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» 2008年11月05日 14時40分 公開

日本のケータイ市場にじわりと浸透。存在感を増す海外メーカー神尾寿の時事日想・特別編(1/2 ページ)

ソフトバンクモバイルが冬商戦のハイエンドモデルラインアップに台湾・HTCや韓国・Samsung電子のスマートフォンを加えるなど、各キャリアが海外メーカー製ケータイを採用する例が増えている。その背景には、販売奨励金制度の見直しやユーザーニーズの変化などで、日本市場に海外メーカーが参入しやすくなっていることがあるだろう。

[神尾寿,Business Media 誠]

 ケータイの端末販売市場が冷え込む中、キャリア各社の2008年“冬モデル”が相次いで発表されている。本稿執筆時点でauソフトバンクモバイルウィルコムが発表済みだ。

 各キャリアの商品戦略については+D Mobileの連載コラムで触れている。そこで今回の時事日想は特別編として、今年の冬商戦で顕著に見られた「海外メーカー製ケータイ」の台頭について書きたいと思う。

魅力を増した海外メーカー製モデル

 かつて海外メーカー製のケータイといえば、日本メーカー製よりも性能が劣り、対応サービスも少なくて不満が出るというイメージが強かった。しかし、今年の冬商戦モデルでは状況が一変した。

 それが顕著なのが、ソフトバンクモバイルのラインアップだ。同社はハイエンドモデルにタッチパネル搭載の端末ラインアップを用意したが、その中で“国産ケータイ”はシャープの「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」のみ。あとは、台湾・HTC製のスマートフォン「Touch Diamond X04HT」と「Touch Pro X05HT」、韓国・Samsung電子製スマートフォン「930SC OMNIA」という陣容だ。

ハイエンドモデルでの唯一の“国産ケータイ”であるシャープの「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」(左)、台湾・HTC製スマートフォン「Touch Diamond X04HT」(右)

台湾・HTC製スマートフォン「Touch Pro X05HT」(左)、韓国・Samsung電子製スマートフォン「930SC OMNIA」(右)

 ハイエンド市場におけるニーズが、“どれだけインターネットと親和性が高いか”に移行する中で、スマートフォンの存在感が拡大。この分野で先行する海外メーカーと日本メーカーの位置付けが変わる逆転現象が、一気に現れた。

 タッチパネル非搭載モデルでも、海外メーカーの存在感は光る。

 例えば、筆者が今年の冬商戦モデルで最も注目しているのが、Nokiaの「E71」である。質感の高いステンレスボディに、押しやすく凝縮感のあるQWERTYキーボードを配置し、日本メーカーの携帯電話にはない高級感と使いやすさを両立させたデザインを実現している。またビジネス利用をしっかり考えた端末なので、バッテリー駆動時間が長く、ボディの堅牢性が高いのも魅力だ。スマートフォンなので、メールやWebブラウジングなどインターネットとの親和性も高い。

 同じくNokiaからコンシューマー向けとして登場した「N82」も魅力的だ。こちらはカメラ機能を重視したスマートフォンで、強力なキセノンフラッシュとカールツァイスのTessarレンズ、有効画素数500万画素のCMOSを搭載する。E71と同様にデザインが秀逸で、インターネットとの親和性が高いところも特徴だ。

Nokiaの「E71」(左)、Nokiaの「N82」(右)

 むろん、これらの海外メーカー製ケータイは、「ワンセグ」や「おサイフケータイ」など、日本固有のサービスには対応しない。しかし、内蔵ソフトウェアの進化とCPUの処理能力が向上したこともあり、電話とインターネットサービス中心の利用ならば、日本メーカー製のハイエンドモデルを上回る面も出てきた。

 また、日本固有のサービスやキャリア独自の仕様に縛られていないことは、複数キャリアから同じモデルが登場する“マルチキャリア展開”が容易であるというメリットもある。実際、HTC製のスマートフォンは細かな仕様違いで複数キャリアでの展開が発表されており、NokiaのE71も「(W-CDMA採用キャリアでの)複数キャリア展開を予定している」(関係者)という。

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