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Microsoft、Officeの海賊版対策プログラムをひっそり終了

» 2010年12月21日 13時44分 公開
[Nicholas Kolakowski,eWEEK]
eWEEK

 米MicrosoftはOfficeの海賊版対策として実施していたOffice Genuine Advantage(OGA)プログラムを終了したようだ。このプログラムでは、ユーザーがアップデートやアドオンをダウンロードする際に、使用しているOfficeが正規版であることの確認を求めるようになっていた。

 Microsoftのサポートサイトには次のようなコメントが掲載されている。「Office Genuine Advantage(OGA)プログラムは終了した。正規版Officeを利用するメリットについて、詳しくは以下のWebサイトをご覧いただきたい」

 リンク先のページには、「自分が支払った対価を得ていることを確信できる」「Microsoftや信頼できるパートナーからサポートを受けられる」など、正規版Officeを利用するメリットが挙げられている。

 Microsoftがこのプログラムを実に静かに終了させたことに最初に気付いたのは、ZDNetのエド・ボット氏のようだ。このプログラムは「海賊版ソフトを阻止する」という立派な意図があるにもかかわらず、テンプレートやそのほか各種のソフトウェアエディションをダウンロードしようとする一部のユーザーには厄介に思われていたようだ。

 「このプログラムは役割を十分に果たしたため、われわれはその打ち切りを決定した。当社は海賊版対策に力を入れており、今後も顧客と向き合い、詐欺被害者を救済できるような新たな取り組みを幾つか計画している」とMicrosoftの広報担当者はeWEEKの取材に応じ、12月20日付のメールで述べている。

 OGAプログラムはWindows Genuine Advantageプログラムの派生版としてスタートしたもの。Microsoftは従来、海賊版対策には積極的に対抗しているが、New York Times紙が今年9月、「ロシア警察は海賊版ソフトの取り締まりを口実に国内の権利擁護団体への強制捜査を行っている」と報じたことで、ちょっとした論争が巻き起こった。

 この報道を受けて、Microsoftの広報担当ディレクター、ケビン・カッツ氏はNew York Times紙に宛てた声明文で次のように述べている。「我々は今回持ち上がった懸念を深刻に受け止めている。当社が海賊版対策のために外部弁護士に代行権を委任する際には、候補者を念入りに審査している。また厳しい基準と手続きを契約で定め、トレーニングを行い、その活動も細かく監視している」

 9月13日には、Microsoftの上級副社長兼最高法律顧問のブラッド・スミス氏が同社の公式ブログにおいて、「非政府組織(NGO)が当社製品の正規版を無償で利用できるようNGOを対象に新たに片務的ソフトウェアライセンスを導入する」と発表している。このライセンスプログラムは2012年まで有効だが、延長もあり得るという。

 海賊版ソフトはテクノロジー業界に年間数十億ドルの損害を与えており、多くの企業は、クラッカーのほか、海賊版コードのサプライヤーや流通業者からなる巨大なネットワークに対抗するためにかなりの資金を費やしている。警察も時には、組織的な海賊版犯罪グループを摘発することはあるが、海賊版ソフトが自社の収益に及ぼす影響を抑えるべく、ソフトウェア各社がそれぞれ独自に手段を講じているのが実状だ。むろん、Microsoftもそうした取り組みを今後も継続していくだろう。

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