付きあってみたらいい人だった。そんな携帯です──開発陣に聞く「W43CA」(後編):「W43CA」開発者インタビュー

» 2006年09月22日 20時53分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 今や、カシオ計算機製端末の“お家芸”ともいえるのが、待受画面やメニュー画面などのプリセットコンテンツだ。開閉するたびにさまざまな表情を見せる「A5512CA」の「顔」や(2005年5月の記事参照)、ユーモラスなしぐさが楽しい「W41CA」のペンギンは(3月2日の記事参照)、ユーザーからの熱い支持を集めており、そのこだわりは「W43CA」(8月28日の記事参照)でも健在だ。

 インタビューの後編では、プリセットコンテンツへのこだわりやW43CAの目指した方向性ついてカシオの開発陣に聞いた。

 →インタビュー前編

“普通で品格がある”プリセットコンテンツを

 W41CAのペンギンで注目を集めたカシオ端末のプリセットコンテンツだが、この部分を強化し始めたのはA5512CAからだったと、カシオ計算機 第四デザイン室長の井戸透記氏は振り返る。

 「携帯電話全般を見たときに、当時のプリセットコンテンツはグラフィックデザインとしてレベルの低いものが多かった。カレンダーの写真のような南の島の写真が入っていたり、微妙なイラストだったり……。一方で、お金を払って購入するコンテンツは、作り手の個性が出ているものや、アート志向のものが多い。普通に使って品格がある携帯の画面デザインが少なかったのです」(井戸氏)

 そこで、まだ他メーカーが本気で取り組んでいなかったプリセットコンテンツのデザインに本腰を入れた。「うちは、まだこれからのメーカーなので、他メーカーが作らないもの、だけど確実にお客さんが求めているものを作ることにこだわっている」(井戸氏)。プリセットコンテンツの開発もその一環だ。

 端末と連携した画面デザインを徹底するため、組織も変更した。「当時、デザインセンターの中でも画面デザインを手がけるところとプロダクトをデザインするチームは別だったのですが、それだとどうしてもイメージやこだわりに差が出てしまう。A5512CAからは、(端末デザインを手がける)第四デザイン室で画面のほとんどをデザインするように組織を変え、プロダクトとがっちり手を組んで作っています」(同)

Photo A5512CAのFlash待受「顔」(左)。中と右は、W41CAのペンギン待受と発着信アニメ

 こうして生まれたのが、A5512CAの待受Flashの「顔」だ。開閉するたびに異なる表情を見せるだけでなく、時間との連動によるしぐさの変化も楽しめるこの待受Flash画面は、購入ユーザーから絶大な支持を得たという。「KDDIの中で画面デザインの満足度調査を行ったときに、同時期に出た端末の中ではA5512CAがトップでした。プリセットコンテンツをダウンロードコンテンツに変更しない比率もトップであるなど、がんばって作ったものが評価されたのは本当にうれしかった」(同)。このプリセットコンテンツへのこだわりはW41CAのペンギンでも踏襲され、“プリセットコンテンツにこだわるカシオ”を印象づけた格好だ。

「顔」がさらに表情豊かに、ペンギンもゲスト出演

 新端末のW43CAでももちろん、プリセットコンテンツへのこだわりは健在だ。A5512CAユーザーがWINへの移行を検討する時期であることも考慮して、顔の待受Flashをバージョンアップしたものを搭載した。「顔の数がA5512CAの2倍以上に増え、季節やイベントとの連携にも対応しています。夏だと飛んでくる蚊を手で払ったり、花火をしたり。クリスマスにツリーが出てきたり、大晦日に年賀状を書いたりもします」(井戸氏)

Photo 表情が多彩になった「顔」のバリエーションの一例(左)と携帯画面に表示したところ。「同じ酸っぱそうな顔でも、梅干しを食べているときもあれば、ピクルスを食べているときもある」(井戸氏)

