「WILLCOM CORE」は、現行PHSとのデュアル端末でスタート――ウィルコムワイヤレスジャパン2008

» 2008年07月22日 21時53分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
photo ウィルコム サービス開発本部 次世代事業推進室室長の上村治氏

 2009年春のスタートが迫ったウィルコムの次世代PHSサービス。5月には新サービスのブランド名が「WILLCOM CORE」であることを発表し、現行PHSのマイクロセルネットワークを活用したインフラ構築と、“WILLCOM COREならでは”という新領域へのチャレンジが明らかになっている。

 そんな中、ウィルコム サービス開発本部 次世代事業推進室室長の上村治氏が、ワイヤレスジャパン2008で「WILLCOM COREの特長と事業戦略」と題した講演を行い、改めてウィルコムの次世代PHSサービスの特徴と事業展開についての展望を語った。

 まず上村氏は、次世代PHSやモバイルWiMAXを指す「BWA」の定義について解説。ITU-Rの定義では「ネットへの接続速度が、約1.5Mbpsを上回るもの」となっているが、このままでは現行の3G/3.5G方式との違いがあいまいなため、日本の情報通信審議会は「3Gおよび3.5Gを超える通信速度と周波数効率、中速度域以上のモビリティを持つもの」と独自の定義を行った。上村氏はこの“周波数効率”がポイントだという。

 「日本は、BWAと3G/3.5Gとの違いを大容量で高速通信を際限なくつかえることと解釈した。人によっては“ジャブジャブ使う”という言い方をするが、ただ速いだけでなく、大勢の人がアクセスしても速度が落ちないことが重要だ。そこでポイントになるのが周波数効率。周波数リソースを有効活用するには、ウィルコムの持つマイクロセルネットワークの利用が最も適している」(上村氏)

photophotophoto 真の「BWA」はマイクロセル方式を採用する次世代PHSで実現するという

photophotophoto 次世代PHSは、現行PHSの持つ周波数効率の良さを引き継いでいる

photophotophoto 最大通信速度が約800kbpsという現行PHSだが、混雑していても速度が落ちにくく、結果として大容量を安定して使うことができる

 また上村氏は、次世代PHSの特徴として周波数効率が良い点を挙げ、「コードレス電話から発展したPHSは、どこにでも基地局を置ける自律分散性を持っており、狭い面積を多数の基地局でカバーできる。また、1つの周波数を効率良く使うためのアダブティブアレイや、空間多重技術を使ったMIMOをすでに採用しており、このノウハウにより次世代PHSでも効率的に周波数を使うことが可能だ」と説明した。

 さて、ユーザーが気になるのは次世代PHSのエリアと端末についてだろう。上村氏は「次世代PHSの基地局は現行PHSの基地局にアドオンできるため、簡易な設置が可能」と説明し、端末については「最初は、現行PHSと次世代機のディアル端末を出すことになるだろう」という見通しを明らかにした。

 上村氏は、同社がW-SIMとW-SIMジャケットで進めるコアモジュール戦略についても触れ、「試作段階だが、海外ベンダーによってGSM方式のW-SIMは完成しており、CDMA方式やUMTS方式のW-SIM開発も進んでいる。もちろん次世代PHS対応のW-SIMの研究も行っており、今後ソフトウェア無線技術が進めば、すべての通信規格をW-SIMに統一できるかもしれない」(上村氏)と、W-SIMの次世代PHS対応についても期待を寄せる。

photophotophoto 次世代PHSの基地局は現行PHSの基地局にアドオンできる

photophoto 同社が進めるコアモジュール戦略は、現行PHSからGSM、CDMA方式へと拡大し、次世代PHSに対応する計画だ

 ウィルコムは次世代PHSの実現により、PC向けデータ通信カードやスマートフォンを対象にしたモバイルブロードバンドサービスと、据え置き機器を対象にしたADSLやFTTHの代替であるワイヤレスブロードバンドサービスを想定している。上村氏はこれらに加え、次世代PHSならではの新領域といえる「定点カメラセンシングネットワーク」構想にも言及した。

 「下りも上りも高速な次世代PHSと、全国16万におよぶマイクロセルネットワークを活用する試みとして、基地局に定点カメラを設置する定点カメラセンシングネットワークを準備中だ。ナビゲーションサービスへの利用はもちろん、安心・安全のプラットフォームとして使えるほか、気象や環境観測、映像広告の配信などが可能になる。ぜひとも、高速無線サービスの起爆剤にしたい」(上村氏)

photophoto 際限なく“ジャブジャブ”使える無線インフラ「WILLCOM CORE」。ウィルコムは定点カメラを使ったセンシングネットワークで新領域にチャレンジする

photophoto ナビゲーションサービスへの応用はもちろん、安心・安全のためのセキュリティサービスや、映像広告の配信プラットフォームとしても期待できる。また、MVNOへの開放も視野に入れており、オープンな展開を目指す

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