NTTドコモの値下げ発言でMVNO業界に激震――来年の春商戦まで、顧客の流動性に急ブレーキか:石川温のスマホ業界新聞

» 2018年11月09日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 NTTドコモ・吉澤和弘社長の「2〜4割値下げする」発言によって、業界に激震が走った。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2018年11月3日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。


 KDDIやソフトバンクに関してはすでに分離プランを導入していることもあり、すぐに追随することはないだろう。KDDIはピタットプランを提供している。ソフトバンクのウルトラギガモンスター+は分離プランであってもちっとも安くないが、彼らにはワイモバイルというサブブランドがある。ソフトバンクからワイモバイルに移行しやすいようにすれば、政府や総務省からの圧力から逃げ切れるのではないか。

 NTTドコモの「2〜4割値下げする」発言で、最も影響を受けるのはMVNOではないか。NTTドコモのユーザーは、わざわざ面倒な手続きをして、格安スマホを選ばなくても、そのままでいれば、2〜4割、値下げされると思っているだろう。NTTドコモから格安スマホへの流れが一気に止まってしまうのは避けられそうにない。

 これまで、MVNO市場を盛り上げてきた総務省は菅官房長官の発言をどう思っているのだろうか。NTTドコモが4割値下げすると発言すれば、当然、MVNO市場は縮小する。本来であれば、接続料を下げ、さらにMVNOの料金を下げた上で、料金競争をしかけ、MNOの料金を引き下げるのが本筋であるのに、いきなりMNOが値下げすると言ってしまった。これではMVNOたちの立つ瀬がない。

 ひょっとすると、2019年度第1四半期まで、NTTドコモの解約率は一気に下がっていくかもしれない。

 少なくとも来年3月末まで、NTTドコモのユーザーはステイすることになるだろう。3月末までということは、年末商戦から春の商戦期までが含まれることになる。

 NTTドコモとしては、官邸やNTT持ち株からの圧力に屈して値下げに応じた可能性が高いが、「どうせ、値下げを発表するなら、年末商戦前に明らかにしたほうがいいかも」という考えが働いてもおかしくない。

 KDDIは「うちは分離プランのトップランナー。NTTドコモには追随しない」(高橋誠社長)といっており、NTTドコモは「来年、値下げする」と言っている。ひょうとすると、auのユーザーのなかにもNTTドコモに乗り換える人が出てきたりするのではないだろか。

 株価はかなり下げてしまったが、NTTドコモの発言は宣伝効果としては十分すぎるぐらいお釣りが来たのではないか。

 春商戦まで「これから安くなるNTTドコモ」というブランドで戦えるのは、大きなメリットのはずだ。

© DWANGO Co., Ltd.

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