MVNOの契約者数では2番手につけ、ファンとの共創を打ち出すオプテージのmineoが、データ容量の大幅改定やサービスの追加を行った。まず、11月には「マイピタ」のデータ容量を増量。1GBコースは3GBに、5GBコースは7GBに、10GBコースは15GBに、20GBコースは30GBに、1.5倍から3倍程度まで容量を追加した。大容量プランとして導入している50GBコース以外は、全て容量を変更した格好だ。
また、データ容量を使い切った後や、高速データ通信をオフにしている際に、一定の速度でデータ通信が使い放題になる「パケット放題」に「パケット放題 1Mbps」を新設。3GBと7GBのコースに、これを無料でつける。これに加えて15GB、30GB、50GBについていた「パケット放題Plus」は、通信速度を1.5Mbpsから3Mbpsへと倍増させるトライアルを実施している。
データ容量の増量やパケット放題の新設、増速によって、大きく競争力をつけた形のmineoだが、なぜこうしたサービス改善に踏み切ったのか。オプテージでmineoの責任者を務めるモバイル事業推進本部 モバイル事業戦略部長 松田守弘氏と、サービス設計を行うコンシューマモバイル戦略チーム チームマネージャーの岩佐頼佳氏に話を聞いた。
―― データ容量を大幅に増量しました。ここまで大きく変えたのは、なぜでしょうか。
松田氏 お客さまのデータ使用量がどんどん増えているという背景があります。その中で、データ容量をどうするかという点には手をつけられていなかったので、まずは増量をしようと思い、どのあたりにすればいいのかを議論してきました。単純に増量するだけでは、mineoの特徴とはちょっと違う。そこで、使い放題のパケット放題Plusに新たに1Mbpsを入れ、そういったところを組み合わせて特徴をしっかり出すことにしました。ちょうどいいものはどんなものかを、突き詰めていった感じです。
―― とはいえ、1GBは3GBになり容量は3倍です。ここだけかなりの増量でインパクトがありました。
松田氏 単純に全部を同じ倍率でそろえることを狙ったのではなく、使い方を想定しました。利用シーンがどう変わるかと、収支へのインパクト、さらにどう捉えられるかを考え、このバランス感になっています。
―― 3GBのユーザーを増やしたいという意図はありますか。
松田氏 ここだけをグッと伸ばしたいというわけではありません。
―― 20GBから30GBへの増量は、ahamoへの対抗という意図もあるのでしょうか。対抗にはやや遅い印象もありますが……。
松田氏 20GBのプランではありますが、パケット放題Plusを組み合わせればそれ以上の容量を使えていました。ですから、30GBにすればahamoと渡り合えるという、1対1での比較はあまり考えていません。ただ、比較軸に乗る上では意味があると考えています。
―― 50GBはそのままなのはなぜでしょう。
松田氏 50GBは今年(2025年)作ったばかりです。いろいろなオプションも積み重なっているので、今、ここを上げなければダメという状況ではありません。50GBとオプションを使えば、十分使っていただける範囲だと考えています。
岩佐氏 価格競争力もありました。IIJさんや楽天モバイルさんと比べてもそれがあり、オプションが無料で付帯していて50GB以上使えるということもあったので、据え置きにしました。
―― 増量前は他社と比べるとかなり割高になっていた容量もありました。この点は加味したのでしょうか。
松田氏 皆さんが会社(MVNO)を選択される際に、最初に来るのがお値段と容量です。そういうところで、比較の対象にしっかり乗っていかなければならないというのはありました。その上で、mineoはこういう特徴があるというところで選んでいただきたいと考えています。
―― それが原因で、獲得が鈍っていたというようなことはありましたか。
松田氏 一時よりも勢いが落ちていたのはあります。競争自体が厳しく、お客さまが入ってこない状況ではありませんでしたが、出ていく方も一定数いて、出入りが激しい状況でした。さらに成長するにはどうしたらいいのかという観点はもちろんあります。
―― 他社比較ばかりで恐縮ですが、増量後も、同容量で比較すると安いとはいえないと思います。その分は、パケット放題で使えるところが売りになるのでしょうか。
松田氏 パケット放題の1Mbpsもそうですし、マイネ王というコミュニティーもあります。そういうところまで、全部含めて見ていただける比較軸になってほしいと思います。
―― 1Mbpsといっても、普通の人には何ができるのか、分かりづらいと思います。どういうふうに使うことを想定しているのか、具体的に教えてください。
松田氏 パケット放題Plusの1.5Mbpsでも、動画もそこそこの画質で見られます。これをそのまま低容量にも無料でおつけするというのはさすがに勘弁していただければと思いますが、1Mbpsでも一定量の動画は見られることを確認しています。その状態(画質)でよければ、使っていただくことができる。そういったところを狙ったのが1Mbpsです。
また、コンテンツそのものがどんどんリッチ化しているので、1.5Mbpsは3Mbpsに増速します。そういったものとの組み合わせや使い方に合わせて選んでいただきたいですね。
―― ITmediaのようなWebサイトは、ちょっと遅いけど苦痛にはならないレベルといった感じでしょうか。
松田氏 普通に見る分には大丈夫ですが、多少、そういった部分はあります。
岩佐氏 あとは、音楽のストリーミング配信も問題なくできます。普段使いされるところにはこだわりました。
―― 逆にパケット放題Plusが3Mbpsになれば、かなりのことができそうですね。
松田氏 どこまで劇的に変わるかというのはありますが、3Mbpsで大体のことに使えるというのは確かにそうです。実は私自身も1.5Mbpsで使い続けていますが、使い方次第ではそれでも大丈夫です。ただ、Instagramなどもそうですが、コンテンツはどんどんリッチになっているので、全てが大丈夫かというとそうではありません。使い方次第では(速度が)足りなくなるシーンもあります。
そういったときにはパケット放題をオフにして、データ容量を使い分けていただければと思います。たくさん使う方は感度が高いですし、そういった方にはパケットを消費してストレスなく使っていただければと思います。
―― お話をうかがっていると、1Mbpsと3Mbpsの差がやや分かりづらい印象も受けました。
松田氏 まだ完全には伝わり切っていない感触があるので、どういった使い方ができるのかはいろいろと発信していきたいと考えています。特に3Mbpsになれば、ほとんどのシーンで使うことができます。どういった使い方をするのかによるところはありますが、ご提案やご説明をしっかりしていかなければならないと考えています。
岩佐氏 マイネ王の掲示板には、こういう使い方がいいと書き込んでくださる方がいます。新規でお申し込みの際に、「マイネ王を見て」という方が結構な数いらっしゃいます。われわれ自身がサービスをしっかり説明するのはもちろんですが、掲示板をしっかりアピールすることも強化していきたいと考えています。
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