“ケータイ版Skype”で、できることできないこと BREW版「Skype au」を試す(後編)(1/2 ページ)

» 2012年01月23日 03時00分 公開
[平賀洋一ITmedia]

 KDDIがau端末向けに提供している「Skype au」は、サービス開始当初はAndroidスマートフォンでの利用を想定していたもの。しかし2011年夏にはBREW版のアプリも登場し、auのフィーチャーフォンでも利用できるようになった。レビューの後編では、具体的な使い勝手やほかのプラットフォーム用Skypeとの違いについて検証してみたい。

バックグラウンドで利用できる?

photo Skype auを起動させた「CA007」(NECカシオ)と「T008」(富士通東芝製)

 PCでSkypeを利用する場合、基本的にバックグラウンドで待機させておくことが多い。通話やインスタントメッセージ(IM)を送受信するとき以外は、Skypeのウィンドウはあまり意識しない。この点はAndroid版とiOS版のSkypeでも同様で、バッテリーの心配はあるものの、バックグラウンドでSkypeをオンラインにしておける。

 しかし、フィーチャーフォン向けのBREW版Skype auではこれができない。アプリを起動したらSkypeの画面に切り替わり、Skypeを起動したままではケータイの待受画面には戻らない。アプリを起動するとケータイの画面はSkype専用になってしまうわけで、これは今までのSkypeユーザーが一番違和感を覚える点だろう。

 ただし、Skypeを起動していても通話中でなければ携帯電話として着信でき、ケータイの通話が終わるとSkypeの画面に戻る。メールを受信した場合は、メール画面に移行して受信メールの確認や返信メールの作成ができる。メール画面を終了させるとSkypeに戻るのは、通話と同じ挙動だ。

photophoto 「CA007」のセルフメニューボタン(写真=左)とセルフメニュー(写真=右)

 これに加えて、Skypeを起動したまま端末のほかの機能を呼び出すことも可能だ。Skype auに対応する2011年夏モデル以降のauケータイは、マルチタスク機能を呼び出す「セルフメニュー」ボタンを備えている。Skype起動中でもセルフメニューからカメラやツール、ほかのアプリを起動させられる。ただ、セルフメニューが開けるのはSkypeが待機中の場合のみ。Skypeで通話している場合には、マルチタスクで別の機能やアプリを起動させることはできない。

マルチログインやマルチアカウントの利用は?

photo アプリが記憶するSkype名は1つだけなので、複数のアカウントを使い分ける場合はその都度入力が必要

 Skypeは複数のデバイスで同じアカウント(Skype名)を使った同時にサインイン(ログイン)が可能で、これはBREW版Skype auでも変わらない。PCやスマートフォンでSkypeを起動しつつ、フィーチャーフォンでも同じアカウントでログインきる。

 ちなみに、1つのアカウントで複数デバイスにログインしているとき、Skype通話がかかってきたりIMが送られてくると、それぞれのデバイスで着信や受信通知が表示される。まったく同時に表示されることもあるが、それぞれの処理能力や通信状態によって表示に時間差が出ることがほとんど。BREW版のSkype auに対応する「CA007」(NECカシオ製)と「T008」(富士通東芝製)で試してみたが、PCやスマホのSkypeと比べて遅めになることが多かった。

 またBREW版Skype auが記憶できるSkype名は1つのみで、複数のアカウントを使い回す場合はその都度手入力が必要だ。普段使うSkype名が1つの場合、自動ログイン機能を使うと1度の操作でアプリの起動からログインまでが行われる。

端末を閉じていてもSkypeの着信はできる?

 折りたたみ端末の場合、ディスプレイを閉じてもSkypeアプリは終了せず、サインイン状態が続く。閉じたままでもSkype通話の着信ができ、サブディスプレイがある場合はかけてきたSkype名を表示する。ただ、まれに発信元が「0000」番と表示されることもあり、誰がSkypeで話しかけてきたのか分からない場合もあった。

photo Skype auを起動したまま端末を閉じてもサインインしたままで、(Skypeの)通話も着信する

photo Skype auで通話を利用すると、端末の発着信履歴に「0000」(着信)と「#40880」(発信)が残る

 0000番とは、Skype auの通話を着信した場合に表示される発信元番号。レビューの前編でも触れたが、Skype auの通話はVoIPでありながらauのパケット回線ではなく音声回線が使われている。そのためSkype auで通話を着信すると、端末の着信履歴には0000番から電話がかかってきたことが記録される。逆にSkype auで通話を発信すると、発信履歴には「#40880」番が残る。端末の発着信履歴から2つの番号に電話をかけても、「利用できない番号」という旨のアナウンスが流れるだけだ。

 ちなみに、サインアウト中にSkype通話の着信があっても、端末の着信履歴やSkype auのアプリには記録が残らない。Skype側で留守番電話サービスを使うには、有料のボイスメールサービスを利用する必要がある。

Skypeで通話中にIMを送受信できる?

photo IMは最低限の機能しかない

 Skypeの魅力の1つに、通話しながらIMを使って文章で連絡を取り合える点がある。しかしフィーチャーフォン向けSkype auではこれができない。

 というのも、Skype auの通話は音声回線を使い、ステータスの確認やIMなどの諸情報はパケット通信を介して行われる。しかしKDDIのau回線では音声とパケットの同時利用ができないため、Skype通話中にIMは受信できない(auスマートフォンでWi-Fiに接続している場合は可能)。

 また、IMで送受信されるテキストはコピー&ペーストができず、返信時の引用もできない。気になるWebサイトのURLを送ってもリンクされないので、ただテキストを表示するだけになる。またIMの履歴(送受信したログ)も、サインアウトすると非表示になってしまう。ただ、ほかのSkypeユーザーからIMを受信した場合、そのユーザーとの直近の履歴が表示される。

Skype内で使われる絵文字も、線のみの記号に変換される

 このように、IMの利用もPCやスマートフォンのような感覚では使えないので、ちょっと注意が必要だ。

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