米Facebookは6月2日(現地時間)、年次開発者会議「F8 Refresh」をオンラインで開催した。昨年はコロナ禍で開催を中止している。
例年は基調講演を仕切っていたマーク・ザッカーバーグCEOは開始8分目くらいから数分メッセージを述べただけで、後は各開発担当者がプレゼンを行った。過去のF8ではドローンや3Dカメラの発表も行われたが「今年は世界中の開発者の皆さんにフォーカスした」とザッカーバーグ氏は語った。
基調講演で発表された主なサービスをまとめておく。
同日から、Instagram用「Messenger API」をすべての開発者に提供する。企業ユーザーは、Instagramだけでなく、自社アプリやサードパーティーのCRMなどにメッセージング機能を統合できるようになる。これにより、顧客は企業のサービスからシームレスにMessengerで問い合わせができる。
Messengerには、顧客の問い合わせにまずbotで応対し、求めに応じて人間の担当者に切り替える機能や、顧客が問い合わせの内容の候補をタップして選ぶ機能などを追加できる。
Messenger APIは、まずはフォロワー数が1万以上のInstagramアカウントで利用可能になり、7月にはフォロワー数1000人以上の規模に拡大する。
WhatsApp Businessのメッセージングで、顧客が最大10のオプションメニューから問い合わせ内容などを選べる機能を追加する。また、応答に使えるボタンも追加できるようになる。
さらに、これまで申し込んでから利用できるようになるまでに数週間かかっていたWhatsApp Business APIの利用手続きが「わずか5分」になる。
Facebookによると、毎日1億7500万人以上がWhatsApp Businessアカウントに問い合わせメッセージを送っているという。
「Login Connect」は、企業が「Facebook Login」を統合している場合、顧客がこの企業にFacebook Loginを使ってログインする際、すぐにMessengerで企業との会話ができるようにするオプトイン機能。
テスト段階では、顧客の7割以上がLogin Connectをオプトインした。これにより、企業は新規顧客にすぐにウェルカムメッセージや商品のお勧めを提示できる。
「Facebook Business Extension」は、「Facebook Business Suite」にサードパーティー製開発ツールを追加するための拡張機能だ。Facebook Business Suiteは、昨年9月にリリースしたFacebookとInstagram横断で使える企業向け管理サービス。
向こう数カ月以内に早期アクセスの申し込みが可能になる見込み。
2019年にパブリックβをリリースしたARカメラエフェクト作成ツール「Spark AR」に「マルチピアAPI」を追加した。これにより、InstagramとFacebook Messengerの動画チャットで、参加者全員が共通で使うARエフェクトを作成できるようになる。
デモでは、グループ動画チャットでの誕生パーティーで同じパーティーハットをかぶったり、キャンプファイアのエフェクトでマシュマロを焼いたりするエフェクトが紹介された。
利用したいクリエイターはβ版に申し込める。
「PyTorch」は2016年に立ち上げたオープンソースのAIフレームワーク。これを、「FacebookのすべてのAIおよび機械学習モデル構築のためのデフォルトのフレームワークとする」と発表した。
現在既にFacebookのAIモデルの93%がPyTorchでデプロイされているという。Instagramのお勧めやFacebookでのヘイトスピーチ検出は、PyTorchで開発したツールで行っている。
オープンソースなので、誰でも専用ページでPyTorchについて学び、使用できる。
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