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なぜSIMロック? 孫社長、iPadの疑問に答える

» 2010年05月28日 13時53分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 28日に「ソフトバンク表参道」で行ったiPad発売イベントで、孫社長は終始笑顔だった

 国内で販売される3G対応iPadはなぜSIMロックがかかっているのか、モバイルルータを使ってWi-Fiモデルを他社3G回線で使うことについてどう思うか、iPadは出版の形をどう変えるか――ソフトバンクの孫正義社長が5月28日、報道陣の質問に答えた。

――米国ではSIMフリーで発売されたiPadを、国内ではSIMロックで発売できたのはなぜか。

 iPadを一人でも多くの人に届けたいというソフトバンクの強い思い入れや情熱が、Appleに通じたのでは。(※海外のSIMカードは使える

――NTTドコモが3G対応モバイルWi-Fiルータを出すなど、iPad Wi-Fiモデルをソフトバンク以外の3G回線で使えるようにしようという動きもある。

 「Pocket WiFi」のようなものもあるが、iPadとルータをそれぞれ充電し、両方のバッテリー持ち時間を考えながら使うのは面倒で、3Gモデルがいいと思うのでは。Wi-FiモデルはGPSがなく、地図アプリなども使いにくい。3Gモデルを使いだせば、ほとんどの人が「3Gモデルが良かった」と思うだろう。

――(iPadに限らず)端末販売で、SIMロックは必要と考えているか。

 SIMフリーの場合は販売奨励金を出せないし、サービスの互換性などの問題が出てくる。それでも欲しい人がいるか、いくつかのモデル(端末)でSIMフリーを試してみたい。

――iPadの月額データ定額料金は(「月月割」を適用すると)2910円と、iPhoneより1500円安いのはなぜか。

 「ケータイWi-Fi」の料金(月額490円)も値引いているので、実質的には月額1990円×24カ月分割り引いている。端末を普及させるための値引きで、販売奨励金のようなものだ。

「世界の通信キャリアでiPadを店頭販売できるのは日本ぐらい」

――iPadの在庫数や店頭発売数は。

 コメントできない。

――3GモデルとWi-Fiモデルの比率は。

 3Gモデルが思いのほか多かった。

――予約が2日で打ち切りになるなど、ニーズに対して供給数が少なく、販売店も絞られていた。

 販売方針についてはAppleの方針なので、どうこういう立場ではない。世界の通信キャリアでiPadを店頭販売できるのは日本のソフトバンクぐらい。他国はもっと絞られている。iPadにできるだけ触れられる環境を整備したことで、販売できたのだろう。

――国内メーカーからiPadのような革新的な端末が出ないのはなぜだと思うか。

 大きいハードや薄いハードなど、ハードはいくらでも作れるが、世界のクリエイターが熱狂的に支持してアプリをどんどん作り、ユーザーにも強く支持されるというソフトウェアのプラットフォームが一朝一夕にはできないのでは。

iPadは出版を変えるか

画像 「右手にiPhone、左手にiPadで二丁拳銃にしたい」と孫社長。「1人に1台、家族で計何台か持ち、新しいライフスタイルが生まれる端末」と絶賛

――ソニーやKDDIなどが電子書籍プラットフォームを発表した。

 各社が切磋琢磨し、技術やサービスが発展するのは業界にも消費者にとってもいいことだ。

――ライバルの電子書籍端末に対するiPadの優位性は。

 一般的なブックリーダーとは決定的に違う。iPadは本も読めるが、iPadはあらゆるアプリを魔法のようにダウンロードでき、アプリプラットフォームは世界のクリエイターやユーザーから熱狂的に支持されている。

――iPadは出版を変えるのか。

 出版社は紙に印刷したものを作品と思いこんでいるかもしれないが、印刷が大事なのではなく、中に書いてあるものが大事で、媒体は紙だろうが何だろうが同じ。iPadは、記事の写真をタッチして動画を再生したり、声を聞けたりなど、紙の印刷ではできなかったこともでき、紙より大きな感動や情報をもたらすことできる。

――iPadの気に入っている点は。

 Twitterもスケジュールも音楽再生もめちゃくちゃいい。iPhoneと使い方が一緒のはずなのに、なぜか感動がすごい。

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