「HONEY BEE」の世界デビューはいつ? MWCで聞いた京セラの海外ビジネス(後編)Mobile World Congress 2013(1/2 ページ)

» 2013年03月19日 21時40分 公開
[房野麻子,ITmedia]

 作る端末は“ガラパゴス・ケータイ”と揶揄され、海外事業の撤退が相次いだ日本の携帯電話メーカ−。しかし、今年のMWCでは、富士通が仏Orange向けに提供する「らくらくスマートフォン」をベースにしたAndroid端末を展示し、NECカシオが2画面を搭載する「MEDIAS W」のグローバル版試作機を展示して大いに注目を集めるなど、日本メーカーの健闘も目立った。

photophoto MWC2013の京セラブース(写真=左)と京セラの能原氏(写真=右)

 そんな中、京セラもブースを構えて国内、海外で展開している端末を出展。京セラは長く海外で携帯電話事業を継続しており、1月末には米Sprint向けのAndroidスマートフォン「Torque(トルク)」を発表した。現在は端末台数ベースでみると海外の方が国内よりも規模が大きくなっているという京セラの海外ビジネスについて、前編に引き続き同社の通信機器統括事業本部 マーケティング部長の能原隆氏に少し詳しく話を聞いた。

Qualcommの端末部門を買収して海外事業をスタート

――(聞き手、ITmedia) 御社の通信機器関連事業といえば、日本国内ではPHSやスマートフォンのDIGNOシリーズ、M2Mモジュールなどが知られています。一方の海外でどのような展開をされているのでしょうか。

能原氏 京セラが海外で携帯電話事業を始めたのは2000年です。当時、半導体メーカーのQualcommに携帯電話端末の部門があったのですが、そちらを買収してスタートしました。一方、旧三洋電機では北米でずっと携帯電話事業を展開していて、2008年に旧三洋電機の携帯電話部門を京セラが継承したときに北米事業の強化がポイントになり、今日まで強化してきました。

photo 旧三洋時代を含む米Sprintへの供給実績

 こういう経緯でしたので、3G規格はずっとCDMA2000を採用して日本とアメリカでビジネスをしてきました。当時のCDMA陣営(3GPP2)は、UMTS陣営(W-CDMAを採用した3GPP)と少し壁があるというか、モノづくりで少し異なる部分がありました。3年くらい前のMWCに基地局を出展したことはありましたが、端末部門が今回のようにMWCへ出展することはありませんでした。

 今はLTEという3.9G(4G)の通信方式が出てきました。それにともなって、これまでは部品が違っていたCDMAとUMTSを統合したデバイスが登場してきた。そういうわけで、お互いの壁はだいぶ薄くなったと思います。であれば、同じ技術資産を使って両方いけるだろう、そのタイミングが今だと判断しました。日本以外に米国でもビジネスをさせてもらっているので、これを機会にもう少し世界的に京セラの製品をご紹介できないか――ということで、今回のMWC2013には端末をメインにして出展しました。

―― 現在もまだ“壁”を感じることはありますか。

能原氏 いえ。先程申し上げた技術進化でCDMAとUMTSにあまりとらわれないような技術的なソリューション、プラットフォームができてきましたし、昨年、ソフトバンクモバイル向けに「HONEY BEE 101K」を出させていただきましたが、その時点で我々はUMTSの開発資産を持っています。そういう意味で、格好よくいえば「機が熟した」ということだと思います(笑)

photo ソフトバンクモバイル向け「HONEY BEE 101K」の後継モデル「201K」

 旧三洋電機の米国事業を振り返ると、日本で流行ったカメラ付きモデルや薄型モデルを展開していて、比較的高級・高機能路線でした。端末の多色展開もチャレンジしていますが、米国を含め海外では“カラフルなケータイ”という存在はかなり珍しかったようですね。

黒が基調のグローバル市場でカラフルなHONEY BEEは通用する?

―― カラフルといえば、今回のブースにはHONEY BEEも展示されていますが、反応はいかがですか。

能原氏 欧米の文化だとHONEY BEEのキャラクターは少し子供っぽいかなと思っていましたが、意外に若い女性に好評でした。

―― 海外ではカラーバリエーションが多いと“おもちゃっぽい”と思われる傾向があると言います。

photo ポップでカラフルなボディカラーのPHS「HONEY BEE 5」。多色展開も特徴

能原氏 HONEY BEEはPHSもスマートフォンも色使いが派手なんですが、おもちゃっぽくしないように毎回悩んでいます。もっとアバンギャルドにすればいろいろなことができますが、それをやってしまうのはちょっと違うかと。

―― 海外向けに“アバンギャルドな”モデルを出す可能性はありますか。

能原氏 うーん。米国の携帯電話マーケットは黒が基調。もう黒、携帯電話は黒の1色ですね。

―― 通信機器は黒いものだと。

能原氏 そういうイメージが強いですね。プラスアルファで白とか赤とかの1色が加えられることはありますが、現状、多色展開は(米国の)マーケット的に受け入れられないと思います。

 色にこだわらなかったから、iPhoneのホワイトモデルが出たときにインパクトが強かった。携帯電話は黒いという文化の米国市場に、白が入ってきた。GALAXY S IIでも白バージョンが出て、やっと白が2色目として認知されつつあります。

―― そうすると、カラフルなHONEY BEEシリーズがそのまま海外に行くというのはちょっと難しいでしょうか。

能原氏 HONEY BEEの海外展開について何か決まっているわけではありませんが、仮にグローバルでHONEY BEEを出すなら今のコンセプトを貫かないとダメでしょうね。黒にしても面白くないですから。そのコンセプトで勝負しようとするなら、そのまま出します。8色出せるかどうか分かりませんが、せめて3色は必要でしょう。

 2005年ころですが、旧三洋電機がフィーチャーフォンで多色展開をしたのは当時はかなり目新しく過激な感じでした。多色のトレンドが米国で少し浸透したかなと思ったころ、市場がスマートフォンに移行してまた黒1色の世界に戻ってしまった印象です。

photophotophoto ブース内で展示されていたコンセプトモデルの数々
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