「ダラダラ長いからCD売れない」――丸山茂雄“47秒・着うた専用曲”の必要性を語る(2/2 ページ)

» 2007年04月06日 17時26分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 「昔はプロの作詞家がいて、短い歌の中に言いたいこと全部入れた詞を書いていた。今のJ-POPは、女の子が自分で詞を書いている。理由は印税が入って本人の収入になるから。詞の才能もないのに」

 「詞は、たくさんのイメージをどんどん削ってできる。書き手の言いたいことを伝えながら書きすぎず、イメージを膨らませてくれるのが文章の醍醐味。技がなければダラダラ書くしかない。ダラダラ書くと音楽が長くなる」

 加えて、CD工場が増えたことや、CD-Rを自分で焼くことが可能になり、短い曲を書けない素人の作り手でも簡単にCDを作れる環境が整ったことも、曲が長くなった理由だと丸山氏は分析する。

 「以前は才能のある人だけがプロになってレコードを出せた。でも今はそれほど才能がなくてもとりあえずレコードが出せる。その理由はCD工場が増えたから」

 「レコードメディアは音楽以外に使えなかったから工場の数も少なかったが、CDメディアはPCソフトにもゲームにも使うから、レコード会社と契約しなくてもプレスできるし、CD-Rで自作もできる。昔だったらデビューできなかったような人も自分でプレスして世に出せる」

 CD作成のハードルが下がり、音楽の作り手が増えることは、音楽文化を豊かにもした。「音楽が民主化されて、やりたい人ができるという状況はできた」。だが、増えすぎたミュージシャンを切磋琢磨する指導者が足りないという。

 「母集団が大きい方が可能性はある。だがちゃんとしたものに育てるには指導者がいる。例えば野球。野球少年の数は今から20年前のほうが多いけど、大リーガーになって活躍するような選手は、今のほうがレベルが高いかもしれない。指導者がちゃんといないと、質は上がらない」

 ネット上では、一般ユーザーが一斉に作品を評価し、多くの人に評価された作品が残るという流れがあり、それが“Web2.0的”ともされている。

 「ネットで“総表現時代”が来たと言われている。玉石混交だけど、検索や評価の機能もたくさんできたから、わりといいものが浮かび上がるという思想だよね。その通りだと思うけど――」

 「結局、文芸にしても、雑誌の編集者が、いいとか悪いとか批評・指導しながら作家が育つ。音楽も同じように誰かが正しい批評をして『ここは良くない』『ここはいい』とちゃんと言ってあげないと技術や質は上がらない」

 「総表現時代だから、誰もが1作くらいは名曲が書けるのかもしれない。でもアルバム1枚作るとか、2枚目が書けるかどうかというのは、かなりの専門的な指導とトレーニングが必要だよね」

「ビートルズを聴かない世代」に理解得られず

画像 「他にやっている人がいれば、こんなこと考えないから。世界で初めて考えたってのが画期的だ、と言っている訳ですよ(笑)」

 丸山氏は47のサービスに参加するアーティストを集めるため、短い楽曲の良さをプレゼンして回っている。その際、ワンコーラスがちょうど47秒であるビートルズの「Please Please me」を聞かせる。だが最近のアーティストには、なかなか理解してもらえないという。「今の若いやつら、ビートルズ聴いてない。だから分からないのよ。それで実は、苦戦してる」

 「例えばミニスカート全盛期に『スカートは短いだけが能じゃない。マリーアントワネットだって長いの着てたじゃないか』と言われても『今はミニスカートも時代だもん』と言われてしまうだろう。歴史的事実はあるが、自分が急に長いのを着るには勇気がいる。今長い音楽が全盛だから、急に短い音楽をと言われても、長いのをやり続けたいと思うわけ」

 そのため、現在「47」で着うた配信参加している7組のアーティストは、大半が新人インディーズアーティストだ。「チャレンジしているのはまったく売れてない新人と、ビートルズを聴いて音楽を始めた上の世代の連中。つまり上と下だけ。年寄りと、言うことを聞く若い連中と(笑)。真ん中がぽこーんと空いてる」

 PC・携帯向けのmf247はこれまで、無料で音楽を配信してきたが、携帯専用の47は1曲210円と有料だ。「新人限定なら無料の方がよかったかもしれなんだけど、47は“真ん中”がもっと参加してくれると思ってたわけ。真ん中の人は売れてるから『無料は嫌』と言うと思ったわけ」

 「ところが真ん中の人たちが『そんなこと言ったっては長い曲が流行だもんねー』と言ってるから、その人たちが参加するのはもうちょっと遅れる」

「みんな同じことをやりたがる」

 「ネットの世界もそうだけど、新しいことをやるのは、以前よりずいぶん可能になったんだよね。にも関わらずわれわれ日本人は、みんなと同じことをやりたがる。音楽は長いということが今の流れだとすると、その長い音楽ということを思い切って短くするという勇気をもてない」

 「例えば女の人は長い髪はばさっと切るよな。そうすると『お前振られたのか』と――おれも聞くけど(笑)。それぐらい同じことを続けたがる。違うことをするには何らかの理由を必要とする」

 「私はネットやモバイルを使ってちょっと新しいことやってみたい、と思ってるだけ。だから曲を短くしてみた。女に振られたわけじゃないけど(笑)」

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