中国で「P&T/Expo Comm China 2008」開幕──再編後の中国3大通信事業者、その動向はP&T/Expo Comm China 2008(1/3 ページ)

» 2008年10月22日 15時48分 公開
[山根康宏,ITmedia]
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 中国・北京の中国国際展覧中心新館で2008年10月21日から25日まで、中国最大の通信事業関連の展示会「P&T/Expo Comm China 2008(2008年中国国際信息通信展覧会)」が開催されている。

 中国は、2008年5月に発表された中国政府による通信事業の再編に関する通告により、これまで固定系、移動体系と業態別に分かれていた6つの通信事業者が、固定/移動体/インターネットサービスをまとめて提供する3社(チャイナモバイル、チャイナユニコム、チャイナテレコム)に再編される。再編は中国移動(移動体)による中国鉄通(固定系)の買収を皮切りに、中国聯通(移動系)のGSMサービスと中国網通(固定系)の合併、中国電信(固定系)による聯通(移動系)のCDMAサービス買収と中国衛通(衛星)の業務買収が順次行われ、年明けにも完了する予定だ。

 P&T/Expo Comm China 2008はこの再編劇の開始後初となる大規模な展示会となるが、各社のブースで目立っていたのは携帯電話関連の展示であり、新会社の主力サービスが移動体系にシフトしたことを強く感じさせる。

「TD-SCDMA」の展示一色──中国移動

photo 中国移動はTD-SCDMA連盟と合同で巨大なブースを構える

 中国移動(China Mobile/チャイナモバイル)は、中国が開発する3G通信網の業界団体“TD-SCDMA連盟”とともに巨大なブースを構え、展示内容も3Gに絞った新たなサービスに集中させるなど、TD-SCDMA方式に賭ける同社の意気込みを大きく感じさせられた。

 3G(TD-SCDMA)サービス対応の端末は、TD-SCDMA端末メーカーがそれぞれ構える小ブースで展示。発売予定の機種も含めて30機種以上も展示されており、2008年4月の試験サービス開始時のわずか8機種から大幅にラインアップが強化されていた。海外メーカーでは、MotorolaやSamsung電子製端末も目立つ。Motorolaは新機種、Samsung電子は対応端末を5機種に増やすなど大手携帯メーカーも本格的に参入する姿勢を示している。


photophoto TD-SCDMA端末の機種展示。発売予定機種も含めると30機種以上にもなり、ラインアップはかなり増えた(左)。Motorolaも音楽対応モデルのTD-SCDMA対応版を投入。高機能を売りに、TD-SCDMA市場でも一定以上のシェア獲得を目指したい考えだ(右)
photophoto ちょっと変わったLenovo製の固定型TD-SCDMA端末。地方都市などで、固定回線代わりに携帯を自宅で利用するといったニーズに対応する(左)。中国の新規参入メーカーもある。上海のCG Mobileというメーカーが、2008年内に4機種を発売予定(右

 通信サービス系の展示も、従来からのGSM方式で提供していたWAPやSMSによるコンテンツ関連が影を潜め、テレビ電話やモバイルブロードバンドなど、3Gの高速回線網を活用した新サービスを大きくアピールしていたのが特徴的だった。このほか、着信動画配信など従来にはなかったコンテンツを開発する企業も目立ち、3Gの本格開始により中国の携帯電話サービスも音声通話から情報通信端末へと大きく飛躍しそうである。

 また次世代の技術として、TD-SCDMAをベースにしたTD-HSDPAやTD-LTEのデモも行われていた。いずれも2008年10月末時点では、携帯端末向けサービスというよりPCを用いた高速データ通信を強く意識するもののようで、将来的には移動体のメリットである「物理的な回線をくまなく敷かなくてもいい」ことを生かし、これまでは固定事業者の独占場だった地方や農村部などへも高速インターネット環境を提供する狙いが伺える。

photophoto サービスの展示は3G関連のものがほとんど。中でもテレビ電話は人気のようだ(左)。3G向けの新しいタイプのコンテンツ配信企業の展示も目立つ。こちらは「Mobile Winks」という着信時の動画配信サービス
photophoto TD-LTE関連の展示は、PCを用いたストリーミング動画配信が行われていた。デモでは平均20Mbpsの下り速度が出ていた
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