ハードの垣根を越えた“唯一なるもの” クラウドに船出するG'zOneブランド開発陣に聞く「G'zOne TYPE-L」(1/3 ページ)

» 2012年12月06日 17時26分 公開
[青山祐介,ITmedia]

 auの2012年冬モデルとして発売されたカシオ計算機製の「G'zOne TYPE-L CAL21」。耐衝撃、防水、防塵の「タフネスケータイ」の最新作として、前作「G'zOne IS11CA」から約1年4カ月ぶりの登場となった。今作では新たにクラウドサービス「LIVE G」をスタートさせ、このサービスと連携した機能を搭載するのが特徴だ。今回はそんな新しい機能を中心に、G'zOne TYPE-Lのコンセプトと狙いを開発陣に聞いた。

photo 「G'zOne TYPE-L CAL21」

ハードの垣根を越えたG'zOneならではの魅力

photo NECカシオモバイルコミュニケーションズ マーケティング本部 ブランド&プロモーション部 主任の高木健介氏

 「前モデル(G'zOne IS11CA)を2011年6月に出してから1年4カ月。お客様からは『待ってました』とご好評をいただいています。今回のG'zOne TYPE-Lの狙いは、auの4G LTEへの対応はもちろん、我々のブランドとしては新しい概念のクラウドサービスであるLIVE Gを立ち上げたことにあります。このLTE対応とLIVE Gの提供が今回の目玉であり、G'zOne TYPE-Lの“L”は“LTE”と“LIVE G”の頭文字から取っています。これまでカシオ計算機が展開してきた「G'zOne」というブランドが、このモデルで次世代に入っていく、ステージが変わっていく“区切り”のように捉えています」

 こう語るのは、G'zOneシリーズのスタートから12年にわたって開発・企画に携わっているNECカシオモバイルコミュニケーションズの高木健介氏。今回はLIVE Gという新しい試みに加え、ハードウェアの全体的なスペックアップ、ソフトのブラッシュアップも行ったという。中でもG'zOne IS11CAの購入者に対して実施したアンケート「次機種への要望点トップ10」の中で、特に多かった「本体CPUのさらなる高性能化」「ワンセグ対応」「本体メモリのアップ」「操作性の向上」「液晶画面サイズを大きく」という声に応えるべく機能を向上させた。

 また、要望の最上位には「電池寿命をさらに長く」という、スマートフォンユーザー共通のニーズが入っているほか、「防水性能のさらなる強化」「耐衝撃性能のさらなる強化」が次いでランクインしていることについて、高木氏は「G'zOneユーザーならでは」と分析する。

 「面白いことに防水と耐衝撃性能の強化は、G'zOneユーザーの要望点で常にトップ3に入っています。代々この性能は十分なスペックを持っていて満足度も高いのですが、もっと強くしてほしいという声が多いのです。決して不満足だから上げてほしいというのではなく、満足だからさらに上げてほしい、のだと理解しています。この“さらに”の具体的なレベルは分かりません。ただ、G'zOneを持つユーザーは、必要に迫られてタフネス端末を使う方もいらっしゃいますが、より強いものであればさらに安心感があるという方もいらっしゃいます。実用上は過剰なスペックだけれども、より強いものが欲しいというのは、例えば、スポーツカーでもより大きな排気量のものが欲しいというのと同じなのではないでしょうか」(高木氏)

photo NECカシオモバイルコミュニケーションズ モバイル事業本部 商品企画部 主任の佐合祐一氏

 こうした声に対して、G'zOneシリーズの初期のころから開発の取りまとめを担当しているNECカシオの佐合祐一氏は、「さらに強くしようとすると、どうしてもその分ボディは大きくなってしまう。その点ではハードルも高く、もう限界ギリギリまで来ている」と話す。その一方で、今の防水や耐衝撃性能を強化するというアプローチもあれば、バッテリーが強い(持ちがいい)とか、電波に強いといった、違うタフさを強化するという方向もあり得ると話す。もともとG'zOneはアウトドア向けのイメージだけでなく、“通信のタフさ”“通信が速い”といったイメージも強かった。そういう意味では今回の4G LTEへの対応で、進化感を持ってG'zOneを世に出すのにはちょうどいいタイミングだったと振り返った。

 「G'zOneユーザーは街で同じG'zOneを使っているユーザーを見かけると、『オッ』と共感する仲間意識のようなものがあるようです。そこでまずは、G'zOneユーザーだけというクローズな中で、何か新しいサービスをやろうと考えました。フィーチャーフォンのころからG'zGEARには『トリップメモリー』という、行った場所にピンを打って、コメントや温度、緯度経度をプロットしておけるツールがありました。それをG'zOneユーザーみんなで共有できたらいい、という書き込みをネット上でよく見かけるんです。そこでLIVE Gでは、このピンをみんなで共有できるようにしてみました。こうしたサービスができるのも、同じG'zOneユーザーだからこそ分かり合える部分だと思います」(佐合氏)

