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IBM Project Vulcan=Google Wave+Facebook+BI(2/2 ページ)

» 2010年01月22日 11時30分 公開
[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK
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 IBM Lotus部門のディスティングイッシュトエンジニア(技術理事)兼CTO(最高技術責任者)のチャールズ・ヒル氏は、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)プラットフォームのLotusLiveからファイルを閲覧するデモを行った。Lotus Connectionsで作成されたコメントを表示し、それに応答する機能もデモで示された。

 Vulcanのページには、Notesコラボレーション環境から送られたアップデート情報に加え、Connectionsからのステータスアップデートが表示されていた。Vulcanのソーシャル検索機能では、ほかのユーザーを容易に見つけることが可能だった。ユーザープロファイルを選んでボタンをクリックすれば、Sametimeのチャットセッションを起動できる。Sametimeによるファイル共有も1クリックで行える。

 Vulcan Notesのカレンダーは動作可能な状態に仕上がっていた。同プラットフォーム経由でのファイル共有も容易だった。さらにヒル氏は、Notesクライアントのオンプレミス版とWebベース版を1クリックで切り替えられることを示した。

 ヒル氏がアラートをクリックすると、Cognos BIチャートとConnectionsからのソーシャル情報を組み合わせたマッシュアップ画面が表示された。

 「これは、ビジネスプロセス機能と、人々が互いに協力しながら行っている日常業務に対する理解を融合するのが狙いだ」とヒル氏は説明する。

 わたしが感じた第一印象は、Vulcanは複雑で扱いにくそうだが、うまくいけばIBMと同社の顧客にとって非常に価値が高い製品になる可能性もあるというものだ。今のところ、このような製品を提供しているベンダーはほかにないからだ。

 その理由の1つとして、連係すべきコラボレーション、ソーシャルアプリ、BIアプリのスイートを自前でそろえている企業がほとんど存在しないことがある。こういったアプリケーションを連係するだけでも非常に困難だ。さらに、異なる企業のサイト間でそれを実現しようとするのは至難の業だ。不可能ではないにせよ、何年もかかるだろうし、しかも非常にもろいものになるだろう。それゆえ、Vulcanが極めて特別な存在になる可能性があるのだ。

 VulcanをFacebookと比較するのはフェアだろうか。その答えは、イエスでもありノーでもある。

 デモを見る限り、VulcanのインタフェースはFacebookと似ている部分もある。だがIBMはVulcanを企業向けの製品として開発しているため、認証やセキュリティに関連した多くの機能が内部で動作している。Vulcanは当然、パブリックな性格よりもはるかにプライベートな性格が色濃い製品なのだ。

 では、VulcanはGoogle Waveと似ているだろうか。コラボレーションアプリとコミュニケーションアプリを1つのプラットフォーム上に結合することを目指すという点では共通だが、今のところ、それ以外の類似点は見当たらない。

 レニー氏によると、IBMでは「Project Concord」と呼ばれる製品も開発中だ。これはワープロ、表計算、プレゼンテーションのソフトウェアで構成されるLotus SymphonyのWebベース版だという。ドキュメントのリアルタイム共同編集機能も備えるらしく、この面ではGoogle Waveと似通っている。

 Vulcanには、Google Waveと同様のリアルタイム機能が搭載されるようだ。しかしWaveは強力なソーシャルコンポーネントを備えておらず、また、Googleの広範なコラボレーションポートフォーリオにはビジネス分析機能は見当たらない。つまり、VulcanとWaveの類似点としては、Vulcanに組み込まれるリアルタイムコラボレーション機能だけということになりそうだ。

 ただし、Vulcanがまだ完成していないのと同様、ConcordもまだVulcanに組み込まれる状態にはなってない。Vulcanの製品版が何らかの形で登場するのは来年以降になる見込みだ。

 Lotusphereに関して面白いニュースがもう1つある。オープニングのゲストスピーカーとして、テレビドラマ「スタートレック」そしてPriceline.comの宣伝で有名なウィリアム・シャトナー氏が登壇したのだ。そしてオープニングセッションの最後に、レニー氏によるProject Vulcanの発表があった。この皮肉な偶然(スタートレックとバルカン)に言及するIBM幹部はいないようだ。

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