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「ルパン三世」はどうやって認証を突破した? 他人をアテにする「人脈認証」を考える架空世界で「認証」を知る(4/4 ページ)

» 2019年10月08日 07時00分 公開
[朽木海ITmedia]
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 さて、作中で重要な要素となってくる「ゴート札」とは、カリオストロ公国を支える重要な資金源で、世界中で流通する紙幣を精巧にまねた偽札である。紙幣は、その紙幣と交換に何かを購入することができるという所有物認証のような性質を持っており、それを保持するために本物であるための特徴が付与されて作られている。

 しかし、人間の目と手で真贋を見極めるのは限界がある。そこで、現在では機械によるチェックが一般的になっている。偽造防止の技術として有名なのは「すかし」だが、他にもインクに磁気インク、紫外線発光インク、パールインクなどの特殊なインクを採用したり、印刷技術としてホログラム、マイクロ文字、深凹版印刷などを採用したりしている。

 ちなみに偽札には2種類あり、人間をだますための偽札と、機械をだますための偽札がある。前者は見た目や触り心地をそっくりにしてあるが、後者は印刷されている意匠は謎の模様だけのものや、全くの白紙に見える場合もあり、磁気の反応や模様への反応だけを模して機械のチェックを突破するというものである。ゴート札はおそらく前者をターゲットとしていると思われる。

 ちなみに劇中ではカリオストロ伯爵がゴート札の品質の低下を嘆いているシーンがある。これはカリオストロ家の技術が低下したというより、各国の真札の製造技術が進歩して、対応できなくなりつつあったというほうが正しいだろう。

 いずれにせよ、ルパンが起こした混乱と銭形警部の活躍により偽札工場はICPOに発見されてしまい、カリオストロ家の悪事は終焉を迎えることとなる。ゴート札関連のてんまつは以上だが、宮崎駿の映画初監督作品ということもあり、特に演出面での見どころが数多く存在する。もし未見であれば、鑑賞を強くお勧めする。

次回、連載最終回は「ドラゴンクエスト」

 いかがだっただろうか。ルパン三世PART5は有名シナリオライターや小説家を迎えたストーリーも展開しているので注目しておいて損はないだろう。

 さて、この講義だが次回が最終回となる。ただし、何か大きなトピックがあれば特別講義を行うこともあると思うので、その時を待っていてくれると幸いだ。

 その最終回のテーマは「ドラゴンクエスト」だ。ちなみに本講義の初回に取り上げたのが「ファイナルファンタジー」だったことは覚えているだろうか? ドラクエにはどんな認証ネタがあるのか、次回講義を楽しみに待っていてほしい。

 それでは本日の講義はここまで!

著者プロフィール

朽木 海 (ライター、編集者、γ-Reverse代表)

ゲーム会社や出版社などの「IPが欲しい会社」と、ライトノベル作家や脚本家、漫画家などの「IPを作りたいフリーランス」を繋げるためのプロジェクト「γ-Reverse」の代表。引き続きライター業や編集者業も行っています。

せぐなべ」にて「オンラインゲームセキュリティガイド〜正体バレても大丈夫?ネットの向こうにご用心〜」を執筆。

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