり前例のない文学賞だったが、タイトルの募集には1万3344点と比較的多くの応募が集まった。うち携帯からの応募が半数を占めており、小中学生から70代のユーザーまで幅広い層のユーザーが応募したという。現在はネット投票が終わり、15日頃に3タイトルが発表される予定。その後は、3タイトルにあった小説を募集するフェーズに移行する。

候補となった面白タイトルとは?

 それでは、いくつか候補となったタイトルを見てみよう。パッと目につくのは、「神様にデコピン。」や「キミを思う資格。」など、末尾に「。」が付くタイトルがいくつかあること。どこか「モーニング娘。」を連想させる。

 「若年層が多く応募してくれたので、若い言葉の使い方をするケースが多かったかもしれない」(矢邉氏)

 世間で薄型テレビが話題になる中で、「薄型パパ」という意表を突かれるタイトルもあった。それだけコンパクトに、場所をとらない父親という意味だろうか。「存在感が薄いとか、あるいは髪の毛が薄いという意味かもしれない」(橋谷氏)。

バンダイネットワークスのコンテンツ事業部プロデュースチームリーダー、中尾治郎氏

 「幕の内弁当的存在者」というタイトルもあって、これはどのような“存在者”を指すのか気になるところ。幕の内弁当のように、多彩、多様、そんな性格の人間だろうかと空想が膨らむ。審査に関わったバンダイネットワークスのコンテンツ事業部プロデュースチームリーダー、中尾治郎氏は「これで、幕の内弁当を売っている人間が主人公だった! ということなら、逆に裏切られる」とコメント。幕の内弁当的存在者――。なるほど、そういう解釈も考えられる。

 「5才のプロポーズ」というタイトルは、本当に5歳児が女性にプロポーズをする……という展開では驚きが少ない。やはり“5才”が何の5才であるかがポイントになる。“恋愛を経験して5年目”かもしれないし、特定の職業を5年間続けている人物が主人公かもしれない。

バンダイネットワークスのコンテンツ事業部プロデュースチームサブリーダー、上西尚宏氏

 バンダイネットワークスのコンテンツ事業部プロデュースチームサブリーダー、上西尚宏氏は、「無添加BOY 着色GIRL」というタイトルを「映画化されそうなイメージがある」と評する。タイトルから察するに、食品添加物ゼロのピュアな男子が、合成着色料のようなイメージがあるアカ抜けた少女にいいように振り回される作品になりそうだ。しかし最後はおそらく、どしゃぶりの雨の中で着色GIRLが“無添加であることの素晴らしさ”に目覚める……と推測できる。「なるほどそこで、女の子の着色も落ちる……、と」(上西氏)

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