米Googleが書籍デジタル化をめぐる訴訟で交わした和解が独占禁止法に違反する恐れがあると、消費者団体が主張している。
消費者団体Consumer Watchdogは4月6日、この和解には独禁法上の懸念があるとして、米司法省に介入を求める書簡を送った。
この和解は、作家団体Authors Guildおよび米出版者協会(AAP)がGoogleを相手取って起こした集団訴訟に関連するもの。両団体は、書籍をスキャンしてオンラインで公開するGoogleのブック検索が著作権を侵害していると訴えていたが、昨年10月に和解した。和解案は裁判所の承認を待っているところで、承認されれば、Googleは米国で市販されていない絶版書籍を商用利用できるようになる。和解の一環として、Googleはデジタル化した書籍の権利管理のためにBook Rights Registryという団体を設立する。
Consumer Watchdogは和解案の2つの点を問題としている。1つはGoogleに対する「最恵国待遇」条項、もう1つは「Orphan Works」と呼ばれる権利者が不明な作品に関する条項だ。
最恵国待遇条項は、Googleにほかの企業と同等の優遇措置を保証するというもの。ほかの企業がBook Rights Registryの書籍を利用したい場合に、Googleよりも有利な条件を受けられないことになる。Consumer Watchは、この条項は反競争的であり、他社の参入を妨害すると主張し、削除を求めている。
「Orphan Works」とは、著作権で保護されているが権利者が不明な作品を指す。このような作品の権利者が後から出てきて権利侵害を主張したときのために、和解案にはGoogleをそうした申し立てから守る条項が盛り込まれている。Consumer Watchdogは、Googleのみにこのような保護が与えられるのは他社にとって参入障壁になるとし、書籍をデジタル化するほかの企業にも保護を拡大するよう主張している。
Consumer Watchdogのジョン・シンプソン氏は「この和解案は訴訟の関係者により話し合われたもので、消費者の利益を代弁し、守る機会がなかった」と述べている。
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