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海外記事で振り返る2007年の携帯、SNS、音楽配信(1/2 ページ)

» 2007年12月26日 10時27分 公開
[海外速報チーム,ITmedia]

 2007年の海外ニュースを、3つの大きなトピックについて振り返ってみたい。携帯電話、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)、そして音楽配信である。いずれも動きが激しかった分野だ。

iPhoneに始まり、Androidでさらに揺れる「ケータイ」

 成熟に伴い停滞気味の感があるPC業界とは裏腹に、2007年は携帯電話セクターで幾つもの大きな動きが見られた。

 その最たるものが、AppleのiPhoneだろう。タッチスクリーンを使ったこれまでにないインタフェースや操作性もさることながら、携帯キャリアが端末やサービスの開発に強い発言力を持つ業界の慣行を打ち破った点でも大きな意味を持つ。

 今後のiPhoneの展開としては、AT&TとAppleが3G版を2008年に投入する意向を表明している。これにより日本上陸に向けた障害の1つが取り除かれることになる。実際、Appleがドコモ、ソフトバンクと話し合っているという報道もあるが、まだ最終決定はしていない(auはiPhone販売に消極的な姿勢を見せている)。キャリアがAppleに通信サービス売り上げの一部を支払う点が交渉の障害になっているようだ。

 もう1つ、携帯電話業界に大きな波紋を起こしたのがGoogleだ。数々のモバイルサービスを投入し、幾つものモバイル企業を買収するなど、今年は同社のモバイルへの本気度がうかがえる動きが多く見られた。

android

 それ以上に大きかったのが、携帯電話プラットフォーム「Android」の発表だ。ハードとしての「Google Phone」を期待していた向きには拍子抜けだったかもしれないが、プラットフォーム共通化による開発コスト削減や、多様な端末、サービス、アプリケーションの登場が期待される。しかし、既存のビジネスモデルと衝突する可能性もあるため、キャリアやメーカーの反発もありそうだ。AT&T、Verizon、Nokiaなどの大手が、Androidを支持するOpen Handset Allianceに参加していないのはそのためかもしれない。さらにGoogleにとって不慣れな分野なためか、初期版のAndroid向け開発キットはバグが多いという指摘もある。現時点では未知数な点が多いため、2008年半ばの実機登場を待つ必要があるだろう。

 Googleはまた、2008年に実施される700MHz周波数帯のオークションへの参加を表明しており、自らワイヤレスサービスに乗り出してくる可能性もある。広告収入でまかなう無料のAndroid携帯と無料の携帯サービスが実現する――と期待するのは気が早いが。

 ともあれ、来年半ばになれば、Android携帯が登場する。iPhone対Androidで携帯電話業界はいっそう盛り上がりそうだ。

Facebook、OpenSocial、そして広告システムに明け暮れたSNS

 2007年はSNS激動の1年だった。ユーザーベースの拡大により新たな広告媒体としての可能性を持ったSNSが、さらなるシェア獲得のための手段としてオープン化合戦を繰り広げた。サードパーティーにプラットフォームを公開することでSNS内で使える便利なアプリケーションが増え、それを目的にユーザーが集まるからだ。一方広告システムの整備も急速に進められた。

 2005年にNews Corp.傘下に入ったMySpaceは、系列のFoxとの提携などによるコンテンツの充実、大統領候補のオンライン討論会などのイベントで着実にユーザーを増やした。2月の調査では、MySpaceがシェア80%で独走状態だった。

myspace

 そのMySpaceを追うシェア10%のFacebookは「学生向け」「紹介制」でスタートしたSNSだが、2006年秋に一般に公開。これでビジター数が倍増した。2007年4月にはフレームワークをオープンソース化し、5月にはプラットフォームもオープンにすることで、サードパーティーがウィジェット(日本で言うところのブログパーツ)を次々に提供、「Facebookエコシステム」を確立し、会員増加に拍車を掛けた。これはMySpaceがサードパーティーのPhotobucketを締め出したのとは対照的なやり方だ。

facebook

 6月にはFacebookがユニークビジター数でMySpaceの約半数にまで追い上げた。7月、オープン化で急成長するFacebookに倣い、MySpaceもプラットフォームを公開した。

 巨人GoogleとMicrosoftは、ことSNSに関してはトップ争いの圏外にあった。Googleには自社のSNS「Orkut」があるが、シェアは6月時点で5位。8月ごろ、GoogleがFacebookに買収を打診しているといううわさがあったが、10月にMicrosoftがFacebookに2億4000万ドルを出資したことで、その可能性はなくなった。11月にはGoogleはSNS向け共通API「OpenSocial」を発表することで、Facebookへの対抗姿勢を見せた。OpenSocialにはMySpaceや日本のmixiが参加を表明している

 SNSのビジネスモデルは今のところほぼ広告収入モデルだ。11月に入り、MySpaceとFacebookの両社がほぼ同時に新しい広告プラットフォームを発表。「SelfServe by MySpace」も「Facebook Ads」も、SNS内のユーザーをターゲティングして効果的に広告を表示するためのシステムになっている。

 Facebookが打ち出したもう1つの広告サービス「Facebook Beacon」はプライバシー侵害の恐れがあるとしてユーザーから激しい批判を受け機能を修正するといういきさつもあった。ユーザーのプライバシー保護と広告出稿顧客の利便性のバランスを取ることが、SNSにとっての大きな課題となっている。

 Facebook対Google+MySpaceという規模の違い過ぎる対決(FacebookをサポートするMicrosoftとGoogleの対決という見方もできるが)になっているが、12月に入ってFacebookが今度はプラットフォームをほかのSNSにも公開した。つまり、FacebookのアーキテクチャをほかのSNSで利用できるということだ。既にSNSで3番手のBeboがFacebookのプラットフォームをベースにしたAPIを公開している。Facebookの持つ多数の人気ウィジェットは、ほかのSNSにとって大きな魅力になるはずだ。

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