第1回 家族割引の「割引率」「割引対象」「割引範囲」は各社でこんなに違う! ケータイ料金節約講座

» 2006年08月22日 18時48分 公開
[石野純也(EYE's factory),ITmedia]

 家族を対象とした割り引きは、J-フォン東海が「ファミリーパックゴーゴー」で先駆けたサービスだ。当初はさほど割引率の大きなサービスではなかったが、各社の競争が激化する中、割引率は大幅にアップした。

※初出時に「家族を対象とした割り引きは、NTTドコモが『ファミリー割引』で先駆けた」と記載しておりましたが、J-フォン東海の「ファミリーパックゴーゴー」が先駆けでした。お詫びして訂正します

 家族を単位とした割引サービスは、ドコモの「ファミリー割引」とauの「家族割」の割引率が25%。ボーダフォンの「家族割引」はやや特殊で、副回線のみ基本使用料が50%割り引きになり、主回線には割り引きは適用されない。

 また基本使用料に加え、家族間の通話料が割り引かれるのも家族割引の特徴。ドコモ、auは30%、ボーダフォンは50%の割り引きが適用される。また、ドコモとボーダフォンは家族間のメールが、auは家族間のCメールが無料になる。

 さらに、ドコモとauは、無料通話分を家族と分け合うことも可能だ。auは、無料通話分を家族と分け合うか、自分で繰り越すかの一方しか選べないが、ドコモは2カ月繰り越して余った無料通話を自動的に家族に分け合うことができる。

 このように家族割引サービスは、大幅な割引が適用されるのにも関わらず利用料などは一切かからない。家族が同じキャリアの携帯を使っているなら、加入したほうが得なサービスだ。

 ちなみに、分け合った無料通話分はドコモとボーダフォンがパケット代にも利用できるのに対して、auは「ダブル定額ライト」などの、パケット通信料の割引サービスを利用していると通話分にしか利用できない。この点は注意しておこう。

3キャリアの家族割引サービスの違い
名称 基本使用料割引率(主回線) 基本使用料割引率(副回線) 家族間の通話料割引率 家族間のメール 適用可能な回線数
ドコモ ファミリー割引 25% 25% 30% 無料 10回線まで
au 家族割 25% 25% 30% Cメール無料 10回線まで
ボーダフォン 家族割引 0% 50% 50% 無料 5回線まで(9月から10回線)

割引率だけでなく「無料通話」の扱いにも注目

 3キャリアの家族割引サービスを比べると、ボーダフォンの基本使用料に対する割引率の高さが目を引く。基本使用料、家族間の通話とも50%と、他社に比べると割引率が2倍と非常に高い。仮に夫と妻、子供で家族割引を組んだ場合、ドコモとauは家族全体で25%の割引なのに対し、ボーダフォンは約33.3%の割り引きになる。しかし、これにはちょっとしたカラクリが存在する。ボーダフォンのみ、家族割引を適用すると無料通話分も半額になってしまうのだ。

 例えば、バリューパックシルバーで家族割引が適用されると、通常6195円の基本使用料が半額の3097.5円になる一方で、無料通話も半額の1575円分になってしまう。ドコモの「タイプM」(基本使用料6930円)にファミリー割引を適用した場合の基本使用料は5197.5円と、ボーダフォンに比べると割高感はあるものの、無料通話はそのままの4200円分。基本使用料から無料通話分を引いた金額で比べると、ボーダフォンが1522.5円なのに対し、ドコモは997円になる。

 この観点で比べると、ドコモの方が割安なのが分かるだろう。これは、ボーダフォンとauを比べた時も同様だ。auのWIN向け料金プランである「プランM」(基本使用料6930円)に家族割を適用すると5197.5円になるが、無料通話は4252円のままで、差し引きすると945.5円となる。

家族割引サービス適用後の各社別「基本使用料」と「無料通話」

家族割引サービスに適応される“家族”って?

 家族割引サービスに加入する際には、「どこまでが家族か?」という点にも注意が必要だ。ドコモとauでは、異なる世帯であっても家族ということを証明できればサービスが利用できる。例えば、父親が主回線として契約しているなら、同じ家に住む母親やその子供はもちろんのこと、実家を離れて一人暮らしをしている子供や、父親、母親の親や兄弟まで割引の適用範囲となる。世帯と名字が異なる場合、それを証明するために複数の戸籍謄本が必要なケースもあるが、上記の割引率を考慮すれば、多少の手間をかけてでも加入するメリットはある。また、ドコモとauは1人で複数回線契約することでも割り引きが適用される。これについては、回を改めて解説していく。

 一方、ボーダフォンの“家族の範囲”は、他社の基準と少々異なっている。ボーダフォンの家族割引は、主回線、副回線をそれぞれ同一住所、同一名義で契約する必要があるからだ。また、他社と異なり請求は家族で一括されたものになる。例えば、親が主回線、子供が副回線の場合、いくら子供が経済的に独立していても、主回線の人がまとめて料金を支払わなければならない。子供が独立して別々に住んでいる場合は、家族割引を組むことができないのだ。

NTTドコモ、auの家族割引サービス適用範囲

ボーダフォンの家族割引の適用範囲(8月31日まで)

 現状では、3キャリアを比べるとボーダフォンが若干不利な状況だ。ただし、9月1日からボーダフォンの家族割引が改定され、ドコモやauと同様に、離れて暮らす家族も家族割引の対象になるほか、請求も個別にできるようになる(6月1日の記事参照)。この改訂で、家族割引の使いやすさは大幅に向上するだろう。ただし、無料通話が半分になる点や、主回線には割り引きが適用されない点は従来のままだ。

 また家族を対象にした割り引きには、中学生以下の子供や60歳以上のシニア向けの「ファミ割ワイド」「家族割ワイドサポート」なども存在する。今回はこれらの制度に触れていないが、これも回を改めて解説したい。

ケータイ料金節約のマメ知識 −1人でも入れるau「MY割」の盲点−

auには「MY割」という、1人でも「家族割+年割」と同様に基本使用料が最大半額になるサービスがある。このサービスは“家族”という複数回線契約の縛りがない半面、2年間の継続契約が必要だ。さらに契約は自動的に更新され、2年に一度の更新月以外に解約すると9975円の契約解除料がかかる。もちろん1人で割り引きを受けるサービスなので、家族割にあるような「Cメール無料」や「通話料30%オフ」という特典もない。


※本原稿は執筆時点(2006年8月22日)のデータを基にしています。また、料金プランは原則、NTTドコモは関東・甲信越地方、auは関東、ボーダフォンは関東・甲信地方のものに準拠しています。地域によってサービス開始時期や名称、料金などが異なる場合があります。

※料金の試算は概算です。実際に計算した料金にならない場合もあるので参考としてご利用ください。

※各社の基本使用料、無料通話、契約解除料などはすべて税込み表記です。

※各社のサイトやパンフレットで最新の情報を必ず確認してください。


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