MNP受け付け停止、主因は家族割引──ソフトバンク孫社長(1/2 ページ)

» 2006年10月31日 20時50分 公開
[園部修,ITmedia]

 ソフトバンクモバイルの孫正義社長と阿多親市専務執行役情報システム・CS統括本部長(CISO)兼カスタマーサービス本部長は10月30日記者会見を行い、10月28日と29日に番号ポータビリティ(MNP)手続に問題が発生し、受け付けを停止した理由と対策を説明した(10月30日の記事参照)。

PhotoPhoto 謝罪するソフトバンクモバイルの孫正義社長と阿多親市専務執行役情報システム・CS統括本部長(CISO)兼カスタマーサービス本部長

 対策の内容は既報の通りで(10月30日の記事参照)、11月5日までは機種変更や契約変更、買い増しを受け付けないなどの制限を設けて、MNPの処理を最優先で実行しながら増強したシステムの様子を見る。11月5日以降は通常業務に戻す計画だ。

 会見で孫社長は、ユーザーと他キャリアに迷惑をかけたことについて謝罪した。しかし「MNPの処理を行う能力が不足していた点は反省しているが、MNPの本質である“流動性を高める”“競争を促進する”という点では貢献しているのではないかと思う」と話すなど、従来通り強気の姿勢は崩していない。

 システムの処理遅延が発生した原因については、基本的に「新料金プランが好評で新規契約、機種変更が増えた上、MNPを利用した転入出も多かったため」という見解のままで変わらず、ドコモやKDDIが主張している「ソフトバンクモバイルからの転出が多かったため」という言い分とは相違したまま。結局MNPを利用して転入・転出した契約の数や、転入と転出でどちらが多いかといった情報も「今後は月に一度公開していく」(孫氏)と発言したものの、今回は公表しなかった。

MNP手続きを停止した原因は「家族割引」の処理

 システムに障害が発生したそもそもの原因は、従来の「家族割引」の制度に関連する処理が他社と比べて複雑だったためだという。

 ソフトバンクの家族割引は、主回線には基本使用料の割引がなく、副回線の基本使用料が半額になる。他社が実施している「ファミリー割引」や「家族割」のように、家族の基本使用料が一律割引されるものとは異なり、主回線と副回線が厳密に分けられているのが特徴だ。この主回線と副回線という区分けが混乱を生むきっかけとなった。

 ソフトバンクの業務システムは、家族割引を組んでいる回線のうち、主回線がMNPで転出するなどの理由で解約された場合、残りの副回線の中から自動的に主回線を設定するようになっている。しかし28日、29日には主回線と副回線の一部が順次解約されるといった事象が発生した。その際に、主回線が解約されたことを受けて自動的に主回線扱いに変更されていた元副回線を、副回線として解約しようとしてエラーになる、といった現象が多発した。

 その結果、ただでさえ転入出の処理が重なって負荷がかかっていた業務システムに、エラーメッセージによる負荷がかかり、システムに輻輳が起きた。この輻輳により、他社からMNP転出者に関する問い合わせが来ても120秒以内に返信することができなくなったため、ドコモとKDDIからの再問い合わせも増え、さらに状況を悪化させた。最終的には、MNP手続きが約束通りの時間で処理できなくなったため、最終的にはドコモとKDDIからMNP手続きの停止を通告されるに至った。

 29日の午後、MNP手続きを停止したあとも新規契約などの業務を継続していたのは、「ドコモとKDDIが、ソフトバンク側の体制がしっかり整ったことを確認できるまで手続きの再開を拒んだためで、業務システム自体は動作していたのでソフトバンクだけで完結する処理は実行できた」(孫氏)のが理由だ。

 システム能力自体はMNPに向けて十分に増強してきたが、「それをはるかに超えるお問い合わせとお申し込みをいただいた」と、阿多氏は準備していたシステムの能力が不足していたことを認めた。土曜日から日曜日にかけて、従来の2倍ができるようシステムを改修したが、それでも日曜日には処理が間に合わなかったため、10月30日からは、MNPに対応するためのシステムと回線を開通させるシステムを直結し、従来から利用している業務システムは経由しない形に改変した。これにより、滞りなく処理が行えるようになっているという。

 「処理能力を増やすのに必要な人員やシステムはすべて投入せよ、と伝えてある」と孫氏。「経費や予算を考慮することなく、最大限の誠意をお客様に示し、極力迷惑がかからないよう対策を進めている」と説明した。対策費は「集計してみないと分からないが、おそらく数億円程度で、決算にも影響はあるだろう」(孫氏)と試算する。

 説明を聞く限りでは、ソフトバンクからの“転出”が原因でシステム障害が起きたように思えるが、ソフトバンクでは処理に遅延が生じるほど負荷がかかった理由について「転入、転出、新規契約や機種変更など、すべての契約が関係している」(阿多氏)とだけ話した。

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