 新たなコンテンツとして用意したのは、「携帯の中に1つの街が入っているようなイメージ」の「街」だ。1つの街が3つのエリアに分けられ、開閉するたびに違う場所で違う人々が動く様子を見ることができる。背景は端末の時計と連動しており、朝、夕方、夜に変化。「朝は犬の散歩をしている人がいたり、昼はカフェのランチサービスに行列ができていたり、夜はどろぼうが歩いていたり……。背景が変わりながら、街の住人がいろいろなことをしている様子が繰り広げられるのです」(同)

Photo W43CAの中にある街の全景を表したポストカード(左)。上が昼、下が夜の様子だ。右は携帯に表示される街の様子(右)

 そしてW41CAのペンギンテイストを感じさせるのが、デジタル時計。画面の右上に表示されるデジタル時計を、シルエットで描かれる動物たちがさまざまな方法で変えていくというものだ。

 「時間を変えるためのいろいろなネタを仕込んでいます。キツツキが壁をつついて、ガタガタ揺れているうちに時計のパネルが落ちて時間が変わったり、イノシシがぶつかる衝撃で時間が変わったり……。W41CAで人気だったペンギンもちょっとだけゲスト出演しています」(同)

Photo あの手この手で時間を変える動物たち。ペンギンはバケツリレー的に時間を変えるバージョンにゲスト参加している。なお、顔、街、ペンギンのいずれも動くサンプルをカシオのW43CAサイト(PC向け)で見ることができる

「つきあってみたら、いい人だった」──そんな携帯です

 W43CAには、ソニー・エリクソン・モバイル「W43S」のあかりのようなような見た目のインパクトがあるわけでもなく、ワンセグを搭載した日立製作所の「W43H」や三洋電機の「W43SA」のような飛び道具的機能があるわけでもない。

 しかし、ドコモから移行しても同じ感覚で利用できるEZニュースフラッシュやデコレーションメール、au固有の新サービス「EZチャンネルプラス」などの機能がバランスよく装備され(8月29日の記事参照)、2.6インチのワイド液晶も備えている。そして端末を開くたびに楽しい気分にしてくれる待受画面が用意されている。いずれも使い込むうちに、そのよさが実感できる要素だ。

 「外見はちょっと地味だけど、つきあってみたらいい人だった──。W43CAはそんな携帯です」(井戸氏)

Photo ちょっと地味といいつつも、その質感にはこだわりがある。「パールやメタリックが入っていた方が質感が高く見え、細かい表面の凹凸や成形のアラも隠せるのですが、W43CAではあえてごまかしが効かない全光沢のソリッドカラーを選びました。W43CAは文房具や雑貨のような存在をイメージしており、これらのものにパールが入っていることは少ないからです」(井戸氏)。レッドポストはスリーコート(三度塗り)仕上げで、一般的な二度塗りより手間もコストもかかっているという

“ハイエンドカメラのカシオ”は復活するか

 カシオの携帯カメラに対する最近のアプローチは、“スペック上の高画素より機動性や撮った後の使い勝手を重視する”という方向で、3.2MピクセルCCDカメラを搭載した「W31CA」(2005年5月の記事参照)以上のカメラスペックを持つ端末はリリースしていない。

 ただauのラインアップにシャープが加わったことで、auシャープ端末 vs. カシオ端末の「ケータイカメラ頂上決戦」に期待するユーザーも多い。

 高画素カメラを搭載した端末の開発について、カシオ計算機はどのように考えているのだろう。

 「W43CAは、A5512CAを使っていて、“これがWINだったら”と思う人にとって便利な機能を考えて作っていますし、タフネス携帯が欲しくて乗り換えられずにいた方々に対してはG'zOneシリーズを開発しました。高画素カメラを搭載した「W21CA」「W31CA」ユーザーが次に乗り換える機種が分かりにくいことは私たちも認識しています」(井戸氏)

 携帯電話の開発にはキャリアの意向も影響するため、明言は避けたが、高画素カメラ端末の開発に含みを持たせるコメントだった。


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