「地図の差分更新機能は世界初だ」
他社製品との違いについて、豊田章男副社長はこう強調した。
トヨタ自動車は10日、新たなテレマティクスサービスとして「G-BOOK mX(ジーブックエムエックス)」を提供すると発表した。従来の「G-BOOK ALPHA」(2005年4月の記事参照)にはない地図の自動更新など、より便利な高機能を付与しているのが特徴。5月以降に販売する新車から提供し、来年をめどに100万台の普及を目指していく。
2002年にテレマティクスとして「G-BOOK」が誕生、2005年には「安心と安全」をテーマに、2代目「G-BOOK ALPHA」が登場した。累計で52万台を発売し、そのうち20万台がKDDIと共同開発した通信モジュール「DCM」(Data Communication Module)を搭載。「Drive On Demand」をコンセプトに掲げるmXでは、「マップオンデマンド」「プローブコミュニケーション交通情報」「ミュージックオンデマンド」「WEBオンデマンド」−−4つのオンデマンドサービスを付与したのが特徴だ。
事故時の緊急通報や盗難防止など従来の「安心安全」を重視してきたALPHAのサービスに加え、mXでは世界初の「マップオンデマンド」を搭載。カーナビで利用する全国の高速道路や一般道路の地図データを、随時差分更新する。あらかじめナビに登録してある自宅周辺の80キロメートル四方と、目的地の周辺10キロメートル四方のほか、主要道路が更新の対象。新規開通の有料道路については、開通後約7日で反映する。
これまでナビの地図を新しくするには、ディスクを購入したり、販売店へ更新を依頼したりする必要があった。3年以内に地図を変更するユーザーは、全体で2割ほど(同社調べ)。道路状況が頻繁に変化していくなかで、同サービスの自動更新によって「ナビに新しい道が載っていない」という困った状況から開放されることになりそうだ。
走行情報により渋滞回避を案内する「プローブコミュニケーション交通情報」サービスも提供。走行距離10メートルごとにデータを蓄積し、その内容を5分ごとにDCMでセンターへ自動送信する。これにより最新の道路状況と過去のデータを組み合わせ、最適なルート案を配信。VICSの情報では補えなかった渋滞も、予測可能になる。
事故を未然に防ぐため「一時停止情報提供機能」を、夏以降の新車から搭載する。事故の危険性が高い一時停止交差点が対象となり、その停止線をナビから案内するというもの。また地図情報とバックカメラによって、一時停止付近で減速しなければ注意を促してくる。
BluetoothのAV接続機能を内蔵。Bluetooth対応の携帯電話やポータブルオーディオを社内に持ち込めば、カーオーディオからワイヤレスで音楽再生が可能。楽曲表示や選曲操作もできる。
トヨタが運営するブログ「G-BLOG」の情報を、ナビから呼び出すことが可能。気に入った情報を登録すれば、ナビで目的地に設定することができる。
トヨタはG-BOOK mXを中国市場へも展開する方針だ。需要があると見込んでおり、豊かな社会にとって同サービスは、不可欠と判断。ただ、米国や欧州など、諸外国への導入は現段階では未定だという。
G-Book ALPHAはレクサスなど高級車を中心に搭載されていたが、mXはより幅広いモデルへ普及を目指す。豊田章男副社長は「これまでハイエンドモデルに搭載されてきたが、今後は一般ドライバー向けにも提供していきたい」と述べ「コンテンツは、ほぼ完成した。ユーザーの利便性向上を図るのが課題」と指摘した。
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