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Google、中国事業閉鎖の可能性 言論の自由の問題めぐり

» 2010年01月13日 09時56分 公開
[ITmedia]

 米Googleは1月12日、中国の検索エンジンGoogle.cnとオフィスを閉鎖する可能性があることを明らかにした。人権活動家に対するサイバー攻撃を理由としている。

 同社はこの決定のきっかけとなった出来事として、12月に起きた「高度に組織化された」サイバー攻撃を挙げている。当初は単なるセキュリティ事件に見えたが、まったく事情が異なることが分かったという。

 この攻撃はGoogleだけでなく、ほかにもIT企業や金融企業など20社以上を標的にしたもので、その目的は中国の人権活動家のGmailアカウントに不正アクセスすることにあった。攻撃者は2件のアカウントへのアクセスに成功したが、入手した情報は電子メールの件名など限定されたものだった。この事件の調査により、ほかにも米国、中国、欧州の人権擁護派のGmailユーザーに対し、フィッシングなどを利用した攻撃が頻繁に行われていることが分かったという。

 Googleは2006年に中国語版検索エンジンGoogle.cnを開設した際に、中国の人々への情報アクセスを提供することを重視し、一部検索結果を検閲することに同意した。このとき同社は、「中国での状況を慎重に観察し、(情報アクセスを提供するという)目的を達成できないと思ったら、ためらわずに中国へのアプローチを再考する」という姿勢を明確にしていた。

 今回の攻撃や、過去1年のWeb上の言論の自由を抑えようとする動きから、Googleは「中国での事業の実行可能性を見直すべきという結論を下し、Google.cnの検索結果の検閲を進んで続けることはしないという決定に至った」という。同社は今後数週間、法の範囲内でフィルタリングせずに検索エンジンを運営できるかについて中国政府と協議する予定で、「Google.cnと中国のオフィスを閉鎖しなければならない可能性もあると認識している」と述べている。

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