「G'zOneユーザーである」ということで結びつくLIVE G

 この新しいクラウドサービス「LIVE G」は、これまで端末上に記録していた、緯度経度、時間、温度といった情報を、LIVE Gのサーバ上に残して、ユーザー同士で共有するというサービスだ。また、今回は新たに端末に気圧計を搭載し、計測した気圧をLIVE Gにアップロードして、地図上でほかのユーザーの気圧情報とともに天気図の上で見ることができる。

photophoto マップ上にG'zOne TYPE-Lユーザーのアクティビティを残す「LIVE G」

 「G'zOneの満足度や購入を決めたポイントを聞くと、毎回、センサーの豊富さが上位に入っています。これまではGPS、コンパス、温度センサーというように、アウトドアで使えるケータイを目指して、センサーを増やしてきました。そしてG'zOneがカシオ計算機のG-SHOCKやプロトレックのようなアウトドア志向の流れを汲んでいる以上、『次は気圧センサー』というのはごく自然な流れでした。その豊富なセンサー類とネットワークを組み合わせて何かやれないか、ということを考えて出てきたのが、LIVE Gのサービスの1つだったというわけです。どのメーカーも、端末からデータを集めてビッグデータにして――という発想がある中で、それをG'zOneでやるなら“センサー”がキーになる。ということでトライしてみました」(佐合氏)

photo NECカシオモバイルコミュニケーションズ ソフトウェア商品開発本部 仕様開発部 主任 後藤悦宏氏

 LIVE Gは、これまでハードウェアとしてのG'zOneを開発してきたチームにとってはまったく新しい試みだった。現在は特に専門の部署を設けているわけでもなく、開発チームでその運営を行っているという。その中心人物が、これまでのG'zOneシリーズで主にユーザーインタフェース(UI)などのソフトウェアを担当してきたNECカシオの後藤悦宏氏だ。

 「我々としては“モノ”に対するこだわりと、“コト”に対するこだわりを持っています。ハードウェアを作りながらも、コトである『サービス』もやっていかないとだめだというのが今のスマートフォン業界です。日本の端末メーカーの存在感が薄れてきているのは、このコトの部分が足りないからで、我々も何かやらないとだめだと思いました。おそらくサーバまで立ててここまでやるというのは、日本のスマートフォンメーカーでは初めてではないかと思います。もちろん、これには社内でもかなり意見が分かれました。“運営費”という今までにないものも出てきますから。社内でも『本当にやるのか』という声もありましたが、まずはやってみなければ分からないということでスタートしました」(後藤氏)

 ユーザーから位置情報も含めたアクティビティログ(活動履歴)を集め、それをユーザー同士で共有できるという意味では、LIVE GもFacebookに代表されるSNSに近いイメージのサービスと言える。ただ端末からLIVE Gにアップされるデータは、個人を特定するようなIDを持たないのが特徴だ。その点では、一般的なSNSとはスタイルが異なる。

 「“G'zOneのユーザーである”というのが1つのIDのようなものではないでしょうか。G'zOneを買っていること自体が、ほかのケータイとは違うものを選んでいるということですし、地球やアウトドアといった外に向いた趣味趣向を持っている、という共通点があります。事実、ユーザーとグループインタビューをすると、まったく初対面の方でもその場が和気あいあいと盛り上がります。ほかのケータイのグループと比べて、G'zOneのユーザーというのは何となく違うなと、と私たちは感じています。なので、SNSのように厳密にIDを取得しなくても、共通の趣味嗜好という価値観さえ合えば、そこだけで盛り上がるのではないかと期待しています。そこがほかのSNSとは違う、クローズドなコミュニティとして使っていただく価値があるのではないかと思っています」(高木氏)

 「タイムライン上に投稿するSNSは、時間軸を追っていく必要があってけっこう疲れませんか? G'zWORLDではそれを地図上に並べておくことで、あえて時間軸というよりは単に記録に残すという感じで、気張らなくてもいつでもG'zWORLDを開いて、ほかのユーザーが楽しんでいる様子が分かる――ということを目指しています。ほかの人が地球で遊んでいる様子を見て、自分もここに行ってみようとか、こんなことをやってみようと思ってくれればいいと思っています。そういう意味では、自分のためというよりはみんなのため、というのがLIVE Gのユニークなところでしょうか」(後藤氏)

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