GPS搭載義務化を追い風に、急成長するナビタイムジャパン神尾寿のMobile +ing(2/2 ページ)

» 2007年05月17日 09時56分 公開
[神尾寿,ITmedia]
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ナビゲーションを関連ビジネスにつなげる

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 大西氏も指摘しているように、有料課金モデルの携帯電話向けサービス利用率は全体の10〜20%が限界と言われている。つまり、契約数規模の拡大にも限界がある。だが、有料課金契約の数はあくまで“ベース”となる市場規模であり、位置情報やデジタル地図、ルート検索やナビゲーションといった要素には、さまざまな新ビジネスの可能性があると大西氏は指摘する。

 「携帯電話からナビゲーションを使うという人は、移動手段を探す、目的地を探すといったニーズがあります。これはすでにナビタイムで実現していますが、例えば携帯電話から目的地検索をすると、そのまま航空機会社の携帯サイトに接続して予約もできる。今後はほかの交通機関とも連携していくでしょう。ここで予約のアフィリエイトビジネスができます。

 交通機関以外では、ホテルやレストランなどの予約も考えられます。この際もユーザーの位置や目的地の情報はわかっていますから、近隣や目的地周辺で設定条件に見合った場所をリコメンドして、(NAVITIMEから)シームレスに予約をしてもらうビジネスができます。こういった予約関連のビジネスは今後さらに充実してくるでしょう」(大西氏)

 また地図を1つのメディアと捉えると、位置情報広告も将来有望な分野だ。北米ではGoogleが位置情報広告分野に積極姿勢であり、国内でもシリウステクノロジーズなど複数の企業が取り組んでいる。ナビタイムジャパンは位置情報広告について、どのような見方をしているのだろうか。

 「携帯電話のユーザーインタフェース(UI)を考えると、バナー広告型や、ユーザーが望まない広告を出すプッシュ型の位置情報広告はあまりよくないと考えています。あくまでユーザーの目的地検索に連動して、条件に合う候補リストの上位の部分を広告掲載企業向けにするといった展開が現実的でしょう。ユーザーの利便性を損なわず、それが広告だと思わない形での広告ビジネスを考えていきます」(大西氏)

海外の現地市場および渡航者向けのサービスも展開

 2007年4月16日、ナビタイムジャパンはスマートフォンに対応したNAVITIMEアプリの提供を始めた(4月16日の記事参照)。これはノキアのS60プラットフォームに対応したものであり、ノキアのスタンダードモデル「E61」とソフトバンクの「X01NK」で利用可能だ。NAVITIMEはこれまで国内のGPS携帯電話向けサービスで発展してきたが、ここにきてスマートフォンへの展開にも力を入れてきている。

 「スマートフォン分野への注力は海外展開を視野に入れたものです。国内の携帯電話キャリア向けサービスは(キャリアの)コンテンツ課金を使っていますが、スマートフォン向けはクレジットカード課金。Symbiam向けだけでなく、Windows Mobileにも積極的に取り組んでいきます」(大西氏)

 ナビタイムジャパンでは海外向けのナビゲーション開発にも力を入れている。同社の優位性はナビゲーションエンジンの部分にあるため、地図も含めて各国市場向けにローカライズすることで、グローバル展開が可能になるという。すでに海外のデジタル地図は、アメリカのNAVTEQと提携し、提供を受けている。NAVTEQは北米で大きなシェアを持つほか、欧州でも地元資本のTele Atlasと並ぶデジタル地図の大手だ。ちなみに同社は以前Tele Atlasと提携していたこともあり、NAVTEQとTele Atlasどちらの地図も使えるようにコンバータを持っているという。ビジネスモデルや欧州の地図の精度でも(両社の)差があまりないことから、現在はすべてNAVTEQからデータの提供を受けている。

 「海外向けのビジネス展開としては、各国市場向けのサービス展開と、日本からの渡航者向けの2つが考えられます。現在は、そのどちらにも対応できるサービスを作りながら、スマートフォン向けの展開を強化している段階です」(大西氏)

総合的な位置情報ポータルとして、さらなる進化を目指す

 “地図”“検索”“ナビゲーション”の3つの面で見れば、現在のNAVITIMEはかなり完成されている。この先のステップとして大西氏が考えるのは、目的地を探す行為そのものの変革だ。

 「現在のNAVITIMEだと決まった目的地があって、それを探してナビゲートするという使い方になります。しかし今後は、その目的地そのものも探せるようにしたい。例えば、ある晴れた日に“自宅から車で2時間以内で行ける海水浴場”と条件指定すると、現在地情報から地図やルート、渋滞情報などを元に到達圏検索を行い、NAVITIMEがお奨めの目的地まで案内するというものです。

 今までは“どこに行くか”をネットや情報誌で探し、そこから交通路探索や地図を別々に探していったわけですが、NAVITIMEを使えばすべてがトータルで提供される。“どこに行ったらいいか”から“どうやって行くか”まで分かる位置情報ポータルサイトを目指しています」(大西氏)

 さらに“探せる範囲”も広げていく。地図と連動するデータベースをさらに増やしていくほか、各国市場のサービスを増やし、それらをつなげた国際経路探索まで可能にしたいという。

 「最終的には“自宅からエッフェル塔まで”と検索すると、推奨ルートと所要時間が出て、そのまま航空券まで購入できるようにしたい。トータルナビゲーションとは、そういうものだと考えています」(大西氏)

 どれだけ情報通信技術が進歩しても、人と社会から「移動」が失われることはない。人が生きるために、位置と地図とさまざまな形でのナビゲーションは、欠かせないものといえる。

 ナビタイムジャパンは地図と高度なナビゲーションエンジンの上に多様なコンテンツやリアルタイム情報を載せて、利便性の高いサービスと新たなビジネスを現在進行形で生み出している。GPS携帯電話が普及し、今後さらに身近になる中で、同社の取り組みから目が離せそうにない。

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