携帯市場の飽和を受けて、キャリアショップはどう変わる?神尾寿の時事日想・特別編(2/2 ページ)

» 2008年06月04日 11時21分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]
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 ナカチェンは、auショップに行くと携帯電話のユーザーインタフェース(UI)を一括して変更してもらえるサービスだ。UIだけでなく、ゲームアプリや電子書籍といった大容量コンテンツも含めたパックが提供される(参照リンク)。ショップ店頭でダウンロードすれば、情報量・パケット通信料はかからない。

 ナカチェンをさらに進めたのがフルチェンで、対応する機種のUIだけでなく、外装の交換までauショップで行う(参照記事)。これまでも携帯電話の表面パネルの交換ができる端末は発売されていたが、「auショップの店員が作業をすることで、外装全体の交換が可能になった」(KDDI)

フルチェンでは、auショップの店員が手作業で外装交換を行う。交換費用はパーツによって異なるが、5000〜1万円前後になるようだ。交換作業は5分前後だが、表面パネルからキーパネルまでほぼすべての外装が丸ごと交換される。このためユーザー自身でのフルチェンはできない

フルチェンの外装一覧。今後さらにラインアップは増える予定

 ユーザーは同じ携帯電話を2年間使い続けるとしても、外装やUIを交換することで、新しい端末を買ったように気分を一新できる。auから見れば、携帯電話の利用期間が延びる中でユーザーがauショップに足を運ぶ機会を作ることは、「auショップとau(KDDI)のどちらにとっても、とても重要なこと」(KDDI取締役執行役員常務の高橋誠氏)という考えだ。

 「キャリアとお客様とのタッチポイント(の重要性)で考えると、auショップの来店頻度を上げていかなければならない。フルチェンをするためにauショップにお越しいただくといったように、来店の動機付けになるサービスは今後さらに重要になります」(高橋氏)

 auショップを経営する販売会社からしても、フルチェンのようなショップを使った新たなサービスの登場は、外装パーツの販売や作業手数料といった新たな収入源になる。さらにユーザーの来店頻度が増すことが次の販売機会にもつながる可能性がある。

 業界は異なるが、自動車ディーラーの例を挙げれば、サービス入庫や試乗会で販売店に足を運ぶ顧客は「6〜7割程度が次の新車購入時も継続で買っていただける」(自動車販売会社幹部)のだという。だからこそディーラーやメーカーは様々な来店イベントや記念品を企画・用意するのだ。

 また、IT業界に目を転じれば、Appleの直営店「アップルストア」は、店舗をブランドイメージや顧客満足度の向上のツールとして使った好例といえるだろう(参照記事)。アップルストアは単なる販売やサポートの窓口としてだけでなく、インストアイベントの開催や無料ワークショップなどを通じて顧客の来店頻度を上げて、“Apple体験”をする重要な場所になっている。日本そして海外でも、アップルストアのある都市ではMacやiPodのシェアが高いという結果が出ている。それだけ“対面窓口”の効果は大きいのだ。

 auの「フルチェン」は象徴的なサービスだが、今後は他キャリアでも、キャリアショップの「対面」を生かした新たなサービスや施策が行われる可能性が高い。ユーザーの来店頻度を向上させて、“対面を生かして”ブランドイメージと顧客満足度を向上する機会を作っていく。市場拡大期のように「とにかく売るだけ」でなく、いかに巧妙かつ洗練された形でキャリアショップという“場所”を使いこなせるか。これが今後のキャリア間の競争の中で、1つの重要なポイントになりそうだ。

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