―― 日本と海外、ビジネスの規模やフィーチャーフォンとスマートフォンのバランスなどについて教えて下さい。
能原氏 詳細は公表していませんが、端末全体の比率では海外の方が台数は大きいです。フィーチャーフォンとスマートフォンではまだフィーチャーフォンの方が多いですね。スマートフォンは「Hydro」「Rise」の投入から少しずつ増えてきました。ただ市場が100%スマートフォンになることはなく、フィーチャーフォンのニーズはまだあると思います。フィーチャーフォンは今後も開発していきたいですね。
―― PHSも含めて、海外のビジネスの方が大きいと。
能原氏 台数ではそうです。
―― 海外市場とは基本的に北米が中心ですね。
能原氏 現在は米国向けがほとんどです。ほかにカナダの事業者にも一部供給しています。
―― 米国でCDMA2000を採用しているSprint Nextel向けの端末が多いですね。そのSprintをソフトバンクが買収すると発表しました。しかも、御社がソフトバンクモバイル向けにスマートフォンを供給するようになった後で。これには驚かれたのではありませんか。
能原氏 発表については非常に驚きました。ちなみに我々は何の関与もしておりません(笑) Sprintとは旧三洋電機の頃からビジネスをさせていただいていましたから、今回の件があったからというわけではないです。
―― Sprintがソフトバンクの傘下に入った場合、御社の北米ビジネスにどんな影響が出るのでしょうか。
能原氏 仮に経営統合でビジネスのスキームが変わるのであれば、生き残っていくために対応しなくてはなりませんが、現時点では個別の会社としてそれぞれ付き合いが続いていますから、当面は今と変わらないのではないでしょうか。
米国には我々の供給実績がない事業者がたくさんあり、今後はそこに採用されることを目指していきたい。米国のマーケットでも我々はまだ成長できる余地があると思っています。
―― 日本と北米以外で進出を検討しているエリアはありますか。例えば南米市場などですが。
能原氏 南米は基本的にCDMAが少なくてUMTSベース。次世代のLTEが本格化するのはもう少し後だろうと思っています。ただ、今回のMWCでもチャンスを求めてさまざまな事業者の方々とコンタクトできたと思っていますので、いろいろとアピールしています。
例えばブラジルは2014年にサッカーのワールドカップ、2016年にオリンピックの開催を控えています。そのタイミングでビジネスができれば、とは思いますね。
―― 競技場や道路の建設事業が活況になると、TorqueやDURAシリーズにはぴったりですね。
能原氏 そうあって欲しいですね(笑)。グローバルでもスマートフォンは最初に一部の層が立ち上がってきたのですが、これから伸びていくのは普及帯のマーケットです。違う価格帯がメインの市場で何かビジネスチャンスがないか、今後は日本とアメリカ以外でも探っていきたいですね。
もちろん、多くの国でビジネスをしたいという希望はありますが、この国でやろうとか、ヨーロッパで何かがあるかといったら、それはまだまだ何もありません。ただ、商機が来たので、これからアピールしていこうという段階です。先進国と新興国の区別も今のところはないですね。
―― 市場によっては端末の売り方が日本と違い、メーカーによっては自ら販社を作っているところもあります。
能原氏 販売スキームが国によって違っているのも事実で、UMTS陣営の多くの国は自分たちで売ることが多いと聞いています。そういった国や市場に入っていくためには、当然、売るための仕組みを作らなくてはいけない。しかし、今のところ特にお話できることはありません。MWC出展でいろいろな方と話させていただきましたので、その中から何か新しいビジネスに結びつけばいいかなと思っています。
―― 日本の携帯電話メーカーによる海外進出は決して順調ではなく、国内市場向けに高機能・多機能な製品を開発しても“ガラパゴス化だ”と指摘されることも少なくありません。
能原氏 国内マーケットが厳しいのは数字として出ていますから、その中でどういう風にやっていくのか。我々としても、国内が下がっていいと思っているわけでは決してなくて、引き続きやっていきます。
国内のものづくりの仕方と海外モデルで出るときのものづくりの仕方、両方の経験値を持っているので、両方を活用してうまくやっていきたいと思っています。成功するまでやり続ける。派手なことはできませんので、地道に少しずつやってきています。京セラは諦めが悪いだけなのです(笑)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.