では、Googleはなぜ、モバイルハードウェアをめぐる野望を表明しないのだろうか。その理由は自己防衛にあるようだ。シャクター氏によると、同社がこの目標を公言しないのは、このビジネスに失敗した場合、同社が過去11年間にわたって築き上げてきたGoogleという立派なブランドが傷つく恐れがあるからだという。
特にソフトウェア志向の企業の場合、ハードウェアの販売を手掛けるというのは、必ずリスクが付きまとう。米Jefferies Researchのアナリスト、ユーセフ・スクアリ氏は、1月6日付の調査メモで「Googleの小売りモデルは利益率を圧迫する可能性がある」と指摘する。
「Googleは最終販売責任を持つ販売業者として在庫リスクを抱えることになるため、このビジネスの利益率は、同社がこれまで確保してきた60%強のEBITDAマージンよりもかなり低くなると予想される」とスクアリ氏は記している。
しかしシャクター氏には、同社のWebストアにもう1つの可能性が見えるようだ。Nexus Oneをはじめとする端末を自社のストアで販売することにより、Androidの分断化という問題を緩和できる可能性があると同氏は考えている。Androidでは、複数のOSバージョン(1.1、1.5、1.6、2.0、2.1)が存在する。
「Googleは最新のソフトウェアを自社のスマートフォンに組み込むことによって、ほかのキャリアおよびOEM各社がGoogleに足並みをそろえ、それぞれのAndroid端末も最新のソフトウェアでアップデートするよう促すことができる」と同氏は指摘する。この面でも、Googleのフロントページ上などの宣伝で支えられるWebストアが貢献するはずだ。
しかしNexus Oneの発表で多くの財務アナリストの注目を集めたのは、モバイル広告というビジネスモデルの方だ。スクアリ氏は、Nexus OneとWebストアはGoogleがモバイル検索とモバイルアプリの勢力を拡大するための新たな手段だと考えており、その上で同社は広告を通じて収益化を図ることができるという。
「2009年7〜9月期の決算発表によると、Googleはモバイル検索件数で前年同期比30%の増加を記録した」とスクアリ氏は1月6日付の調査メモに記している。「Googleはロケーションベースの広告を通じてモバイル検索の急増を収益につなげるだろう。ロケーションベースの広告は一般に、広告主にとって魅力が高い。こういったコンシューマーは市場の中にいる傾向が強いからだ」
Webストアでのコンシューマー直販モデルにより、Googleはいずれコンシューマーがモバイルデバイスやサービスを購入する方法をある程度コントロールできるようになり、将来的にはVoIP端末や広告による価格補助を受けた携帯端末を提供できるようになる可能性がある。
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