10月20日11時に順次提供が開始されたモバイルSuicaの新コード決済サービス「teppay(テッペイ)」を、同日の報道向け説明会にて、実機で体験してきた。
実際の会計時の流れるような操作感や決済音の仕様、さらに実際に使う上で知っておくべきチャージ方法から利用できる店舗、オフライン利用に関する注意点までをレポートする。
teppay残高へのチャージ手段やルールは以下の通り多岐にわたる。
- クレジットカード(ビューカード):ビューカードを登録してチャージ。また、事前チャージ不要で都度引き落とす「ビューカード連携支払い」も選択可能だ
- 金融機関口座(銀行口座):Bank Payなどを活用し、JRE BANKなどの銀行口座からチャージする
- 現金(コンビニATM):セブン銀行ATMおよびローソン銀行ATMから現金チャージが可能だ。駅の自動券売機やVIEW ALTTE(ビューアルッテ)ではteppayの現金チャージはできない
- ギフトコード:専用コードやQRコード読み取りでチャージする
- 残高の送金・受け取り:他のユーザーから残高を送ってもらってチャージする
マイナンバーカードによる本人確認(eKYC)を完了することで、チャージ・保有上限が最大30万円まで拡大する(本人確認未完了の場合は上限1万〜10万円)。
- teppay残高からSuica(交通系IC残高)へのチャージ:可能(そのまま改札を通ることはできないため、乗車前にSuica残高へ移行が必要だ)
- Suica残高からteppay残高へのチャージ:不可
teppayはSuicaが使えるお店だけでなく、Smart Code加盟店全国170万箇所以上に順次対応している。
- JR東日本グループ施設・店舗:ルミネ、ニュウマン、アトレ、エキュート、グランスタ、NewDays、ホテルメッツなど
- 全国のSmart Code加盟店(170万箇所以上):セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートなどのコンビニ、ウエルシア、スギ薬局などのドラッグストア、イトーヨーカドー、OKストア、ヤマダデンキ、ビックカメラ、ニトリなどの商業施設、すき家、松屋、スシロー、コメダ珈琲店などの飲食店
- オンラインショッピング(ECサイト):アプリ内でバーチャルカード「teppay JCB プリカ」を発行すれば、JCB加盟のネットショップでも利用可能だ
今回の体験イベントでは、店舗レジにて商品を渡してから決済完了までの一連の流れをデモ端末で試すことができた。
体験イベントのレジカウンターで商品を渡し会計準備が進められる様子。実際の店舗を想定したデモ環境でteppayの決済フローを試すことができた
- 商品を渡す:レジで店員に購入商品を渡す
- 支払い方法を伝える:店員から支払い方法を尋ねられるため、「てっぺいで支払います」「支払いはてっぺいでお願いします」と伝える
- アプリの画面切り替え:スマートフォンでモバイルSuicaアプリを立ち上げ、画面内のteppayアイコンをタップすると、teppayのロゴが表示されコード表示画面に切り替わる。アイコンをタップしてからteppayのコード画面に切り替わるまでにかかった時間は約2秒で、複数の端末で試したがスムーズに切り替わった
モバイルSuicaアプリのトップ画面から下部のteppayアイコンをタップして切り替えを開始する。2秒ほどでコード表示画面に遷移する設計となっている
アイコンをタップすると即座に「teppay」のロゴ画面が表示される。読み込みのラグをほとんど感じさせることなくコード画面へ切り替わる
スムーズに表示されたteppayのバーコードおよびQRコード画面。残高表示や主な操作メニューも画面内にシンプルに整理されている
- コード読み取り&決済完了:スマホ画面に表示されたバーコード・QRコードを店員にスキャンしてもらい、決済リーダー端末の操作が行われると、「てっぺい♪」という独特の決済音がレジに鳴り響き、支払いが完了する
提示したコード画面をレジの端末でスキャンしてもらう様子。「てっぺい」という独特の決済音が響き瞬時に支払いが完了した
決済完了後にスマートフォンに表示される支払い完了画面。利用店舗名や決済金額、獲得予定ポイントなどがひと目で確認できる
- 所要時間:店員とのやりとりを含め、全体で約30秒で完了した。アプリ切り替えの手間もほとんどなく、1分もかからずに会計を済ませることができる
- 「てっぺい」決済音の音量:スマホの音量調整ボタンで高低を変更できるが、完全に消音(ミュート)にすることはできない。マナーモード時でも一定の音声が鳴る仕様だ
実際に使用し、PayPayを使っている身として、注意が必要だと感じたのは、teppayで「オフライン決済ができない」点だ。
先行する一部のコード決済サービス(PayPayやau PAYなど)では通信環境が悪い場所でも利用できるオフライン決済機能が導入されているが、teppayはオフライン決済機能に対応していない。そのため、必ずモバイルデータ通信やWi-Fiなどのインターネット接続環境が必要となる。
- 従来のSuica(交通系IC):現金チャージ済みのSF残高や定期券利用であれば、通信圏外や電波が入らない場所でも改札タッチや買い物が可能だ
- teppay(コード決済):アプリ内でのチャージやコード決済の実行には、安定した通信環境が必須となる
JR東日本によると、駅や商業施設などの公共Wi-Fiに自動接続されて通信が一時的に遮断・不安定になると、決済手続きが完了しない恐れがあるという。アプリ操作時は一時的にWi-Fiをオフにし、モバイルデータ通信を利用することが推奨されている。
実際に体験してみて、モバイルSuicaアプリからわずか2秒でコード画面へ切り替わる快適さや、30秒程度で終わる会計のスピード感は非常に実用的だと感じた。
ただし、PayPayのようにコード決済がメインのサービスと違い、teppayはまずモバイルSuicaアプリの起動、そしてコードへの切り替えといった手間がかかるため、先行するコード決済サービスよりも群を抜いて使いやすい、とは言い切れない。コード決済アプリ単体で開発されなかったことも影響しているのだろう。
JR東日本 マーケティング戦略部 Suica・決済基盤構築ユニット 決済・金融事業部長 高松奈帆人氏は10月20日の囲み取材で、「私たちはコード決済単体で勝負したいわけではない。若い方からお年寄りまで、日頃多くの方にご利用いただいているSuicaをさらに便利にしたい――そんな思いでSuicaの進化に取り組んでおり、今回のteppayもその一環としてモバイルSuicaに搭載した」と位置付けを説明している。単独アプリとしての使い勝手向上が開発の入り口ではないとはいえ、スピーディーに決済するための改善は必要といえる。
報道向けの囲み取材に応じるJR東日本マーケティング戦略部の高松奈帆人氏。Suicaをより便利にするための施策としてteppayを位置付けていると説明した
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