数カ月前から、Googleが電子書籍市場におけるAmazonの影響力をそぐために独自の電子書籍サービスを立ち上げるとうわさされている。「Google Editions」と呼ばれるこのサービスは、今年の夏にスタートし、米小売書店協会(ABA)などがパートナーとして参加するという。
Google Editionsは約40万作の電子書籍をノートPC、タブレットPC、スマートフォンなどネット対応デバイスに配信する計画だ。書籍はGoogle Checkoutを使ってGoogleから直接購入できる。Amazonとそのライバルたちは電子書籍を独自フォーマットで提供しているが、Googleのストアは理論上、電子書籍を読める場所や手段がもっと柔軟になる。
「ここ数年の間に電子書籍リーダーを購入した人が、死ぬまで1社だけから電子書籍を買うとは思わない」とGoogle Editionsの戦略的提携ディレクター、トム・ターベイ氏はNew York Timesに語っている。
だが、GoogleがGoogle Editionsのスタートまでに時間をかけるほど(そしてサービスの詳細を明らかにして話題作りをするのを長く怠るほど)、Amazon、Barnes & Noble、Appleとの戦いは厳しくなる。これら3社はいずれも、自社のプラットフォームに読者を引き込もうと積極的に動いている。このような状況で、Googleが電子書籍市場で大きなシェアを獲得する可能性は、週を追うごとに低くなっていくようだ。
テクノロジーブログSlashgearは8月11日に、ソニーが「将来版の電子書籍リーダーにAndroidを採用することを考えているようだ」とする記事を掲載した。その根拠はソニーの電子書籍リーダー事業部門の求人広告だ。
キャッシュされた「電子書籍リーダー事業部門の上級ソフトエンジニア(Android)」の求人広告はここで見られる。職務内容には、「電子書籍閲覧、その他家電向けのアプリケーション開発」が含まれている。
ソニーが電子書籍リーダー戦争において、特にマインドシェアで後れを取っているのは明らかだ。同社は7月にライバルの値下げに倣って、Sony Reader Pocket Editionを149ドルに、Daily Editionを299ドルに、Touch Editionを169ドルに値下げした。さらに、電子書籍ストアReader Storeのデザインを改良した。
だが、ソニーが将来版の電子書籍リーダーのOSにAndroidを採用するつもりなら、これまでの取り組みが十分ではなかったと暗黙のうちに認めていることになる。Androidにより、ソニーはより進んでいるKindleやNOOKに匹敵するソフトウェア機能を加えるだろう。
そうなれば、ソニーは並はずれて競争が激化している市場のただ中に飛び込み、Amazon、Barnes & Noble、Appleだけでなく、これから登場するAndroid搭載タブレットとも戦うことになる。そこで積極的に戦うために数百万ドルを投じる気が同社にあるのなら、市場シェアの獲得につながるかもしれない――だが、ソニーは牙を磨くのに消極的なようで、電子書籍リーダーのマーケティングを活発に行っておらず、価格設定や機能の点では追随指向だ。
だが小規模な電子書籍リーダー企業とは違って、ソニーにはある製品カテゴリーで存続していけるだけの資金がある。それで電子書籍リーダー市場の2番手集団の立場は確保されるだろうが、強固な意志も積極的なマーケティングもなくもっと強力なライバルとの戦いに飛び込めば、混乱を招き、犠牲を生むだろう。
電子書籍販売「Googleエディション」、日本で年明けスタート
AmazonがKindle新モデル発表 139ドルの廉価版も投入Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.
Special
PR