何かを買うたびに、いちいちクレジットカード番号を入力するのは煩わしい――。ネットショッピング中に、こう思ったことはないだろうか。
この問題の解決に立ち上がったのが、米決済サービス大手のPayPalと韓家電大手のSamsungだ。“スマホにタッチ”ですばやくネットショッピングのクレジットカード支払いができる機能を、最新のAndroidスマホ「GALAXY S5」に搭載した。
この機能は、GALAXY S5の指紋センサーを利用したもので、オンライン決済サービス「PayPal」で支払いをする際に利用できる。PayPalは、あらかじめクレジットカード番号を登録しておくと、PayPal対応のショッピングサイトでIDとパスワードを入力するだけでクレジットカードの支払いができる決済サービス。この支払い時の“ID、パスワードの入力”を、GALAXY S5の指紋センサーで行えるようにしたのが、今回の新機能だ。
PayPalの支払いはIDとパスワードの入力で済むため、クレジットカード番号を入力するのに比べると、そもそもそれほど面倒なわけではないが、それすらも“指紋センサーにタッチ”という簡単操作で済ませてしまおうというわけだ。これは、iPhone 5Sでアプリを購入する際、Apple IDとパスワードの入力ではなく指紋センサーにタッチするだけで支払えるようになったのを思い浮かべると分かりやすい。
指紋センサーを使ったネットショッピングの決済フロー。商品をカートに入れたあと、「PayPalでチェックアウト」を選ぶとPayPalアプリが起動。指紋センサーにタッチするだけでクレジットカード支払いが完了するGALAXY S5の“スマホにタッチ”はPayPalが提供するWeb向けの決済だけではなく、実店舗向けに提供している“顔パス決済”でも利用できる。顔パス決済は、店に行く前にスマホから“これから店に行きます”という意思表示(チェックイン)をしておけば、サイフやカードを出さずに“手ぶらでクレジットカード払いができる”という決済方法。このサービスを使うには、チェックインをする際にスマホのPayPalアプリを起動し、IDとパスワードを入力する必要があるが、これを“スマホにタッチ”で済ませることができる。

実店舗の決済フロー。買い物をする人は、店に行く前にPayPalアプリを立ち上げてIDとパスワードを入力し、Pアイコンをスライドさせてチェックインする。GALAXY S5のユーザーは、チェックイン時のIDとパスワードの入力を指紋センサーのタッチだけで済ませられる
チェックインした人が買いたい物を持ってレジに来たら、レジアプリに商品と金額を入力。本人であることを確認してもらった上で「確認」ボタンを押すと支払いが完了する。支払いをするのにサイフもカードも出さずに済む今回のGALAXY S5とPayPalの連携は、前述のように“iPhoneの指紋センサーにタッチしてアプリの代金を支払う”のと同じような利用イメージ。両者の違いは、現状、iPhoneの指紋センサー連携がアプリの支払いのみに対応しているのに対し、GALAXY S5とPayPalは、ネットショップがPayPal支払いに対応すれば、もっとさまざまな商品を“スマホにタッチ”の簡単操作で行えるようになる点だ。
ショップサイトがPayPal決済を実装するのは比較的容易だとPayPalの杉江知彦氏。店舗向けのアカウントはネットからの申し込みが可能で1〜2週間で開設でき、PayPal購入ボタンはAPIを組み込めばすぐ設置できるという。ECサイト構築プラットフォームのEC-CUBEを利用しているなら、決済手法でPayPalを選べば実装可能だ。
PayPalは今後、現状はクレジットカードのみとなっている決済手段(日本の場合)をプリペイドや銀行口座などにも対応させ、対応デバイスについても「ネットにつながったデバイスがあれば、それがおさいふになる世界を目指す」としており、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスへの対応を検討している。
“顔パス”“スマホにタッチ”“行列知らず”といった新時代の決済手法で差をつけたい店舗は、今のうちから準備を始めておくのもよさそうだ。
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