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» 2007年01月24日 16時00分 公開

携帯3社、電波の安全性「改めて生体への悪影響なし」と主張

携帯3事業者は、携帯電波の生体への影響に関する実験結果を公表。「電波の安全性について改めて検証できた」とした。

[岩城俊介,ITmedia]

 携帯3事業者(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル)および三菱化学 安全科学研究所は1月24日、同社らが共同で検討・実験を進める、携帯電話の電波の生体への影響に関する細胞実験の結果を公表。細胞および遺伝子レベルにおいても電波の生体への影響が確認できず、「携帯電話基地局からの電波の安全性について改めて検証できた」とした。

 携帯電話などの普及に伴い、身近になった電波が健康に悪影響をおよぼすという説もあり、WHOや総務省(生体電磁環境研究推進委員会)も電波の安全性に関する、より一層の研究を推奨・推進している。これらの研究はその提言などに応えるべく、電波の安全性を確認・検証するために実施している(2002年11月の記事参照)。

photo 電波照射装置

 実験に使用する電波照射装置はドコモが設計・開発した。ホーンアンテナと誘電体レンズを組み合わせた開放型電波照射システムを取り付けた細胞培養装置で、第三世代移動通信システム(IMT-2000)にて規定されるW-CDMAの電波を発生させる。従来の論文などで報告されていた項目や社会的リスクに対する安全性を評価する場合に必要となる項目に加え、発がん性に関する項目を加えた、以下の5項目を主要課題としている。

  • 細胞の増殖
  • 細胞のDNA鎖切断に対する影響
  • 細胞のがん化作用(形質転換)
  • 遺伝子の働き(遺伝子発現)
  • ストレス、および細胞死の誘導(情報伝達)に対する影響

 今回の細胞実験は2002年11月から開始され、細胞の増殖・遺伝子の働き・DNA鎖切断などへの影響はみられないとする実験結果の一部を2005年4月に中間報告。残りの検討課題について引き続き実験を行ってきた。

 実験結果は、

  • 中間報告以降、継続して実験を実施した、細胞のがん化作用(形質転換)やストレスならびに細胞死の誘導(アポトーシス)に関連する遺伝子・たんぱく質への作用(情報伝達)についての検討項目においても、電波の影響は確認されませんでした。
  • 5年間の実験では、細胞レベルだけでなく遺伝子レベルを含めた主要課題5項目全てについて、携帯基地局の電波の防護指針値と同レベルから10倍に相当する強度の電波で評価を行ったところ、電波の影響は確認されませんでした。
  • 本細胞実験は、専門の研究機関(株式会社三菱化学安全科学研究所)に委託して実施したものであり、これまでの実験結果については下表の通り、国際会議ならび論文などで発表(一部予定)されております。
  • 実施された実験結果の一部は既にWHOのデータベースに登録されており、電波と健康についての研究を進めているWHO国際電磁界プロジェクトの取り組みに貢献いたしております。

 とし、細胞レベルおよび遺伝子レベルでの電波の生体への影響が確認されず、携帯電話基地局からの電波の安全性について改めて検証できたこと、また、これまでに得た結果は「電波が細胞構造や機能(DNAや遺伝子の働きなど)に影響を与え、がん化するかもしれないという主張を否定する科学的証拠の1つになるもの」とアピールする。

photo 細胞実験風景

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