中国・北京の中国国際展覧中心新館で2008年10月21日から25日まで、中国最大の通信事業関連の展示会「P&T/Expo Comm China 2008(2008年中国国際信息通信展覧会)」が開催されている。
中国は、2008年5月に発表された中国政府による通信事業の再編に関する通告により、これまで固定系、移動体系と業態別に分かれていた6つの通信事業者が、固定/移動体/インターネットサービスをまとめて提供する3社(チャイナモバイル、チャイナユニコム、チャイナテレコム)に再編される。再編は中国移動(移動体)による中国鉄通(固定系)の買収を皮切りに、中国聯通(移動系)のGSMサービスと中国網通(固定系)の合併、中国電信(固定系)による聯通(移動系)のCDMAサービス買収と中国衛通(衛星)の業務買収が順次行われ、年明けにも完了する予定だ。
P&T/Expo Comm China 2008はこの再編劇の開始後初となる大規模な展示会となるが、各社のブースで目立っていたのは携帯電話関連の展示であり、新会社の主力サービスが移動体系にシフトしたことを強く感じさせる。
中国移動(China Mobile/チャイナモバイル)は、中国が開発する3G通信網の業界団体“TD-SCDMA連盟”とともに巨大なブースを構え、展示内容も3Gに絞った新たなサービスに集中させるなど、TD-SCDMA方式に賭ける同社の意気込みを大きく感じさせられた。
3G(TD-SCDMA)サービス対応の端末は、TD-SCDMA端末メーカーがそれぞれ構える小ブースで展示。発売予定の機種も含めて30機種以上も展示されており、2008年4月の試験サービス開始時のわずか8機種から大幅にラインアップが強化されていた。海外メーカーでは、MotorolaやSamsung電子製端末も目立つ。Motorolaは新機種、Samsung電子は対応端末を5機種に増やすなど大手携帯メーカーも本格的に参入する姿勢を示している。
通信サービス系の展示も、従来からのGSM方式で提供していたWAPやSMSによるコンテンツ関連が影を潜め、テレビ電話やモバイルブロードバンドなど、3Gの高速回線網を活用した新サービスを大きくアピールしていたのが特徴的だった。このほか、着信動画配信など従来にはなかったコンテンツを開発する企業も目立ち、3Gの本格開始により中国の携帯電話サービスも音声通話から情報通信端末へと大きく飛躍しそうである。
また次世代の技術として、TD-SCDMAをベースにしたTD-HSDPAやTD-LTEのデモも行われていた。いずれも2008年10月末時点では、携帯端末向けサービスというよりPCを用いた高速データ通信を強く意識するもののようで、将来的には移動体のメリットである「物理的な回線をくまなく敷かなくてもいい」ことを生かし、これまでは固定事業者の独占場だった地方や農村部などへも高速インターネット環境を提供する狙いが伺える。
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