スマホ1億台出荷の中Huawei 海の向こうで華開いたニッポン的物作り日米展開の今後は?(2/3 ページ)

» 2016年01月18日 15時18分 公開
[平賀洋一ITmedia]

 シュウ氏はNexus 6Pについて、「長年に渡るGoogleとのパートナーシップの成果」と位置付け、「われわれは最新のAndroidを製品に採用できる数社の1つ。これは、Googleから最高水準の技術を持つと認められたことを意味している」と自信を見せた。

Huawei 「Nexus 6P」のゴールドモデル

 ウォン氏も「NexusはGoogleにとっても非常に重要なブランド。メーカー選びは慎重だったはずだ。われわれは初期開発の段階で100人規模の人員を投入するなど、特に力をいれたモデル」と補足する。

 Nexusシリーズにはメーカー独自の機能を搭載しにくいが、「ピュアなAndroidを体験でき、Huawei製品の選択肢を広げる存在。またNexus 6Pを通してハイエンド市場で知名度を高め、ほかのフラッグシップモデルを選んでもらえるようにしたい」(シュウ氏)という。

 着実に販売数を伸ばす中で、メディアにおける評価も上昇した。世界的な企業を対象とした第三者機関の格付けでは、2014年に中国企業として初のトップ100入りし、2015年には88位に。また製品ブランドの勢いを調べる格付けでは、2013年には3位集団を形成する1社だったが、2014年には単独3位に抜け出すことができた。

 シュウ氏はこうした評価について、「グループ全体の評価だが、コンシューマビジネスの勢い、業績を伸ばしてきたのが貢献しているのだろう」と分析する。世界的に普及するスマホで高いシェアを得れば、それだけより多くの目にHuaweiの製品が触れることになる。まして1億台という大台に乗った企業であれば、業績だけでなくブランドイメージの躍進も想像に難くない。

品質が最優先 それを支える世界規模の開発・販売体制

 ミッドハイモデル中心の製品ラインアップを充実させ、ブランドイメージの向上に努めるHuawei。高い評価を得るために取った戦略の1つが、「プレミアムスマートフォンストラトジー」。つまり「数より品質」への方針転換だ。

 同社が2011年に発売したスマホは75機種だったが、2015年には20機種と四分の一以下に絞った。シュウ氏は製品を家族に例え、「数が多いと面倒を見切れない。100人の子供の面倒は大変だが、5人ならまだ目を配れる」と説明する。また品質重視は日本企業の経営哲学を見習ったもの、とも付け加えた。

 「特に京セラを創業した稲盛和夫氏の著書から大きな影響を受けた。品質が最優先であること、企業として長く生き残ることが大切ということなどだ」(シュウ氏)

 新戦略で整理されたHuawei製品のラインアップは以下の通り。

  • Mateシリーズ:パフォーマンスに重きを置いた大画面のフラッグシップモデル
  • Pシリーズ:高いファッション性を持つデザイン重視モデル。ビューティーモードなど自撮り重視のカメラ機能を充実させた
  • Gシリーズ:普及価格帯のミドルクラス
  • honorシリーズ:販路をECに絞った若年層向けのサブブランド
Huawei フラグシップの最新モデル「Mate 8」

 このブランド再編で、「Ascend」というスマートフォンブランドが姿を消した。シュウ氏はブランド廃止について、「もともとHuawei(ファーウェイ)という社名が読みにくいのではないか? という懸念から付けられた名前。しかし世界的なマーケティングを進めていく中で、社名と同じHuaweiというブランドに高い潜在価値があることが分かった。その結果、ブランド名を統一することにした」と説明する。

 もう1つの戦略が、R&Dへの投資だ。Huaweiは2015年、コンシューマ分野の研究開発に12億ドル(約1410億円)の費用を投下したという。同社はもともと研究・開発部門の比率が高く、コンシューマ部門に勤める約1万4000人のうち、70%がR&D分野に従事している。

 その規模もグローバルだ。R&Dセンターは世界15カ国にあり、エリアごとに得意分野を担当する。例えば英国は技術面でのイノベーションやデザインなど、フランスはファッションや色彩。米国はGoogleとの共同でOSやチップセットを研究しており、このたび元AppleのチーフデザイナーをUI担当に招聘(しょうへい)。そして日本のR&Dセンターでは、国内企業から調達する電子部品の評価など、“川上”産業との緊密な連携を進めている。

 このほか中国本社の中央研究所では、クラウドなど他部門と共同で研究・開発するもの、さらには美術、そして5年以内の商品化は難しい将来的な基礎研究も行われている。その中には独自OSも含まれているという。

 ICT企業にとってR&Dは生命線であり、シュウ氏は「自社によるイノべーションを重視している」と話す。またデザイン面の研究も盛んだ。ヨーロッパのR&Dセンターに所属するデザイナーは、DiorやMaseratiなど、ファッションや自動車メーカーの出身者が多いという。

 3つ目の戦略がマーケティングの強化。Huaweiは170以上の国と地域にセールスオフィスを置くが、B2BからB2Cへの転換でリテール(小売)販売チャネルの弱さを認識したという。この2年は販売チャネルの強化を図り、2015年の小売店数は2倍になった。

 合わせてオンラインマーケティングも強化し、製品発表会を定期的に開催するようになった。Mobile World Congress(スペイン・バルセロナ)、IFA(ドイツ・ベルリン)、CES(米・ラスベガス)などの大規模な展示会に合わせた製品ローンチはもちろん、Nexus 6Pのようにプラットフォーマーが大々的に発表するケースも出てきた。

Huawei 「Huawei Watch」の新モデル「Jewel」

 こうした戦略の1つの成果と呼べる製品が、スマートウォッチのHuawei WATCHだろう。機械式時計を思わせる正統派のデザインは、スイスの時計メーカーと共同で開発・製造しており、ファッション誌「VOGUE」とタイアップしたプロモーションを展開。イタリア・ミラノで行われたMilan Fashion Weekに出展するなど、ブランドイメージの向上に努めている。

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