携帯電話の契約者数で月間純増トップを続けるソフトバンクモバイルに対し、KDDI(au)は「iPhone 4S」の発売以降、MNPでの転入首位が続いている。そんな中、北海道ブロックでは2011年度(2011年4〜2012年3月)の年間純増数と、2012年の第一四半期(4〜6月)の純増数で、auがソフトバンクを上回る状況が続いている。
なぜ北海道でauが人気なのか、また北海道のauユーザーにはどんな傾向や特徴が見られるのか。KDDI コンシューマ営業本部コンシューマ北海道支社で支社長を務める村松伸哉氏に話を聞いた。
―― 弊誌ではこれまで、KDDIの関西支社と名古屋支社にお話を伺ってきました。それぞれ地域ごとの特徴がありましたが、北海道支社はどのようなマーケットなのでしょうか。
村松氏 auの純増シェアが高い点が特徴です。北海道エリア内の2011年度純増シェアでは、KDDIが年間でナンバー1でした。また2012年度も4月、5月は純増1位です。6月は少し落ちましたが、第1四半期ではシェア1位です。支社内では本年度も純増シェア1位を勝ち取ることを目標に掲げています。
―― 全国ではソフトバンクモバイルの純増1位が続いていますが、北海道ではauの純増が続いているわけですね。人気の秘密はどういった点にあるとお考えですか。
村松氏 1つは3M戦略によって、「auスマートパス」や「auスマートバリュー」などの具体的なサービス商品が提供できたことが挙げられます。札幌では数年前から「auひかり」の提供を開始し、ユーザーを着実に伸ばしてきました。auひかりのユーザーには、auスマートバリューが大変好評です。
また春モデルからスマートフォンのラインアップが出そろって、店頭での競争力が高まった点もあります。端末とサービスの組み合わせが、他キャリアよりも勝っているのではないでしょうか。
―― 広い北海道ではエリアの品質も重要だと思いますが、その点はいかがでしょうか。
村松氏 北海道は昔からユーザーの導線にそって細かく手を入れてきた地域で、NTTドコモさんといい勝負をしてきたと自負しています。使い勝手の面では高い評価をいただいていて、エリア品質の実績は販売面でも生きています。もちろん局地的にエリア化できないところもありますが、これも徐々に解決していきます。
―― 北海道は四方を海に囲まれていますが、海上エリアではキャリアごとに違いはありますか?
村松氏 きちんとした比較はしていませんが、auとドコモではあまり差はないと思います。以前はムーバなどのPDCとauが採用したCDMAという方式の違いで、海上では「auのほうが使いやすい」という声がありましたが、今はあまり違いを感じることはないと思います。
―― なるほど。海上で使うユーザーには、防水端末のラインアップも評価されてきたのでしょうか。
村松氏 そうですね、早くから「auといえば防水」という評価をいただいています。漁業だけでなく農業や土木など、野外で働く方が多いエリアですから、本格的な防水・防塵性能を持つ「G'zOne」シリーズは大変人気です。ファッション的なアウトドア性ではなく、“プロ仕様”を求めて歴代のG'z oneを買い換えているユーザーさんも多いですね。
―― エリアとサービス、そして端末をトータルした競争力が高いということですね。
村松氏 支社ではこれまで、“価値を提案する営業”や“ユーザー視点での営業”という方針をとってきましたが、それだけでは他キャリアとの差別化が難しい面もありました。3M戦略でエリアと端末を活用できるサービスが用意できたことで、価値提案営業という土台を生かすことができた。それが純増シェア1位の原動力だと思います。もちろんMNPの獲得にもこだわっていますが。
―― 端末ラインアップでは、auも2011年秋に「iPhone 4S」を発売されました。iPhoneをはじめ、スマートフォンの動きは全国と比べて違いはあるのでしょうか。
村松氏 ブロックの特徴として、(人口密集地の)札幌周辺とそれ以外の地域で違った動きを見せることがありますが、iPhoneの初動では北海道内であまり大きな差はありませんでした。時間が経つに連れ、札幌周辺でのiPhone率は高まってきています。
スマホ率はauの全国平均よりも下くらいですね。札幌などの都市部は全国平均とあまり変わりません。フィーチャーフォン比率は道東地域が比較的高いですが、買い換えサイクルが進むと低くなると思います。
―― エリアが広いという面では、キャリアショップなどサポート拠点の展開についても違いがあると思います。
村松氏 auショップの出店は複合的に判断していまして、大都市圏とその周囲や近県など、市場によってぞれぞれ違います。北海道の人口は約569万人で、auショップはそのなかに146店舗。平均すると約3.8万人に1店になるわけですが、人口2〜3万人の町に出店しないかといえばそんなことはありません。
例えばケータイが故障して修理したり交換したりするとき、車で何時間もかかる隣町のショップに来てもらうのでは、利便性が損なわれます。人口と距離、地域性を複合的に考慮しながら、ケースバイケースで出店するようにしています。
ちなみに営業チャンネルのなかでは、auショップなどの専売店が多く、他キャリアも扱う併売店のカテゴリは小さいですね。
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