“薄さ=NECらしさ”で攻める――「N905iμ」開発の裏側開発陣に聞く「N905iμ」(2/2 ページ)

» 2008年02月08日 23時39分 公開
[房野麻子(聞き手:平賀洋一),ITmedia]
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薄くても使い勝手を損なわず、かつ美しく仕上げる

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 スリムボディも他の905i端末との大きな差別化ポイントだ。ワンセグに関しては開発当初から搭載しないことを決めていたというが、905iシリーズの端末であるからには、ドコモから要求される機能やサービスにはすべて対応しなくてはならない。

 また、NECとしてのこだわりとして、使いやすさも重視していた。そこで、薄くても使い勝手がよく、さらに造形的にも美しくなるように工夫したという。

 そのポイントの1つは本体の幅だ。N905iμの幅は50ミリだが、実はもう1ミリくらいは細くできたのだという。しかし、N704iμで「片手で開きにくい」という声があった。その対策として、N905iμには、ダイヤルキー側ボディのサイドに細い溝を付けた。開くときにはそこが引っかかり、片手でもラクに開けられる仕組みだ。この溝を付けるために幅が余計に必要となり、最終的には幅50ミリに落ち着いたのだという。

 また、カメラ部分の盛り上がりはなだらかにして、デザインにとけ込ませた。カメラモジュールのせいで出ている厚みだが、「指かかりをしやすくするという意味もあります。ただ、デザインを大事にしている端末なので、全体のバランスを崩さないように、曲線の美しい処理にこだわりました」(二滝氏)

 さりげなく高い技術力を感じさせるのが、カメラの盛り上がりの部分に配置されているmicroSDスロットや外部接続端子だ。

「これは、“ここに来ちゃった”という感じですね。本体の下側は電池でほぼいっぱいですし、上にはカメラ、その隣にスピーカーもありますので、コネクタ類はこのあたりに入れざるを得ないということなんです。ちょうど段差のところにかかっているので、かなり苦労した部分です」(二滝氏)

photophoto 本体サイドには細い溝がある。これによって指がかりが良くなり、片手でも開きやすい(左)。カメラ部分は、なだらかに盛り上がっている。カメラの位置を指で認識できるので撮影しやすく、スタイリッシュなデザインも損なわない(右)

 薄型端末では、microSDスロットをバッテリーカバーの中に入れるという方法をとっているモデルもあるが、使い勝手を考慮してN905iμでは採用しなかった。

 「フタや電池を外さなくてはいけないのは、やっぱり使いにくい。ユーザーさんの声もありましたので、microSDスロットは外に出さなくてはいけないということは、最初から考えていました」(二滝氏)

 1年前は、microSDは挿しっぱなしになるか、差し換えて使われるのか、どちらになるか分からない状態だったのが、今では差し換えて使うことが当たり前になっている。デザインを重視した薄型端末といえども、使い勝手を考えてスロットを外に出したのは正しい判断といえそうだ。

photophoto microSDスロットはカメラの段差の部分に配置。ここに置くのはかなり苦労があったというが、外にあるので抜き差ししやすく、ユーザーとしてはうれしい気配りだ(左)。FeliCaマークは塗装にとけ込んでしまうほど、さりげなくプリントされている。デザインに気を遣っているモデルらしい処理

“薄さ=NECらしさ”にしたい

 薄くても丈夫な本体を作るため、N905iμにはN703iμ等で採用されているハイブリッド筐体の技術が使われているが、薄型化の実現にはNECエレクトロニクスのベースバンドLSI(M2)の存在が大きいという。このM2チップはN905iでも、もちろん使われている。とはいえ、N905iとN905iμでは実装している機能にかなりの違いがある。ワンセグの有無に加え、N905iのスピーカーはステレオだが、N905iμはモノラル。ダイヤルキーはシートキーで、ニューロポインターも非搭載だ。カメラの画素数も200万画素とスタンダードなスペックにとどめた。

 さまざまな工夫で薄型化を図り、薄さ12.9ミリを実現して90xiシリーズ初のμ端末となったN905iμだが、晴れて“μ”と名乗れるかは不安もあったという。

 「905iシリーズはアンテナが多く、本当にこのサイズに収まるのかという不安はありました。設計をしている段階では13ミリくらい、それ以前はもう少し大きな数字だったんです。技術者やデザイナーと話を進めていくうちに、“μ”ブランドならもうちょっと攻めようということになりました。すでに『N703iμ』で11.4ミリという厚さを実現していますから、いくら90xシリーズでも、それを上回る寸法でμと名乗れるのか? と考えました。おそらくドコモ側でも議論があったのではないでしょうか」(二滝氏)

 ドコモによると、型番に“μ”と付く具体的な基準はないという。全体的な製品ラインアップから見て、先進的な薄さであるか否かがポイントになるようだ。

 「N905iのワンセグやカメラにはブランドがないということがありますが、“薄い端末=NECらしい端末”と認識していただければ、これからの1つの武器になると思っています」(二滝氏)

イルミネーションを使ったお知らせ機能を搭載

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 N905iとN905iμのもう1つの違いが、背面パネルのイルミネーションの有無だ。N905iμには、端末デザインを引き立てる狙いで搭載している。

 しかし派手に光らせるだけでは、N905iμらしさは表現できない。従来機(N903i)から点灯パターンを増やし、さまざまな光り方を、商品企画やデザイナー、技術担当者と話し合い、チューニングしていったという。

 また、このイルミネーション機能を使ってスケジュールやToDo、誕生日や記念日を知らせる機能も、N905iにはないものだ。記念日と誕生日はイルミネーションで知らせるだけでなく、デスクトップにアイコンも表示する。このアイコンをクリックすると、誰の誕生日かがリストになって表示され、その人の電話帳から電話をかけたりメールの作成ができる。

 また記念日を設定する際、編集の「お知らせ設定」を選ぶと、何日前からアイコンで知らせるかを設定することができる。当日だけで良ければ「当日」、大事な記念日なので前もって知りたいという場合は「1週間前」などにチェックを入れる。複数チェックも可能だ。誕生日や記念日を登録したはいいものの、忘れてしまうことが多い人にはありがたい機能だ。

 マイプロフィールで誕生日を登録すると、この機能を使ったマニュアルにも載っていない楽しいサプライズがあるという。「購入したら、ぜひ忘れずにマイプロフィールに誕生日を登録してください」(二滝氏)

記念日や誕生日の登録画面

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