対する楽天モバイルは、基地局の省電力化にAIを活用。機械学習モデルを活用し、深夜帯などのトラフィックが減少する時間帯や需要の変化を事前に予測。その状態をAIが検知した際に、送信のパワーを落として電力を削減している。AIを導入することで、「人間の手動介入を一切必要とせず、リアルタイムかつ自律的にこの制御ループを実行している」(チーフAI&データオフィサー サッチン・ヴァーマ氏)。
ヴァーマ氏によると、基地局の運用では、電力コストが60%から70%と大きな割合を占めるという。AIでこれを動的に制御することで、「持続可能でエネルギー効率の高いネットワーク運用を実現している」という。
ソフトバンクのAITRASでは、単に電力を削減するだけでなく、通信が減った際に空く計算リソースを、非通信の処理に割り当てる計画だ。同社の常務執行役員 丹波廣寅氏は、「日中は無線の最適化のためにAIが動く。でもある瞬間、例えば夜間は非常にトラフィックが少なくなるかもしれない。その間に通常のAIなどのワークロードをこの機械の上で動かすという環境を今作っている」と話す。
こうした手法や技術自体を、AIに開発させる動きもある。KDDIの吉村氏は、同社のネットワークプラットフォームとして、異なるベンダーの装置を束ねる「マルチベンダーRANプラットフォーム」を開発したことを明かす。これは、ベンダー間の「仕様の違いを吸収し、制御インタフェースを共通化したもの」(同)だ。
その上で、「どのように制御するかにAIを活用」(同)。従来の3倍以上の速度で開発を進めることが可能になったという。また、GPUを手掛けるNVIDIAも、キャリア向けに新しいソフトウェアやアルゴリズムを開発するためのAIエージェントを提供しているという。同社はこれを「AI Teleco Engineer」と名付けており、以下のような成果があるという。NVIDIAのAR-RANエバンジェリスト/デベロッパーリレーションズを務める野田真氏は次のように語る。
「例えば、『(OSI参照モデルの)レイヤー2のMAC層で、リンクアダプテーション処理をよりいいものにしてくれ』と言うと、統括エージェントがコンセプトやアイデアを発案し、各サブエージェントが実際にコードを書いてシミュレーション環境で実行、評価をしてくれる。今までの思いもつかなかったレベルのアルゴリズムを見つけ出し、新しい無線のアルゴリズムを作り、場合によっては数倍の性能が出せるものも実証できている」
このようにネットワークにAIを融合させていく取り組みは、6Gの中核技術として期待されている。とはいえ、各社とも既に一部は商用環境のネットワークに導入しており、「6Gを前にして、AIがどんどんオペレーターのネットワークで使われている」(ドコモ 6Gテック部 アーキテクチャ標準化担当 担当部長 磯部慎一氏)状況だ。
一方で、現状は「5Gのネットワークがまずあり、そこからAIが流行してきて、外から操り人形のようにアシストで最適化しているイメージ」(KDDI総合研究所 執行役員 無線部門長 山本俊明氏)。これに対し、6GでのAIは「AIが血肉となって、ネットワークの中に自律的に組み込まれる」(同)姿を目指しているという。
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