“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
64bitへの移行に20年を要したIntelの挫折 Itaniumの大失敗とOpteronへの敗北(1/4 ページ)
昔ながらのIBM PC、PC/AT互換機からDOS/Vマシン、さらにはArmベースのWindows PC、M1 Mac、そしてラズパイまでがPCと呼ばれている昨今。その源流から辿っていく第20回は、Intelの64bitへの移行。これが一波乱どころではなかったのだ。
- 第1回:“PC”の定義は何か まずはIBM PC登場以前のお話から
- 第2回:「IBM PC」がやってきた エストリッジ、シュタゲ、そして互換機の台頭
- 第3回:PCから“IBM”が外れるまで 「IBM PC」からただの「PC」へ
- 第4回:EISAの出現とISAバスの確立 PC標準化への道
- 第5回:VL-Bus登場前夜 GUIの要求と高精細ビデオカードの台頭
- 第6回:VL-BusとPnP ISA PCの仕様をMicrosoftとIntelが決める時代、始まる
- 第7回:Intelが生み出したさまざまなPC標準規格 Microsoftとの協力と対立
- 第8回:USBが誕生したのは「奥さんのプリンタをつなげる手間にキレたから」 USBの設計当時を振り返る
- 第9回:Modern PCの礎、PCIはどう生まれ、いかに成立していったか
- 第10回:PCのスケーラビリティを決定付けた超重要コンポーネント、地味にスゴイ「APIC」の登場
- 第11回:ラップトップPCのための基礎技術が生まれるまでの紆余曲折
- 第12回:PC互換機はIntelだけではない ジョブズのいないAppleが進めたPRePとCHRP
- 第13回:Intelがメモリ標準化で主導権を失うに至った“やらかし”について
- 第14回:Intelのさらなる“やらかし”と、Intelが主導するPCアーキテクチャの終わり
- 第15回:カセットからフロッピー、そしてハードディスクを制御するSASI、SCSI、IDE、ATA、SATA――さまよえるストレージ用インタフェース標準を語る
- 第16回:BIOSからUEFIへ BIOSはなぜ終わらなければならなかったのか
- 第17回:もうPCIでは遅すぎる さらなる高速化目指すPCはPCI Expressへ
- 第18回:PCはネットワーク接続できて当然」になったのはいつから?
- 第19回:PCの在り方をMicrosoftとIntelが規定した時代 PC 9x/200x System Design Guideとは何だったのか
PC(というかIBM PC)はもともと16bitのIntel 8088をベースに開発され、MS-DOSもその16bitのアーキテクチャをベースに構築されてきた。
これがなし崩しに32bitに移行したのは、まずCPUに32bitのIntel 80386が投入され、ついでこの80386の上で部分的に32bit動作をするDOS Extenderの類が出現(QEMMがこの代表例……なのだが、案外日本では知名度が低いのが残念)。ついでWindows 3.1で限定的ながら32bit動作が可能になり(この前段階としてWindows/386というものもあったが、日本では発売されなかった)、ついで32bit APIに対応したWindows 9x/Meがリリースされたことで、もう16bit CPUではいろいろ不都合がある(MS-DOSは使えても、Windowsが使えない)というところまで来た。
ただこれに先立ちMicrosoftはWindows NTという完全にMS-DOSとは隔絶した新しいOSを開発しており、最初のWindows NT 3.1やその後継のWindows NT 3.5のリリースはWindows 95より前である。こちらは完全32bit対応であり、さらに言えばx86である必要もない構成になっていた。実際後にはPowerPCやDEC Alpha、MIPS、Itaniumなどに移植されている。
こうした移植作業の中で、64bit対応もまた必然的に必要になった。というのは、DEC Alpha(EV5:21164)やItaniumはどちらも64bitプロセッサだったからだ。もともとMicrosoftは、Windows NTを単にコンシューマー向けだけではなく、基幹サーバなどエンタープライズ向けのOSとして位置づけていたのだ。
初期のWindows NTではWindows NT for workstation(クライアント向け)と、Windows NT for Advanced Server(サーバ向け)の2つがあり、Windows NT 4.0ではこれがただのServer Edition以外にEnterprise EditionやTerminal Server Editionに増え、Windows 2000ではServer/Advanced Server/Datacenter Serverに進化するといった具合だった。
そしてコンシューマー向けのWorkstationでは32bitのままでもなんとかなるが、Server向けには4GBではメモリが足りない、という話になった。実際Windows 2000 Datacenter Serverの場合は、最大32個のCPUと32GBの物理メモリをサポートするが、「これをどうやって32bit CPUで扱うんだ?」という話になる。
念のために書いておくが、32bit CPUの定義とは(これも異論はいろいろあるが)メモリアドレスが32bitになっていることである。これで表現できるメモリアドレスは最大でも4GBであり、32GBのメモリには対応できない。
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“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
RISCの歴史、Apple Siliconの歩みを語ってきた大原雄介さんのコンピュータ歴史連載、テーマはズバリ「PC」だ。
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