5Gの次はAI時代という見方は強い。ソフトバンクに限らずだ。AI時代におけるネットワークの変革も同社はグループ全体として「Activate AI for Society」という方針を掲げており、通信インフラの進化を進めている。
AI時代の到来により、通信トラフィックの構造が変化しつつある。従来のスマートフォン主導の環境ではサーバから端末へ流れる下り通信が90%を占めていた。しかし、今後はロボティクスやAR・XR、生成AI対応端末の普及により、端末からクラウドへ送信する上り通信の需要が激増し、上り比率が30%から70%へと拡大すると予測されている。
この変化に対し、同社は送信出力を高める「HPUE」や、上り帯域を瞬時に切り替える「Uplink Tx Switching」技術を導入し、上り速度の向上を実現している。さらに、無線アクセスネットワークとAI計算基盤を単一のハードウェアで融合させる「AI-RAN」の開発を進めている。同社は「AI-RANアライアンス」の設立を主導し、基地局にAI推論エンジンを組み込んで通信品質をリアルタイムに制御する実証実験を行っている。また通信ノウハウを学習させた独自モデル「LTM」を活用し、運用や保守の自動化・省人化を目指している。
長野氏は「20周年は節目ではなくて、次の変革の起点としてこれからもネットワークの進化に挑戦していきたい」と決意を語った。
周波数や基地局が不足した状態でスタートしたソフトバンクのモバイル事業は、この20年で通信市場の構造を大きく変えた。ボーダフォン買収、iPhone 3Gの国内独占投入、電波改善宣言とプラチナバンド獲得、そして5G SAやAI-RANへの進化という歩みは、困難な課題を技術と戦略で解決してきた歴史そのものだ。
生活のあらゆる場面でスマートフォンやデジタルサービスを利用することが当たり前となった背景には、絶え間ないインフラ投資と競争が存在していた。20周年という節目は、過去の成果を確認する機会であると同時に、AIと通信が融合する新たな時代への出発点でもある。通信インフラがAI基盤へと変貌を遂げる中で、同社がどのような体験を創造していくのか、今後の展開から目が離せない。
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