Googleのクラウドを使ってカーナビを――Android向け「Google マップナビ」:iPhone版は「未定」
グーグルが提供を開始した「Google マップナビ(ベータ版)」は、Googleのクラウドと携帯電話のセンサーが融合したことで生まれたサービスだ。同社の井上陸氏がサービスの詳細と背景を説明した。
グーグルは9月16日、GPSを利用した自動車向けのナビゲーションサービス「Google マップナビ(ベータ版)」の提供を開始した。対応機種はAndroid 1.6以上のAndroid端末で、利用料金は無料(通信料を除く)。ユーザーはAndroid マーケットから「Google マップ」をバージョンアップすることで利用できる。
これまでもGoogle マップからルート確認や地図上の簡易ナビゲーションは可能だったが、Google マップナビでは、音声案内や右左折の誘導をするターンバイターン式のナビに対応した。さらに、航空写真やストリートビュー上でのナビゲーションも可能になったので、複雑な交差点など、地図だけでは分かりにくい場所に行く際に重宝する。このほか、ルート案内をやり直すリルート機能もサポートしている。
Googleの音声検索にも対応しており、目的地や住所を話すだけで検索ができる。なお、音声検索の利用には「音声検索」アプリをインストールする必要がある。プリインストールされていない場合、Android マーケットから入手しておこう。
Google マップナビには、Googleで培った検索機能も生かされている。同社プロダクトマネージャーの井上陸氏は「Google マップの持つ数百万、数千万の情報の中から瞬時に目的地を検索できる」と説明する。「GPS、マイク、タッチパネルなどのセンサーがクラウドとつながることで、さまざまな機能を提供できる」と、同氏はナビサービスとスマートフォンの相性のよさを強調した。
地図のサブメニューから「レイヤ」を選ぶと、「駐車場」「ガソリンスタンド」「コンビニ」「レストラン」などの項目が現れ、現在地の近くにある駐車場やコンビニを手軽に探せる。「トイレ」「焼き肉」などのキーワード検索も可能。Google マップナビには多機能トイレの情報も含まれている。飲食店は所在地やレビューなどの詳細情報を確認できるほか、店舗によってはクーポンも入手できる。なお、レイヤには「渋滞状況表示」という項目があるが、現在は機能せず、「この地域の渋滞情報はありません」と表示される。渋滞情報は「将来的には対応させる」見通しだ。
Google マップナビのiPhone対応については「あらゆるプラットフォーム向けに提供したいが、現在のところはお答えできない」とのことで、対応は未定。歩行者向けのサービスには対応していないが、自動車ルートの経路確認は行える。
Google マップナビは米国でも提供されているが、日本版ならではの特徴として、道路の事情を考慮した工夫を施したという。「日本では名称のない道路が多いが、そういった(分かりにくい)場所でも快適に使えるようにした。また、有料高速道路を使わず、一般道路を使った検索も可能にした」(井上氏)
井上氏は、スマートフォンはインターネットと親和性の高いデバイスで、大きなポテンシャルを持っているとみている。「スマートフォンはGPS、カメラ、マイク、タッチセンサーなどを備えており、ケータイが目や耳など“五感”を持つようになった。進化したハードウェアと常時接続可能なインターネットに、Googleの強みを組み合わせることで、モバイル上でさまざまなイノベーションを起こせる」と同氏は期待を寄せる。iPhoneや歩行者サービス対応など、Google マップナビのさらなる進化にも期待したい。
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