ループモノ好きにオススメのゲーム「彼女は最後にそう言った」をネタバレ厳禁で紹介してみる

» 2016年03月12日 06時00分 公開
[鈴木美雪ITmedia]

 無料のスマホゲームは世の中に数知れず存在しますが、その中でもSYUPRO-DXが出している「彼女は最後にそう言った」に、筆者はドハマりしています。現在アニメも放送中の漫画『僕だけがいない街』と同じタイムループモノで、主人公が“とある1日”を繰り返すストーリーになっています。

彼女は最後にそう言った アプリ ゲーム (2015年の7月段階で70万ダウンロードを突破。公式リリースは出ていませんが、既に100万ダウンロード前後になっていると予測)

 ドット絵の外見に、スーパーファミコンやゲームボーイで遊んでいた世代は思わず「ちょっとした懐かしさ」と感じてしまうでしょう。「ホラーなの?」「謎解きアプリ?」などと思ってダウンロードしてみると、アドベンチャー色の強さにびっくり。しかも、ラストは感動で涙なのか鼻水なのか、よく分からないまま筆者の顔がグチョグチョに……。

 筆者の心の中では「ああ! ストーリーをネタバレしたい!」という気持ちが高まり続けていますが、今回はネタバレ厳禁。アプリゲーム「彼女は最後にそう言った」をできるだけネタバレせずに紹介してみます。

◆「彼女は最後にそう言った」:iOSAndroid

今までのSYUPRO-DX作品とは違うアドベンチャー色

彼女は最後にそう言った アプリ ゲーム 死んだはずのナナミから手紙が……物語が始まる

 開発元のSYUPRO-DXといえば、「あなたってよく見るとドブネズミみたいな顔してるわね」「奴は四天王の中で最も金持ち」など斬新なRPGを出してきていましたが、「彼女は最後にそう言った」は“時間ループADV(アドベンチャーゲーム)”

 どのようなところがアドベンチャーなのか、ネタバレにならない程度に紹介すると、故郷に帰省している大学1年生の主人公シンタローに、4年前に死んだはずの同級生「ナナミ」から手紙が送られてきます(「死んだはずなのになぜ?」と思うかもしれませんが、ネタバレになるので書けません!)。

 このナナミからもらった“消印のない手紙”により、シンタローは不思議な時間のループにとらわれていきます。どう物語が繰り広げられていくか……ああ、言ってしまいたい!

彼女は最後にそう言った アプリ ゲーム クラスメイトと距離を置き、故郷から逃げるように都会の大学へ進学したシンタローに地方出身者なら共感してしまうかも?

BGMとセットで楽しめる

彼女は最後にそう言った アプリ ゲーム むしろBGMが目的?

 ストーリーはナナミが死んでしまった4年前の“キオクのカケラ”を集めることで進んでいきます。エンディングを制覇するとシンタロー自室にある“キオクのカケラ”でBGMを聴くことができるようになります。

 BGMはSYUPRO-DXの音楽担当、入間川幸成氏が制作したもの。アプリのストーリー演出に流れるこの音楽を聴くと感動のあのシーンを思い出します……。

 「むしろストーリーを進めるためではなく、私は音楽を聴くために“キオクのカケラ”を集めていたのでは……?」という気がしなくもない?

 現実から逃げたかったシンタローには、ナナミが死んだ前日の記憶はありません。物語の鍵となる“キオクのカケラ”を手にすることでシンタローは……ネタバレになるので、やっぱりこれ以上は書けません。この段階で、ラストを思い出して、筆が止まってしまいそうです……。

何度も何度もやり込みたくなる要素

彼女は最後にそう言った アプリ ゲーム わざわざ関西風を指定してくる

 故郷の「お祭りの日」とされる“とある1日”をループする本作品ですが、「金魚すくいの天才」「腹はバナナで満たされる」「スキスキ大好きお好み焼き」など、コンプリート実績を100%にするためのイベントが多数盛り込まれています。

 筆者個人の感想として「スキスキ大好きお好み焼き」でメイドさんにお好み焼きをお祭りで買ってきてあげるところが興奮しますが……、手が届きそうなところにイベントが用意されているので、実績100%を目指してプレイを続けてしまうのです。ほ、他にも実績100%のためのポイントは多々ありますがこれ以上は……(3章をクリアすると全てのイベントが攻略可能)。

終わりだけど終わらない? 誰かに話したくなるストーリー

 “とある1日”を何度も繰り返し遊ぶことで、「真実」が少しずつ明かされていく本作品。伏線を回収しながら名探偵気分で物語を進められるのも魅力の1つ。

 「ナナミはなぜ死んだのか?」「もう一度あの日に戻ってナナミを助けることができたら……」そう、一度クリアするだけでは、終わらない物語構成となっています。

 ストーリーに心打たれるのは悪者を意図的に排除した“きれいな世界”だから。何度かこのゲームをプレイした筆者は「ゲームの美しい終わり方」を深く考えてしまいました。

 プレイした他のユーザーも「このラストについて自分の意見を聞いてくれ」という気持ちが抑えられないのか、Android版では7584件、iOS版では8395件ものレビューがついています(レビューの数は2016年3月11日現在)。

 「1周目でウルっときて、2周目で完全に涙腺が崩壊。耐えられません」「挿入メロディーにもこだわっている、せりふにも目頭が熱くなります」「終わりかと思ったら続きが……夜中にやり始めて、気づいたら朝」などなど、熱いレビューが……もう本当にこれ以上は、ネタバレになってしまうので、書けません。泣いてしまいます。

「彼女は最後にそう言った」に、こういいたい

 ゲームといえば格闘やバトルを連想するユーザーも多くいると思いますが、「彼女は最後にそう言った」にバトルはありません。現実に近づけつつも、限りなく現実から遠い理想を突き付けるという、“純粋な矛盾”で成立したこの世界観は「ストーリー」「音楽」「行間」この3つのレベルが高いからなのでしょう。

彼女は最後にそう言った アプリ ゲーム 「…」など行間を考えて作られている様子が分かる

 「・・・」で送られている画面、音楽挿入のタイミングや1画面あたりの情報コントロール、「ああこういうこともあったなぁ」とユーザーの共感を生んでしまうところもこのアプリが作り込まれているな、と感じる点です。

 また、3時間もあれば1周目が終わるボリューム感、サクサクと主人公を操作できる簡単なシステム、これらも今までアプリゲームと縁がなかったユーザーまで広がった理由なのでは。しかもアプリ内課金などもなく、完全に無料で遊べます。

 何よりストーリーが、うぐっ、これ以上はネタバレになるので書けません……(4回目)。タイトルに込められた意味を知りたい人は、ぜひ一度……と言わず何度でも、納得のいくまで遊んでみてください。

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